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- ゾンビでメイドで異世界へ
- 日時: 2015/08/22 19:05
- 名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: 3i70snR8)
序章・闇に蠢く者たち
奇妙に捻じれた木々が鬱蒼と生い茂る不気味な森。
時折呻きとも叫びともつかない何かを発する影が彷徨う。
その森の奥、開けた場所には断崖絶壁の岩丘がそびえ、禍々しくも何処か厳かな雰囲気が漂う巨大な城が鎮座していた。
空を覆う暗雲、響く轟雷。
邪悪な気配をこれでもかと纏ういかにも怪しげな城。
『暗黒魔城パンデミラ』の地下深く、広大なホールを思わせる場所。
四方に立ち並ぶ篝火がゆらゆらと中心に佇む人物の影を揺らす。
ホールの中心には巨大かつ幾何学の魔方陣が描かれており、中央の円形に立つ人物がニヤリと鋭い八重歯を覗かせた。
バサァッと漆黒のマントを翻し、声高々に叫ぶのは年の頃十〜十二歳くらいの可愛らしい黒髪ロングの美少女だった。
ツンツンとした頭部の触覚?を興奮気味に振る。ちなみに服装は何故か紺のスクール水着で凹凸の無い胸の名札には「まおう」と平仮名で書かれていた。
凛々しいごん太の眉、釣り目の大きな深紅の瞳をカッと見開く。
「・・・ついに、ついに完成したぞ! これで我の勝利は確実だっ!! くくく、むふふふ、ぶぁあっはっはっはっ・・・は!? げほっ! げほっっ!! ・・・フヒュー、フヒュー・・・」
仰け反り高笑いをしていた少女は、唐突に咽て涙目で呼吸を整える。
「もお〜、魔王様ったら。恰好付けるからですよ〜。はい、お水」
篝火に照らされた影から音も無く現れる何者かが咽る魔王に水の入ったコップを渡す。
殆ど隠しているのが意味を為さないような際どすぎるヒモビキニを纏った外見年齢二十歳前後のセミブロンドの美女だ。
頭には羊を思わせる巻き角があり、背中には蝙蝠の翼、丸出しの豊満なヒップからは長細い尻尾(先っぽはハート型)が揺れる。
何よりその身の双丘はあまりにもビッグであり、ちょっと動くだけでブルンブルンと暴れていた。
「・・・(ごくごく)」
無言でコップを受け取る魔王は恨めし気に、たわわなふたつの果実を睨みながら水を飲む。
くっ! この世には神も仏もないのかっ!?
※神は天界に絶賛引き籠り中。仏は意味はよく分からない、異界からもたらされた言葉。
「ふう・・・。すまない、メリンダよ。少し興奮しすぎた」
落ち着いた魔王はコップをメリンダと呼ばれた悪魔風の美女に返すと視線を再び足元の魔方陣に見据える。
「・・・ついに完成したのだ。我の、いや我ら魔族の長年の悲願、『勇者殺しの召喚陣』がっ!!!」
少女魔王の紅の双瞳が闇色の光を力強く灯し、輝いた。
同時に魔方陣が鳴動し、脈打つようにドス黒い魔力が放出される。
「さあ、現れ出でよっ! 無限の常闇から彼の地へとっ!! 憎き神の下僕を屠らんが為、流転する災厄を汝の糧とせよっ!!!」
魔王が両手を翳すとその身から赤黒いオーラが溢れ、魔方陣の魔力と融合し、まるで生き物の如くのたうち、中空を踊る。
「汝、流貌の邪悪っ! 汝が齎すは永劫の無情っ!! 森羅万象、円環の理、全てを喰らわんと欲すっ!!! 我は汝を招する者、我が名は魔徒二十七王が一人、吸血姫ラグナ=ヴラド・ワラキアっ!!!!」
魔方陣は赤い閃光を放ち、その場の全てを包み飲み込んだ。
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- Re: ゾンビでメイドで異世界へ ( No.1 )
- 日時: 2015/08/23 10:34
- 名前: Frill ◆2t0t7TXjQI (ID: VXkkD50w)
一章・さよなら、世界。おいでませ、異世界
男は額に流れる汗を拭った。
商店街の一角。
今、彼の目の前には神々しい輝きを放つ一軒の店が構えていた。
男はゴクリと唾を飲み込み、店の看板を一瞥する。
『萌え萌えメイド喫茶 くり〜むぱふぇ』
いよいよだ。
ついにこの時が来たのだ。
全国で大人気のメイド喫茶チェーン店がついに自分の街にもやってきたのだ。
メイド好きの自分としては是が非でも来店したかった。
しかし大の男、社会では真面目な好青年サラリーマンとして通っている己が踏み込むにはハードルが高すぎる。
もし、知り合いや会社の同僚に現場を目撃されたらと思うと、たじろいでしまい、今まで避けてきたのだが最早躊躇はしない。
男は右手に握りしめる券を見詰める。
ネットで知り合ったメイドスキーの同志から貰った全国共通で使用できる特典接待券。
有効期限は今日まで。
今使わずして何時使う?
今、でしょぉおおっっ!!!
男は勇気を奮い立たせ、その一歩を踏み出した。
俺の冒険は、始まったばかりだっ!!
その時、男と店目掛けて一台のトラックが高速で突っ込んできた。
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