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- 愛と優しさと罪悪感と。
- 日時: 2015/08/27 21:54
- 名前: *水沢麻莉衣* (ID: I.inwBVK)
愛と優しさと罪悪感と。
*character*
美弥妃 瑠璃
「好きだよ……振り向いて欲しいよ」
大学生。
ロングで少々……抜けている。
将来は父親の総合病院を継ぐために勉強中。
幼なじみである玲斗に片想いをしている。
なにかと自信家。
夕依 玲斗
「僕がそばにいるから。1人じゃないから」
音大生。
黒髪でルリの幼なじみ。
家は音楽家の家系。
ルリの好意には気づいている。
本当は優しく、繊細。
ピアノが上手。タルトを作るのが趣味。紅茶派。
シャーロット・ミリヤ・リティーシア
「わたしは貴方を拒絶しない。いつでも貴方の見方よ」
玲斗の育ての親でもあり、いとこのお姉さん。
金髪にダークスーツが私服。
彼氏がいる。
花宮 かぐや(はなみやかぐや)
「好きって言って……!私には貴方しかいないの」
玲斗の彼女。
高校から付き合っている。
対人ストレスに弱く、虚弱体質。
ピアノが好き。
夕渚 梨衣亜
「何度でもぶつかんなよ。想いが伝わるまで」
ルリと同じ大学に通うルリの親友。
ルリの恋を応援し、助言する。
夕依 葵
「葵は貴方が決めたことが真実だと思うわぁ」
黒髪のセミロング。
とてつもなく天然。
玲斗の実母。
****************
program
1章 君の映す世界
1話 思い出 >>1 >>2
2話 君の隣のあの子は。 >>3 >>4 >>5 >>7 >>8
Page:1 2
- Re: 愛と優しさと罪悪感と。 ( No.1 )
- 日時: 2015/08/25 21:44
- 名前: *水沢麻莉衣* (ID: m9NLROFC)
1話 思い出
「ねぇ、みりやたん」
……夏だと言うのに暑苦しいダークスーツを綺麗に着こなす女性。
汗かかないの?と不思議になるのも普通だろう。
この女性、汗をかいていないのだ。
……人間?
「なにかしら?瑠璃ちゃん」
「あのね、れーとは夏暇ならさ、お父さんの別荘行かないかなって」
「あら。
楽しそうだわ。けれど、医大生の貴女に夏休みという物はあるのかしら。」
「ない。お父さんも焦ってるし、勉強。
だから、別荘。れーとも!」
あいつに直々に言っても結局はめんどくさがり行かない、と言われるのが目に見えているので、こうしてれーとのいとこのお姉さんをまずは説得している、と言うことなのだった。
「まぁ、いいんじゃない?」
「ほんと!?」
「……えぇ」
やった!
夏はれーと一緒にいられる。
幼なじみだと言うのに全く会うことがなくなっていたのでこれ程嬉しいことはない。
近くには海もある。
……近づけるけると……いいな……。
少しでも……、玲斗に……。
「……赤いわよ?」
みりやたんはるりをのぞき込むように話しかけた。
こんなこと恥ずかしい……!
赤い!?ルリが!?
「ちちちがうよ!あ、ああああついなって!ね!」
「……何も言ってないのだけれど」
「す、すいません」
「そうね」
とりあえず、別荘には来てくれる。
みりやたんが言ってくれればあいつは百パーセントくる。
彼女……っていう存在になれるといいな……。
なんて、ルリには遠すぎるけど。
なにせ、私たちには壁がある。
簡単にはこえられない。
高い高い壁がある。
決してこえられない。
幼なじみという壁がある。
ああ。
どうして君はそんなに遠くにいるの?
少しでも近づきたいのに。
遠すぎるよ……。
君は遠すぎるーーーーーー。
君はずるいよ。
考えていることが全くわからないよ。
理解ができないよ。
なんでもひとりで抱え込む。
それをかわってあげれるのはルリじゃない。
ーーーミリヤちゃんてことくらい、知ってたよ。
本当に君がすきだよ。
そんな作り笑顔をしなくても君を好きになる人がここにいるよ。
振り向いて欲しいよ。
振り向いて振り向いて……っ!!
「このたびは海に誘っていただきありがとうございました」
「……ふぇ?れ、れれれれ!?」
「れれれじゃくて玲斗だろ」
「これからどっかいくの?」
「まぁね」
君はまたルリに秘密にするんだね。
そんなに言えないことなの?
ルリにはわからないことなの?
そんなことないなら。
少しは頼って欲しいよ。
ルリばかりが好きになっていくよ。
ずるいよ。ずるいよ。
「ミリヤ待たせてる。」
「あ、ほっかぁ」
「ほっか……ははっ。
またね。」
「うん」
ほんとうに?
ほんとうにみりやたんを待たせてるの?
彼女とかじゃないよねーーー。
嫌だよ、玲斗……。
行かないで。
そう、呼び止められればどんなにいいだろう。
幸せなんだろうか。
片想いだな。
仕方が無いってことはわかるけど。
君のその作り笑顔も葵のためにそうしてるんだから。
それでも。
葵はそんなことしなくても愛情くれてるよ。大丈夫なのに。
何が不安なの?
おしえて。
君をわかりたい。
君をおしえて。
「……絶対海きてよね!」
「わかってるよ」
これだけが精一杯だ。
ルリから君にはこれだけが精一杯。
少しでも近づけるようにーー。
それだけ考えちゃうな。
タルト作るのが上手。
ピアノが上手。
幼馴染みなのに。
あまり君を知らないよ。
見せて見せて。
君のすべてを。
わたしはそれのすべてをわかりたいんだよーーーー。
- Re: 愛と優しさと罪悪感と。 ( No.2 )
- 日時: 2015/08/24 21:08
- 名前: *水沢麻莉衣* (ID: UcGDDbHP)
真夏の海はとても輝いている。
君と海はとても絵になる。
夏風が涼しくルリの髪をなびかせる。
目の前に君がいる。
「ねぇ!みりやたん!これ!
れーとすき!?可愛いでしょ!?」
昨日、買いに行ったんだから!
ひらひらの白とピンクのビキニ。
ルリ、頑張って君の好みに答えてるつもりだけどな。
みりやたんは真顔でビキニをガン見している。
……こんな日にまで……ダークスーツ?
「……1点。あの子の好きな要素ゼロだわ。
あの子はね、どっちかって言うと清楚な方よ」
「うっそ。真逆……?」
「そうね。単刀直入に言えば、最悪なものを選んだわ」
「高かったのに……」
でしょうね、というみりやたんの冷たすぎる声が。
みりやたんは夏らしいものを飲んでいる。
あ、ルリもなんか買ってこようか……。
「ルリちゃん。ご愁傷様ね」
「……うん……」
「あらあらぁ。ルリちゃんだわぁ。あらぁ?
可愛いわねぇ。葵ちゃんそーゆーの好きだわぁ」
「うん……ありがと、葵……」
「いえいえー」
……葵に褒められても!
れーとに褒めてもらいたかったんだよ……っ!
てか、葵、いつからいたの?
気づかなかったよ……。
「あれ、ルリ、大分ふりっふりだね」
後ろから声が聞こえた。
聞きたくない人の声が。
おまえ、なんでこういう時にルリに話しかけるんだ。
なんか上に着て隠そうと思ってたところなのに。
「へんですよね!」
もう開き直ってやるわ!
んのやろー!
君に……振り向いて欲しかっただけなのに。
なんでこうなるの……?
君は遠すぎるよ……。
「別に?ルリには似合ってると思うけど」
「ほぇ……っ?正気?れーと」
「は?正気だけど……」
喜んでくれた……?
似合ってるって言ってくれた……。
ああ。
良かった良かった。
君のために選んだんだから。
そう言ってくれることを望んだのだから。
君が愛おしいよ……。
この気持ちは……なんだか。
嬉しいのに、重くて……ずっしりしてる。
「あっ、そーいえばぁ。葵ぃ、かぐやちゃん呼んだのよぉ。玲斗がいるんだからぁ。女の子と玲斗が二人なんてぇ心配だろうしぃ。」
「は?」
とみりやたんが。
「わぉ……え?」
とれーとが。
「誰?」
とわたしが。
待って。
ほんとうに……誰?
かぐやちゃん……かぐや……ちゃん。
てことは。
「女」という性別ということ。
その位は理解できる。
ルリとれーとが二人なんて……心配になる存在の人。
つまりは。
君のーーーーー。
「彼女!?」
「あー、隠すつもりはなかったんだけど」
どういうことなの!?
いないって……っ!
嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘!!!!
君に彼女なんてそんなの……幻影だ。
「私には隠す気があったわ」
「みりやたん!?」
「だって。あの子に彼女いるなんて聞いたらルリちゃん自身なくすじゃないの」
それはいい気遣いでございました。
シャーロットさま。
ですが。
それを知ってしまった時の気持ちはなんとも言えない。
言葉にならない。
あれ……?
れーとにどんな顔すれば……いいんだっけ……?
迷ってしまうよ。
君にルリの想いを込めて見てもいいの?
駄目でしょ?
そんなの……彼女さんへの罪悪感が……してしまうから。
「……あら?お取り込み中ですか?」
「あらぁ。かぐやちゃん!」
わぁ……。
黒髪のセミロング。
純白のワンピース……。
可愛い……子じゃないか。
前に君の隣にいる子のことを考えたことがあった。
そのものだ。
ルリより可愛いくて……。
清楚で……。
なんだぁ。
バカみたいじゃん。
何一つこの子に勝てる物を持ってない。
かなうはずない。
「花宮かぐやです」
「かぐや……、大丈夫だったの?」
「はい。1人でここまで……来れるよ?」
心配そうなれーとの目。
ルリにはそんなこと言わない。
そんな目、みたことないよ……。
「葵さんに呼んでいただいたの。
玲斗……貴方、海入るのでしょう?」
「まぁ、すこしはね。かぐやは?」
「私も少しくらいなら良いかなぁって……。
一緒に思い出作りたいじゃなぁい?」
「そうだね」
優しく笑ってる。
これはスを出してる目じゃん。
なんだこれ。もうーーー。
見てわかっちゃうじゃん。
君の特別は……この子なんだって。
- Re: 愛と優しさと罪悪感と。 ( No.3 )
- 日時: 2015/08/25 17:18
- 名前: *水沢麻莉衣* (ID: m9NLROFC)
2話 君の隣のあの子は。
「楽しそうじゃない。玲斗は海には?入りますか?」
「だから少し入るってば」
と、玲斗は彼女に優しく笑いかけてる。
……ルリには見せてくれないじゃん、れーとはさ……。
「ルリ……さんですか?」
「えっ。は、ははいっ……っ!美弥妃っルリです!」
「まぁ。仲がよろしいんですね」
上品な子だなぁ。
すごいいいとこのお嬢様なんだろうなぁ。
いい子そうだ。
「かぐや、幼馴染みだよ、ルリは」
「幼馴染み……!ルリさんが!?玲斗の!?まぁまぁ!
お会い出来て嬉しいです。玲斗から話は伺っていますから。」
「れーとから……?あっ、かぐやさんは、その……彼女さんなのですか?」
何改まってんの?とれーとからの嫌味が聞こえる。
悪いか、改まって。
だってお嬢様じゃん、この子……!
「沢山お話させてくださいね」
「はいっかぐやさんっ」
あ、仲良くできそうな子じゃん。
いい子なんだろうなぁほんとうに。
この子は知らないのに。
ルリが貴方の彼氏をねらってる、なんて。
みじんも思わないだろう。
ルリ……汚くて醜くて……ずるい子だな。
ほんとにーーーずるい子だな。
「るりー。」
「!リイア!?」
「やほー。来ちゃったよ。でー?玲斗くんの彼女が居るんだって?気になるじゃん。、どの子?」
「あ……私……ですか?」
清楚で可愛くて…。
小さなその子は消えそうな声で名乗り出た。
リイアはその子をジロジロ見た。
上から下まで。
しっかりと。
「へぇ。もしかしてーーー、玲斗くんてーそういう系だったんだ?知らなかったよ」
「え……?リイアさん?」
「や、後でね」
「……?」
れーとはぽかん、としていた。
相変わらず、ぽかん、としていた。
葵は楽しそうにぴちゃぴちゃ遊んでいる。
そしてかぐやさんは常にれーとの隣をキープし続けた。
ルリなんて……入る隙がなかった。
すると、リイアが言った。
「玲斗くん、可哀想ね」
「え?なんでさ。、あんな楽しそうにしてるんじゃん?」
「守ってください系の子じゃない。
あーゆーの、見てあげちゃうタイプだったのね。玲斗くんて。見損なったわ。」
……守ってください系の女の子……?
それって?なに?
「わかってなさそー。だからね。ルリ。
自分がそばにいなきゃーみたいに思ってるのよ、玲斗くんは。そんな気がするの。
見てればわかるじゃん。あれなら、盗むも何もーーーないわね。あーゆー女の子……気をつけなよ」
「う、うん」
そんな子に見えないけどなぁ。
かぐやさんて……。
ルリ、やっぱり何も解ってないのかな……。
- Re: 愛と優しさと罪悪感と。 ( No.4 )
- 日時: 2015/08/25 17:44
- 名前: *水沢麻莉衣* (ID: m9NLROFC)
「あっ……、かぐやさんは海は?入りますか?」
「……いえ」
あっ、入んないんだ。
それならーーーーーーー。
少しくらい、れーととの時間をくれても、もらってもいいですか。
このほんの少しの時間をもらってもいいですか。
ほんと…ずるい子じゃんか。
こんな自分が嫌で嫌で仕方ない。
「ルーリ、海入ろうよ。ひとり悲しく入るなんてやだよ」
「もーっ、仕方ないねーあんたはほんと。いいよ。」
れーとは水着ではなく、ズボンをまくっている。
パーカーも七分袖にし、ゆっくりと海に入っていく。
ルリもそれを追うように海に入っていく。
「もーっ!!!」
もっと近くに行きたいよ!
もっともっと……っ!
抱きしめてよ……!
ルリの近くに来てよ……っ。
じゃっぷん!
「……へ」
「……。」
目の前にいたはずの黒髪の男の子は……消えた。
姿を消した。
思わず下をみる。
……あ、ああ……っ!?
「……おまえ、ふざけんなよ」
「うん、だよね。許さないよね」
「当たり前だろ」
私服の彼は……。
申し訳ないが、ルリのせいで、全身ずぶ濡れ状態。
「んの……っ、ルリも来いよ……っ!」
ばーか!
という声が聞こえたと思うと……。
じゃっぷん!
ルリまでずぶ濡れ状態。
こいつ、ルリを海に投げ捨てたな……っ!
んの野郎……っ!!
思わず、ルリはれーとに「おらあああ!!」とバシャアアアッと海の水を飛ばす。
もちろん、れーとがそのままスルーするはずもなく。
「調子のんなよ……っ!」
バシャアアアッ
ルリに水着飛ばす。
ルリもそれを返す。
やり返すのでで終わらない。
どうするの!?これ!
終わりがみえないしっ……!?
ここでルリがやめて、「はーい、これでおわりねー」とか言うと絶対勝ち誇ったみたいに笑うに決まってやがる。
ここで引くわけには……行かない!
「……っ、玲斗……っ」
今にも消えそうな弱々しい声を上げた少女がいる。
後ろを振り向けば……かぐやさんが玲斗を呼んでいた。
「かぐや?どうかした?」
「……玲斗っ……来て欲しいの……」
「うん、いいよ。待って」
「……っ、れーと……」
その声はれーとには……届かない。
れーとはかぐやさんの声しか届いてなかった。
……なぁんだ。
わかってたくせに。
なんでこんなにショックなんだろ……。
「玲斗、何か飲みましょ?私、何か買いに行ってくるから」
「いいよ、かぐやはここに座ってて」
「……一緒にいくから……っ」
れーとは唖然としていた。
そんなに必死になって何を焦ってるの?
焦りたいのはーーールリの方だよ……っ。
「ひとりに……しないで……っ」
「……行こ、かぐや」
かぐやさんはにっこりしてれーとを見上げた。
いいな、あーゆーの。
自然と羨ましくなる自分が嫌になる。
叶わないのに。
見たくない望みが……見えてしまう。
「みりやたん……」
「なにかしら?とりあえず言っておくわ。
ご愁傷様だわ、あんなに見せつけられて。さぞかし悲しいでしょうに」
「心が……こもってないですよ……みりやたん……」
「そう?あ、早いわね。戻ってきたわよ」
ほんとうだ。
戻ってきた。
かぐやさんはれーとの腕を掴んでべったりだ。
なんで……。
わかってるのに……こんな気持ちになるの……。
「かぐや、送ってくね、ミリヤ」
「あら。体調悪そうね」
「ただの……貧血なの……ごめんなさい」
「謝らなくていいから」
優しい声をかけるれーと。
なんで……。
ルリは体調を崩したかぐやさんをいい気味だと思ってしまうの……?
最低だ。
いくら何でも。見損なってしまう。
「ほら、帰るよ」
「嫌っ……!だってっ……。帰ってきたら貴方はっ玲斗はっ……またルリさんといるのでしょう!?
そんなの……っ嫌……っ!」
「かぐや……かぐや……落ち着い……っ」
叫ぶかぐやさんはどんどん息が荒くなる。
……大丈夫なの……?
「好きって言って……っ!愛してるって……っ!そばにいるって……言って!」
れーとは抱きしめる。
ルリのまえで。
ルリの前で、お構いなしに。
ほんとうにルリは……意識されてないんだ。
「好きだよ……愛してるから……そばにいるから……大丈夫だよ……僕は居なくなったりしないから」
「……っ、玲斗っ……!」
しばらくルリはその光景を見ていた。
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