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初恋違反
日時: 2015/09/24 17:36
名前: 風間 彗 (ID: sE.KM5jw)

都立白道高等学校
偏差値68という東京でも有名なこの高校は、制服頭髪も奇抜なもの以外はなにも規制してなく、宿題もそんな多くない。
部活や学校行事にも力を入れ、いじめなどのくだらないことも全くないとのほぼ完璧な高校生活を送れると、中学生にいつも憧れの目で見られる高校だった。

しかし、この完璧な高校には、入学した者しか知られない特別な校則がある。




ープロローグー


5月下旬 白道高等学校 生徒会室

美術部の委員に書かせたやけに上手いモナリザの顔がドーンと書いてある変わった目安箱を逆さにし中の紙を机にぶちまけると、1年1組で風紀委員長を務める杉野 都(すぎの みやこ)は一枚一枚丁寧に開きその中身を見た。

「…あいっかわらずでございますな生徒会長。」
全ての紙を見切ると、顰めっ面になった都が向かい側に座ってる3年5組で生徒会長の沖宮 蓮(おきみや れん)にすべて押し付けるように紙を机に滑らした。
紙には『3ー3の田中と2ー4の川田が付き合ってる』だの『3年2組の横島には他校に彼女がいる』だの、みんなそんなことばかりだ。

「白道高等学校校則第48条
『白道生、教員に恋愛・男女交際は厳禁。』
全200条を超える校則を何も見ずに全校集会で言い切った杉野さんならもちろん知ってるよね。」

ああ、その成果をたたえうんたらかんたらでいきなり風紀委員長になったもんな。

「もちろん。」

「恋愛禁止なのは生徒だけではなく?」

「教員も。」

「正解。」

この高校一番の秘密、それは厳しい恋愛禁止校則。
この学校では、生徒もちろん教師までもが恋愛を禁止されており、この学校には若い独身な教師がほとんどなのだ。


基礎中の基礎だろ?という顔をした都に沖宮は10枚ほどの紙を差し出した。
こういう回りくどい会話が嫌いな都は少し不機嫌そうにその紙を開いた。


「このことについては、生徒会よりも風紀委員長さんの杉野さんに頼みたいんだけど。」

1年2組担任の山里先生と1年3組担任の竹内先生がデキてる。
そして1年1組担任の高橋先生はそのことを知っていながらも黙認している。

10枚ほどの紙には全て似たようなことが書いてあった。


1年1組担任の高橋先生 という文字を見た瞬間、都は思い切り顔を顰めた。
この名前にはいい記憶がない。


「私が、この3人について何をすると?」

「この3人の校則違反が確認されるまで、見張ってほしい。ということですね。」


更に更に顔を曇らせる。
いきなり部屋に入ってきた人が怖がるぐらいの形相だ。

美人な顔が台無しですよ。なんて余計なことは言わない方がいいと沖宮は言葉を飲み込む。




「お願いできますか?」

「…考えておきます。」


都の言葉を聞くと、沖宮は静かに生徒会室を後にした。


都は、頭の中でこの1ヶ月半の高橋先生との嫌な思い出をまた思い出し、イラついた表情になっていた。


ープロローグ 終ー

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Re: 初恋違反 ( No.1 )
日時: 2015/09/24 19:24
名前: 風間 彗 (ID: sE.KM5jw)

高橋 零(たかはし れい)理科
山里 滝(やまざと たき)数学
竹内 遥(たけうち はる)社会
全員 24歳という若さで我が白道高等学校1年担任たちだ。
学年主任は高橋という噂だがさほど興味は無いので知ら無い。


都は基本的に仕事を断ら無い。
校則を取り締まるのは生徒会長の沖宮と風紀委員長の自分が活発にやっていかなければならないということもわかる。
だがあの3人……、高橋と極力関わりたく無いという私感が邪魔をする。




「あれ〜?都さん?」
聞きなれたとは言いたく無い声が右耳から左耳を通過した。
顰めっ面をわざと酷くして後ろを振り向くと、大量のプリントをイメージカラーの黄緑色の百均かごにいれた高橋が生徒会室を覗き込んでいた。


「どうしたんですか風紀委員の都さんがこんなところで!」
こんなところでわるかったな この学校を支えてる奴らの仕事部屋だよ。



「先生こそ」

高橋 零 24歳 イメージカラーは黄緑
無駄無駄無駄と言いたくなるほど鬱陶しい笑顔がトレードマーク
童顔イケメン(ってなんぞ?)らしく彼を想ってる女子生徒もいないことは無いだろう
性格は「乙女」 以上 この1ヶ月半で見た私の高橋 零だ。




「もう下校時刻近いですし、玄関まで…」
「あ、結構で〜す。」

目も合わせようとせずに生徒会室を出ようとすると、廊下の遠くから「零」と声が聞こえた。



白道高等学校一の美人で男子生徒の憧れである竹内 遥先生がイメージカラーの薄いオレンジのシフォンスカートをフワッとさせ、高橋の方へ走ってきた。

「遥、滝は?」
「知ら無い。あんなやつー。」

3人は放課後や休み時間中はお互いのことを下の名前で呼びあう。

この3人は幼なじみだとかこの高校を出た卒業生で元クラスメイトだとかいろいろ噂があるが、一つは本当かもしれ無い。



廊下の向こうで黒い癖っ毛でイメージカラーのブルーのパーカーを羽織った山里 滝先生を見かけた。

ちなみに山里先生もよく「ジャニーズにいてもおかしくない」と言われてる。
ジャニーズといっても顔が十人十色で人の好みもそれぞれだから特別良いのか悪いのかわからないが。
もしかしたらこの学校の生徒は他の生徒よりこの3人に恋してる人の方が多いのでは無いか?
それはそれで大問題だが現実的にあり得てしまうのが怖い。



「滝〜。」
「一緒に帰ろ〜、今日あのうるさい副校長出張だし。」


3人が私の存在を忘れて自分たちの世界に入ってしまう前に、1年生用の下駄箱に向かって静かに走り始めた。



明日までにこの3人のことについて考えなければならない。

まったく、面倒臭いな。


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