コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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わたしと町と。
日時: 2015/09/13 14:50
名前: 中学生 (ID: 3NNM32wR)



中学生に、なりました。

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Re: わたしと町と。 ( No.1 )
日時: 2015/09/13 15:30
名前: 中学生 (ID: 3NNM32wR)


「来たよ、中学生!一緒に門入ろうね!約束だよね?してたよね?」
「分かった分かった、だから落ち着け」

 四月十日、心も天気も見事に晴れて中学生となった私と友達の明日美は二人一緒に「せーの」ではじめの一歩を踏み出し、正式に中学生となった。
 兄がここに通っていたせいで、この校舎に入ったのは今日が初めてではないのだが、それとこれとは別の話というやつである。

「うわぁー、でかい、さすが全国トップテンだな」
「確かに大きいよね、迷いそうだー」

 東西南北もあやふやな私と明日美にはややレベルが高い気もするがそこは何とかなるはずだと押切り、クラス表を見に靴箱へと向かう。
 そうしたら、靴箱の前にある長机に名簿があり、残念ながら私と明日美は見事にクラスが分かれてしまい、私は明日美に悲しく別れを告げた。
  
「な、ん、で!同じクラスが川崎だけなの?何故に?」
「うわー可哀想……でもさ、あたしらの学校人数少ないからな」

 私たちが今日から通う事となる南中学校、通称南中は、人数が多い順に、寿小、寿南小、南小となり、私たちが通っていた小学校、管穂小学校からは私と明日美、川崎、琴音、中本しか南中に通う生徒がいない。もともと人数が少ないせいもあるが、普通管穂から南中に行く事がない、という事が一番の理由だ。

「明日美のクラスは残りの三人全員いるもんね、琴音もいるし。いいな」
「まあ一人になんなかっただけ良いって」

 等と話をしながら靴箱に靴を入れる、因みに私の出席番号は七番、小学生の頃と全く一緒で、ラッキーセブンなので割と気に入っている。
 嬉しくもあるが、私が七番ということは恐らく八番はあいつだろう、同じクラスになってしまった川崎こと川崎大樹。私の苗字である川阪と川崎は必ず出席番号が前後で、それが少し気に入らない。

「うわぁ、七番とか良いな」
「嫌だよ、八番絶対あいつだし」
「あたしなんか二十一番だよ、長島だし。入り口から席遠いから嫌だ」

 長話をしていたせいで靴を入れるのが遅れたが、早く来たおかげで遅れるという事はないので安心だ……クラスに誰もいないのは寂しいが。
 その後、他の生徒にこっそりついていき、それぞれ自分のクラスの教室へと向かう、私は三組、明日美は七組だ。

「ふーー、入るか」

 深呼吸をして私は教室に足を踏み入れた。

Re: わたしと町と。 ( No.2 )
日時: 2015/09/13 15:53
名前: 中学生 (ID: 3NNM32wR)



 予想通り誰もいない。まあ靴箱には誰の靴も入っていなかったので当たり前だろう、むしろ教室をじろじろ観察する暇ができてラッキーだ。
 寂しさをそう押し切って私は教室を観察した、そして気づいてしまった。
 ここは三組ではない、という衝撃の事実に。

「二組じゃん!」

 三組改め二組の教室から急いで飛び出し、隣の三組へと向かう。向かうというほど遠いわけではないが。
 「うわあ、やっちゃった」と大声で言うと、残念ながら三組には先客がいた。恐らく寿小出身のロン毛野郎(寿小には問題児が多そうだからきっとこいつもそうだ)。

「どしたのお前」
「何でもないですおはようございます」

 ロン毛は疑問を感じたように可愛らしくコテンと首を傾げ、ニヤリと笑った。なんかヤダこいつ、川崎に似てる、と心臓がすごく煩い。
 この顔って、絶対悪だくみしてるんだって川崎見てきた感じでわかる。

「お前、間違えて二組に入ったんだー、そういう事かー」
「違います」
「絶対そうだろ—、え、そういう奴いるんだ」

 (性格が)川崎そっくりのロン毛、絶対寿小に決まってる、意地悪だし。

「おはようございます……」

 小さな声で挨拶をしたのはいかにも気弱そうなガリガリの女の子で、私は彼女にこっそりと「小枝ちゃん」というあだ名をつけた。

「ん、あー、ええと、佐藤じゃん!」

 ロン毛は思い出すのにかなり時間を費やしたようだが、その苗字は恐らく当てずっぽうで、しかも外れているらしい。
 「違います」と聞こえないほどの声で小枝ちゃんは言い、席に着く。席順表から見るに、彼女は「小林 晴」という名前であるらしく、少し惜しい。

「そうそう小林。で、お前は何て名前」
「言いません、いきなり『間違えて二組に入ったんだー』とか事実無根の出鱈目言ってくるような無礼者には絶対名乗りません」

 そう言い返してやり、スッキリしながら席に着いた。隣は予想通り川崎で、私は廊下側の前から四番目の席だ。

「へー、川阪か……名乗るとか以前に……お前バカか?」

 ロン毛の見下した顔はやはり川崎にそっくりで少し気に入らない。
 ロン毛の前でミスを犯してしまった自分も悪いけど、絶対お前も悪い。席に着いた時点で、席順表を見れば席が分かるのに、馬鹿か私は。

「俺は柊 涼馬。かっこいい名前だろー。川阪 夕映よりは」
「別に川阪だってかっこいいし……あと、『ユウエイ』じゃなくて『ユエ』」

 かっこいいかどうかは別として、川阪が希少な苗字であることは恐らく確かだ、何故って?————名字検索のサイトで検索したからだ。
 多分柊のほうが希少ではあると思うが、別にどうでも良い、そんな事で争うほど低レベルではない。


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