コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 神奈川パーキングワーク!
- 日時: 2015/09/06 00:34
- 名前: ガッキー (ID: J1W6A8bP)
二作目です。まだ一作目も完結していないのですが、思い付いてしまったモノは仕方無いと思います。
前人未踏のパーキングコメディが貴方を待っている!何て事は有りません。ただのありふれたコメディです。ゆっくりゆったり楽しんで戴けたら幸いです。
『帰宅部オーバーワーク!』という作品も不定期的に投稿しているので、そちらも良かったら読んでみて下さい。お世辞にもオススメ出来る作品ではないかも知れませんが。
あと・・・、コメントが貰えたら嬉しいです。部屋で叫びます。
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- Re: 神奈川パーキングワーク! ( No.1 )
- 日時: 2015/09/06 15:06
- 名前: ガッキー (ID: J1W6A8bP)
パーキング・エリア。日本語にすれば、駐車場。車を停める為の場。二文字にすればPA。
これを読んでいる九十九%の人が訪れた事がある。言ってしまえば、公園よりも訪れた回数は多いのではないだろうか?
言い過ぎか。
まあ、良しとしよう。
神奈川某所に存在する、とあるパーキング・エリア。名称が統一される事もなく、経営者さえもそのパーキング・エリアの正式名称は忘れてしまっていると言うーーパーキング・エリア。
そこまで書き連ねているのだから、一般人が気軽に入れる場所ではないというのは察して戴けるだろう。確固たる信念があっても、海より深い理由があっても駄目だ。と言うか無理だ。
そこは、
天界と現界を。
あの世とこの世を。
あちらとこちらを。
fantasyとEverydayを。
並行世界とこの世界を。
未来と現代を。
宇宙と地球を。
ここではないどこかと、ここを。
結ぶ、架け橋なのだ。
全ては全てに交わる。存在する以上、一生平凡は有り得ない。でないと、神様が退屈するだろう?神様は退屈を嫌うから、人生何かしらアクションやアクシデントがある。山が有り谷が有る。
と、長々表現してみても、多分半分以上意味は伝わっていないのだろう。それは、俺の文才が無いからだ。
簡潔に説明しよう。
天界からいきなり天使が東京に現れたらパニックになるよな?
だから必要なのは、あちらとこちらを平常に平和に平穏に繋ぐ、橋渡しだ。天使が東京に現れないように、事前にアポイントを取らせてパニックを防ぐ仲介役だ。
パーキング・エリア。
あちらとこちらを繋ぐ場所。そこには、神様も悪魔も勇者も魔王も王子も姫も異人も超人も未来人も宇宙人も革命児も反逆児もーー何もかも、誰も彼もが訪れる。
辛いさ。何せ、少しでも対応を間違えれば、地球何て宇宙の塵になるのだ。胃が痛くならない日なんて無い。
それ程の力を持った方々が、毎日のようにパーキング・エリアに訪れる。
嫌になる。
そこで働いている店員の身から言わせてもらえば、ね。
- Re: 神奈川パーキングワーク! ( No.2 )
- 日時: 2015/09/08 23:47
- 名前: ガッキー (ID: VXkkD50w)
「なぁ、父さん」
「なんだ?」
「高校って・・・何?」
ピクッ。隣で棚卸しをしていた親父の身体がそんな擬音と共に一瞬止まったのが分かる。
「こ、高速?」
「ソレはココだろ。高校だよ高校。ハイスクール」
「・・・・・・聞きたいか?」
「そんな訳有りな雰囲気醸し出さなくて良いから。早く」
「あぁー、改めて言われると説明に困るんだよな。参った参った」
白髪の少し混じった頭をポリポリと掻きながら、言った。
「?」
「まぁ、高校に行ってないお前からしたら未知の存在だよな」
そんなのどうだって良いんだ。この道を選んだのは俺だし。
俺はただ、『高校』が何をする場所なのか知りたいだけなのだ。
「高校っつうのは、学ぶ場所だ。んで、友達と遊んだりスポーツやったり恋愛したりする」
「へぇ〜」
学ぶ、ねぇ。俺はその単語に少し違和感。
いきなりで申し訳無いが、
俺は学校に行っていない。義務教育の課程も終了していない。幼稚園から通っていない。
まぁ、気軽にパーキング・エリアの敷地外に出られない環境で育った訳だし、仕方の無い事なのだが。
勉強もスポーツも、親父が仕事の合間を縫って教えてくれた。今思えば、とても大変だった筈だ。今こうして二人で働いているのもやっとだというのに、昔はたった一人で会計も発注も棚卸しも掃除も家事も何もかもやっていたんだ。
偉大、と表現するのも生温く感じる程だ。
そのお陰で、俺は基本的な勉学はもう頭に入っている。商売に二次方程式も√も∪も∩もいらない。基本的な事だけで充分なんだ。
言い訳に聞こえたか?まぁ、良いか。
そんな訳で、弱冠十三歳で基本的な勉学を身に付け終わった俺(ちなみに、今は十六歳)としては、何の為に、わざわざ、将来あまり役に立たない事を学びに行くのか理解出来ない。
しかし、親父の言ったように、スポーツも恋愛も高校にはある。学ぶだけじゃないという事だ。
・・・残念ながら、それ等はこのパーキング・エリアじゃ味わえないのだが。
「おら、何時まで考え事してんだ。そろそろ回転するぞ?」
「あ、あぁ。分かった」
親父の声で現実に戻った俺は、特に問題が無い事を紙面に書き込んでから、スタスタとレジに向かった親父の背中を追った。
「いらっしゃいませー!パーキング・エリア、ただいま開店しましたァー!!」
親父が入り口(手動)のドアを開けながら、外で開店待ちしていたお客様に向かって半ば叫ぶように言った。
異界と現界を繋ぐのは、このパーキング・エリアのみ。だから、人間ではないお客様方は、みなココに集まる。毎日大混雑って訳。少しは休ませろ畜生が。
わらわらと、入り口から入ったお客様方が店内に散る。
お客様の波をすり抜けるように移動してレジに戻って来た親父が、俺に言った。
「さっきチラッと見たら、外の駐車場と花壇が汚れてた。ここはオレが受け持つから直してこい」
「・・・あいよー」
レジの横に置かれている竹箒を手に取り、裏口から外に出た。
お客様の間をすり抜ける?そんな事親父以外に出来る訳ないだろ。
お客様、一人一人持っている武器も違えば、シルエットも違うんだぞ?無理無理。俺何かがやったら、帯刀している刀にぶつかってスパッと斬り捨て御免されるね。異世界の勇者や戦士は、刀を鞘に入れないで、剥き出しで持ち歩く方が多いんだな何故か。バーカ。
錆び付いたドアを開けると、モワッとした空気が俺を歓迎した。そうだ、店内に居たから分からなかったが、冷房を点けていたんだった。
まぁ、夏特有のこの感覚も嫌いじゃない。
(えぇと、汚れている場所は・・・と)
目を細めなくても、すぐに汚れている場所は見付かった。分かり易いな。鼠色のコンクリートに対して真っ赤の汚れは分かり易過ぎたな。
竹箒を構えて汚れに近付く。
「そこの御方、少し助けてはもらえないだろうか・・・?」
真っ赤な血溜まりの中で、傷の深さ故か、震えている手をこちらに伸ばしながら、ついでに、口の端から血を一筋垂らしながら、瀕死の戦士がそう言った。
おいおい、親父。お客様を汚れって・・・。
- Re: 神奈川パーキングワーク! ( No.3 )
- 日時: 2015/09/19 22:44
- 名前: ガッキー (ID: 1CRawldg)
今にも気を失いそうな戦士とそのまま会話を続けるのもアレなので、取り敢えず近くの日陰までお姫様抱っこで運んだ。
「・・・かたじけない」
戦士は、恥ずかしいからなのか目を逸らしながらそう言った。
「?まあ、気にしないで下さい。力には自信がありますので」
親父が教える体育は少々キツくて、そのお陰か筋肉は付いている方だ。女性一人をお姫様抱っこ出来ない筈が無い。
戦士の服装は、俺が戦士と心の中で呼んでいるのが納得出来る程に戦士然とした格好で、鎧と兜を身に纏っている。腰には剣が収められている(この剣は剥き出しじゃなかった)。しかし同時に、兜の隙間から覗く綺麗な金髪と、鎧とサイズが合ってなさそうな細腕は、コスチュームプレイをしている人のような印象も受ける。
何故、こんな格好をしているのか問い詰めたい気分だ。しかし、今も戦士の身体から失われつつある血液を視界に入れる度に、早く治療をしなければ、という焦燥感に駆られる。
俺の言葉に戦士は、それでも少し頬を赤らめながら「そ、そうか・・・?」と独り言のように小さな声で問うて来た。うーん。今まで女性とあまり(というか殆ど)話した事が無かったモノだから、どんな感じで接して良いのか分からない。
「兎に角、治療をしたいと思うのですが。どうすれば良いですか?」
我ながら可笑しな質問だ。怪我人に意見を求める等。こういう時は親父に聞く
「食べ物を、与えてはくれないかな?」
のが、一番・・・。と、考える暇も与えない即答。それがこの場に於ける最適解なのだろうか?
食べ物って。腹ごしらえをしている場合じゃないだろ。
「食事よりも、治療を優先した方が良いような気がするのですが」
「なぁに、大丈夫だ。反論をするより君は、一刻も早く僕に食べ物を持ってきてほしい」
「・・・分かりました」
このせいで戦士が死んだら、責任は誰にあるのだろう?とズレた疑問を生産、そして消費させながら、俺は裏口に戻った。あそこなら、賞味期限ギリギリーーもしくは、賞味期限切れのお土産がある筈。例え賞味期限が切れていても、死にはしないだろう。
ドアを開き、廃棄用のダンボールを開く。そこには、数々の、食べ物と呼べるお土産が沢山あった。明確な名前は出せないが、有名なお土産もウチのパーキング・エリアは備えている。何せ、ここにしか異界と現界を繋ぐパーキング・エリアは無いのだから。
「どんな食べ物が好きとか聞いてくれば良かったか・・・?」
悩んでも仕方無いし、時間も無い。俺は取り敢えずうなぎパイを三個程くすねて、戦士の元へと急いだ。
「コレで良いですか?」言いながら、うなぎパイを戦士に差し出す。
「うん、大丈夫だ。時間が無いから早速頂くよ」
ヒョイっと俺の手からうなぎパイを取り、包装を綺麗に破いてうなぎパイを口の中に放り込んだ。咀嚼して飲み込むと、次のうなぎパイを取る。
あっという間に、うなぎパイは戦士の腹の中に消えていった。
恐らく、このうなぎパイをどれだけ食べても戦士は太らないだろう。何故ならば、うなぎパイが胃に到達するよりも先に、身体のあちこちから血が溢れて戦士の身体は軽くなる。確実に、じわじわと。
「・・・・・・」
どう考えても、うなぎパイを食べた位で大怪我が治るとは考えられないのだが。出血のし過ぎで頭が可笑しくなったのか?
あと三秒経っても何も起こらなかったら親父に連絡しよう、と考えていた時。戦士の身体に明確な変化が現れた。
「ふ、塞がってる・・・!?」
コンクリートに広がる赤は段々と消え失せ、戦士の身体を染めていた赤黒い血液も、瞬きをしたら消えていた。血が消えた事で初めてハッキリと見えた傷口はとても深く、然るべき医療機関に頼んだなら、数時間にも及ぶ大手術が必要の程。
しかしそれも、何故か塞がる。地面の上からコンクリートを流し込むように、赤黒い色は肌色に戻る。そして、終には鎧も元の形に戻ってしまった。
目を疑う、とはまさにこの事で。俺は、今自分で視認した筈の出来事が信じられずにいた。
「どうなってんだよ」
呟く。戦士は淡々とそれに応えた。
「僕が生きている世界は、所謂ゲームのような世界でね。ご飯を食べたら回復するんだよ」
そんなアホな。と、俺は言いたかったが、その単語を呑み込んで他の言葉を口にした。
流石は、異世界。とーー
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