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例えば私がシンデレラなら。
日時: 2015/08/14 15:43
名前: 藤田 杏里 (ID: as61U3WB)

例えば私がシンデレラなら、魔法であなたに釣り合う素敵な女の子になれたでしょうか

例えば私がシンデレラなら、あなたはガラスの靴を落とした私を探しに来てくれたでしょうか

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Re: 例えば私がシンデレラなら。 ( No.3 )
日時: 2015/08/19 15:41
名前: 藤田 杏里 (ID: as61U3WB)



時計の長針と短針がちょうど重なる。
シンデレラははっと気がついて走り出した。
階段にガラスの靴を残したまま__。


「高城先輩!お疲れ様です!演劇すごく良かったです!」
「…ありがとう」
にっこりと微笑み、先輩はタオルを受け取る。

「あーあ。高城先輩今日もあんなにもてちゃってるよー」
照明のライトがあるキャットウォークで足をブラブラさせながら、早水萌は言った。
「でも、本当に綺麗だったよね。高城先輩のシンデレラ」
皆にチヤホヤされている高城先輩を眺めながら私は呟いた。

「ほんっとに星見は汚れがないっていうかさ、いい子だよねぇ」
萌ちゃんがばっと抱きついてくる。

私たちの入部している、演劇部は二年生の高城桜先輩がほとんどの主役を務める。
高城先輩は、すごく綺麗な人で、女の私でもすごく憧れる。

「シンデレラ、いつか私も演じたいな」
「いけるいける、星見は可愛いんだからぁ」
「演技力の問題でしょ、そこは」
「大丈夫だって!」

萌ちゃんがツンツンつついてくる。

「ん?あれって沢田?」
不意に萌ちゃんが遠くを指差した。

その先には、キョロキョロと周りを伺う沢田涼がいた。
「さーわだー!」
萌ちゃんが大きな声を出すと、沢田君がこちらに気がついた。

そして私たちのいるところへ階段で上がってきた。
「沢田なにしてんの?」
「んー暇だったから覗きに来た」
「サッカー部練習ないの?」
「今休憩中」
沢田君がどかっと私たちの横に座った。

「シンデレラ好評みたいだな」
「うん。凄いでしょ」
「お前らただの照明だけどな」
「うるさい」
萌ちゃんと沢田君が互いを叩き合う。

「二人とも仲良いねー」
「よくないし!」
二人の声が重なる。

「まねすんなあほっ」
「いって黙れブス」

なんだかんだ言って仲のいい二人を私は微笑ましく見ていた。

Re: 例えば私がシンデレラなら。 ( No.4 )
日時: 2015/08/21 17:28
名前: 藤田 杏里 (ID: as61U3WB)


「あ、沢田、あんた、部活の時間大丈夫なの」
萌ちゃんがハッと気がつく。

「そうだな。じゃ、俺行くわ」
沢田君は立ち上がって自分の太ももをパシンっと叩いた。

「じゃな」
軽やかに階段を下りていく後ろ姿に萌ちゃんはぼーっと見とれている。

「萌ちゃん」
「んー?」
「見すぎだよ」
「なにをー?」
「沢田君」
萌ちゃんがふと我に帰る。

「あ、やば」
萌ちゃんが口を押さえるのと同時に沢田君が振り返った。

『 ば ー か 』

中指を立てて、口パクでいったのを萌ちゃんは瞬時に読み取り、手に持っていたペットボトルを沢田君に向かって投げた。

スコンッと気持ちのいい音がしたけれど、当たったのは髪の毛が薄い先生の頭だった。

「あ、やべ」
私達はしゃがみこんだ。

「今日、放課後空いてる?」
萌ちゃんが言った。
「うん。どっかいく?」
少し立ち上がって、様子を伺い、大丈夫だと分かると私達は掃除をするため階段を降りた。

Re: 例えば私がシンデレラなら。 ( No.5 )
日時: 2015/08/22 21:42
名前: 藤田 杏里 (ID: as61U3WB)

「そしたらね、ゆうちゃんがね」
「はははっ、なにそれうける」

駅前のケーキ屋さんで、向かい合って座る萌ちゃんと私。
萌ちゃんに新作のケーキを味見したいからと、ここに連れてこられた。

話に花を咲かせていると不意に携帯がなった。
「あ、沢田君からLINE来た。」
「え?何て?」
「いまどこだって」
画面をスクロールして、萌ちゃんに見せる。

「星見、ちょ、携帯借りるよ」
萌ちゃんは今日な手つきで携帯をいじると、耳に当てた。

誰かに電話をしているようだ。

「…あっもしもしー?」
10秒ぐらいの間があってから、萌ちゃんが口を開いた。
「ん?…あぁ。うん。…は?別にいいんじゃん私が出ても。
で?星見に何の用?…はー?そんなのいつでもいいでしょ」

「沢田君なんて?」
私が聞くと、萌ちゃんは携帯を離して「借りてたノート返したいって言ってる」
と顔をしかめて見せた。

「もしもしー?とにかく今、私星見とデート中だから邪魔しないでねーじゃーねー」
あ、ちょっとまてっと、相手側の声が聞こえた気がしたけど、萌ちゃんはかまわずに電話を切った。

そして、苦笑して私の方を見る。
「あいつ、バレバレだよね」
なんて反応すればいいか分からずにいると、萌ちゃんはまーいいや!とケーキにパクついた。

Re: 例えば私がシンデレラなら。 ( No.6 )
日時: 2015/08/22 23:04
名前: 藤田 杏里 (ID: as61U3WB)



「んじゃ、私ちょっもトイレ行ってくる」
萌ちゃんが席を外したので、私はぼんやりと外を眺める。

(…あっ!)
外の風景にハッとする。

(高城先輩だ…)
制服姿の高城先輩が男のひとと歩いている。
しかもすごくかっこいい人。

「おまたせー」
戻ってきた萌ちゃんが首をかしげる。
「どした?」
「あれ、高城先輩だよね」
私が指差した方を見ると萌ちゃんが口に手を当てる。

「えっ?うわ!やば!あそこの2人超イケメン!」
「そっちじゃなくて」
「あっ!高城先輩じゃん!え、男といる?うわ、しかもイケメン。
高城先輩うらやまーきっと、遊び放題だろうね」

萌ちゃんがうらやましそうに言う。

「あ…れ?沢田いる。」
「あ、本当だ」
「え?!ちょ、合流してるよ!高城先輩たちと!!え、どういう関係?!」
萌ちゃんが1人で興奮している。

私たちはお店を出て、高城先輩たちの様子をしばらくみていた。

「あ、沢田誰かに電話し始めた」
萌ちゃんが言うのと同時に萌ちゃんの携帯がなった。

「ふぉっ?!」
あやてて携帯を落としそうになる。

沢田君がばっと振り返った。
「あれ?百瀬たち何してんの」
「え…あ、いや、えっと、沢田君!偶然だね!」
「あ…萌ちゃんと星見ちゃん?」
高城先輩が私たちの名前を呼ぶ。
「はひっ!」
萌ちゃんが変な声を出す。

「ちょうど良かった、はい、ノート」
沢田君がリュックからノートを出して私に渡した。
「明日、提出じゃん。返しておかないとやばいって思ってたんだよな」
「あ、そうだった!…ありがとう」
「おー。」

「早水に電話したのもそれでだったんだけど…てか、どした?」
「え、あ、あの、そちらの方は…」
高城先輩の隣りで私たちの会話を見ている、さっきのかっこいい人を萌ちゃんが遠慮がちに聞く。

「あー、俺の幼馴染。大田紫音。」
こんにちは、も、大田さんが頭を下げる。
「んじゃー俺ら、もう行くわ」

沢田君が言った。

「あ、うん、じゃーね」
無理やり笑顔を作って手を振る。


「…あの三人の関係、何?!」
萌ちゃんが頬に手を当て、ムンクの叫びのようなポーズをとる。
確かに、私も気になる。

私と萌ちゃんでしばらく、その場で固まっていた。

Re: 例えば私がシンデレラなら。 ( No.7 )
日時: 2015/08/23 16:09
名前: 藤田 杏里 (ID: as61U3WB)



「おはよー」
「はよ」
日差しがてる中、校門をくぐる。

外履から上履きに変えていると、ぽん、と肩を叩かれた。

「はよー」
「あ、沢田君おはよう」
かかとをとんとんと、床に叩きつける。

「昨日会えて良かった、ノートちゃんと返せて」
にかっと沢田君が笑う。
「うん。ありがとう。」
私が言うと、沢田君が照れたように口元を拳で隠した。

「お…っはよーーーー!!」
「うぉっ!!」
沢田君が前かがみになる。
「ちょ、おま、何してんだよ降りろよ」
萌ちゃんが勢いよく沢田君の背中に乗った。
「重いでぶ!」
「あんた次それ言ったらコロス」
ぱしっと、萌ちゃんが沢田君の頭を叩いて背中から降りる。

「星見おはよー!」
くしゃくしゃ、と頭を撫でられる。

「沢田ーあんたなんで昨日高城先輩と歩いてたのよ」
「は?何でって別になんでもねーよ」
「それ意味わかんなーい」
萌ちゃんは、耳を塞いで大きな声を出す。

「ちぇ、そっけなく聞き出そうと思ったけど、失敗だった」
こそっと耳打ちされる。
いや、そっけなくなかったよ。

「沢田の横にいた人、超イケメンだったよねー」
「あぁ、紫音?」
「あの人って、高校生?」
「おう。俺らの一つ上」
「先輩かぁーんー年上も悪くない!」
萌ちゃんがくぁーっと手を広げる。

「早水じゃ相手にされなさそうだけどな」
ぼそっ、と沢田君がつぶやく。

私たちは2人顔を合わせて笑った。


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