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勇者という名の置物は捨ててきた
日時: 2015/08/27 15:43
名前: 333クリニック (ID: y36L2xkt)

RPGに於いて勇者とは絶対無敵の救世主である。
そんな事を考える者は多いだろう。
勇者は己が操作するキャラだ。 それ故その様な雰囲気に呑まれ易い。

だが、この転生者だけは違った。

全く世界を救う気が感じられない転生『武闘家』と、その世界を救う『勇者』が仲間集めながら魔王から世界を救うコメディ、開幕!

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Re: 勇者という名の置物は捨ててきた ( No.1 )
日時: 2015/08/27 15:55
名前: 333クリニック (ID: y36L2xkt)

【プロローグ 転生するなら何したい?】
ーーT県U市某所。
此処にある男が居た。
「……夏休みもあと僅か、ゲームも面白くない、アニメもつまらん、やる事は終わった……暇だわ……」
クーラーの効いた部屋で1人ごちる、髭が伸び始めたジーパンを履き、上は下着の白いTシャツを着た男が寝っ転がっていた。

彼は現柳零徒(うつつやなぎ れいと)、この夏で20歳の彼は、仕事先を見つけ、運転免許も取ったばかりで、後は当日を迎えるだけであった。
一人暮らしの零徒は、親から勘当され、頼れる者も居なかった為駄目人間だが、身体能力だけはそこそこあった。 ……まあ、宝の持ち腐れだが。

「……ん?」

零徒の耳に、『何かが』此方へと走る音が聞こえた。 この近くに工事現場がある為、そのトラックが走っているのだろう。
……だが、違和感を感じた。

……何故、此方へと走っているのだろうか?

そんな事を考えた零徒が顔を上げるのと同時に……ー

ー零徒の部屋へと突撃したトラックが、零徒を物言わぬ挽肉へと変えた、ーー

Re: 勇者という名の置物は捨ててきた ( No.2 )
日時: 2015/08/27 18:09
名前: 333クリニック (ID: y36L2xkt)

【第1話 勇者対面】
「おお若者よ、死んでしまうとは情けない」
「……は?」
突然目の前が明るくなったと思えば、眼前に見知らぬ爺さんの顔がアップで映っていた。 加齢臭キツイから離れろ。
「ぐおお……爺さん、此処は何処だ?」
「ふむ、やはり記憶にないか……」
老人はカツンと杖を鳴らしながら歩き、少し歩いた所で、零徒の方へ向いた。
「御主のその服装からして『外来人』というのは分かっておる。 その若さであの世へ行くのは少々惜しいと、神が告げたのだ」
「はあ……そうですかい」
老人の話を聞きながら、零徒は室内を見渡した。

石造りの壁が四方から囲み、床も石畳、天井は木で張って作ってある。
これはまるで何処ぞの城の地下室だ。
「若者よ!」
「近いな!?」
またも零徒に詰め寄る老人、加齢臭がキツイから離れろ。
「御主は既に外の世界で死に、この世界にて蘇った。 つまり……分かるな?」
「分からん!」

即答。 僅か1秒にすら満たさない即答。
だが老人はそれを無視した。

「この世界に蘇ったからには、御主には『勇者』の手伝いをしてもらう!」
「ゆ、勇者あ!?」

勇者……魔王を倒して、姫を救い出して、世界を平和にする大役。
それの手伝いをしろと、この一般人に!
「御主からは『武闘家』としての気質が備わっておる! 大丈夫だ! 御主なら出来る!」
「えー……」
嫌そうな顔をする零徒だが、老人が尻を叩きながら進ませるので言われた方向に進んだ。ー

ー一方、零徒よりも幼さを感じる青年が、偉そうな老人……王様前で片膝をつけていた。
「其方が『勇者』か?」
「はっ、私こそこの世界を救う為に立ち上がった勇者・アインで御座います」
アインは頭を上げずに名乗り上げ、王様は頼み申し上げた。
「勇者アインよ! 其方にはこの世界を救うと共に、魔王によって連れ攫われた姫を救い出して頂きたい!」
「しかし王よ、私一人では微力。 如何か私に仲間を与えて下さい」
アインの頼みに、王様は頷くと、大臣を呼び出して一言告げた。
そして大臣がその場を暫し離れ、戻ってくると零徒も共に来た。
「勇者アイン! この者が仲間となってくれよう!」
「え、嫌なんですけど」「有り難き幸せ!」「有り難き幸せじゃないだろ、他の奴にしろよ」「他の者達は道中、仲間になるであろう! 良き協力者と共に、世界を救ってくれ!」「話寛大に進めんなよ、俺の意思尊重しろよ」「はっ! 必ずや、仲間と共に世界を救い、姫を救い出してみせましょう!」「もうヤダ! 何此奴等!? 俺の事無視してるよね?!」
零徒はこの勇者達が嫌になってきた……ーー


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