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——永遠に醒めない夢を。
日時: 2015/10/18 12:52
名前: 捺 ◆X/xt.nR/8w (ID: tDifp7KY)




君と、見ていたいんだ。



*。゜。*。゜。*。゜。*。゜。*。゜。*



小説開始日/2015.10.18 Sunday
小説終了日/


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Re: ——永遠に醒めない夢を。 ( No.2 )
日時: 2015/10/18 21:47
名前: 捺 ◆X/xt.nR/8w (ID: SHYi7mZj)




*、人物紹介


・百瀬 ひかる / ももせ ひかる

甘栗色をした胸下までの髪と大きな瞳を持つ。名前のように明るく友達思いの為、皆に好かれる。
「明彩学園」に通う。1年C組。


・鷲尾 晴稀 / わしお はるき

少し癖のある黒髪と切れ長奥二重の瞳が特徴。容姿端麗&成績優秀の為、学園のプリンス的存在。
「明彩学園」に通う。1年C組。


・小早川 朱梨 / こばやかわ あかり

茶色のマッシュルームヘアと垂れ目が印象的。優しく穏和な性格で、よく花のようだと言われる。
「明彩学園」に通う。1年C組。


・神埼 隼人 / かんざき はやと

チョコレート色をした癖の無い髪と綺麗な瞳。晴稀と同じく容姿端麗でスポーツ万能のプリンス。
「明彩学園」に通う。1年C組。


/追加有り


Re: ——永遠に醒めない夢を。 ( No.3 )
日時: 2015/10/19 22:45
名前: 捺 ◆X/xt.nR/8w (ID: SHYi7mZj)




【第1章 夢の始まり。】


*。゜。*。゜。*。゜。*。゜。*。゜。*。゜。*



小さい頃から、ずっと聞いてきた言葉がある。
お父さんとお母さんが必ず手を握り合って、微笑みながら、こう言うんだ。


〝運命の人とは、どんなに離れた場所にいても必ず巡り逢えるものなんだ。〟


——この言葉を、幼かった私はずっと信じてた。
でも中学生になって、高校受験も控えて、見事合格して。16歳になった高校1年生の頃には、もうすっかりそんな事など、考えもしなかった。


————〝運命の人〟なんて、存在しない。



*。゜。*。゜。*。゜。*。゜。*。゜。*。゜。*



高校1年生の、12月24日の事だった。
クリスマスイブだからって、お父さんとお母さんは張り切って夕食の買い物。
私の家は行事に力を入れるもんだから、クリスマスイブやハロウィーンなんかは、家のなかが凄い状態になるんだ。

「もう子供じゃないんだから」と、お母さん達には言うけれど。
実は内心、こういう事が何時までも続けられるような温かい家庭がいいな——なんて、思っていたり。
勿論、こんな事は言葉になんか出来ないのだが。

親が買い出しに言っている間、私——百瀬 ひかるは家の飾り付けをしていた。
お母さんから託された紙袋には、使い古したクリスマスイブ用の飾りが沢山ある。

リビング辺りを華やかにしようと、私が飾りを片手に立ち上がったとき、だった。
机に置いておいたスマートフォンの画面が、ぱっと一瞬のうちに明るくなり、激しく鳴ったのは。
見た事のない番号だったが電話だった為、私は急いで出る。



「もしもし。どちら様で——」
「もしもし? 百瀬 ひかるさんでしょうか?」



明らかに低いトーン、早口で、女の人の声がする。
それにしても、何故私の名前を知っているのか? そう思ったのも束の間。
更に意味の分からない女の人の言葉に、脳内が支配されてゆく。



「百瀬 龍治(りゅうじ)さんと百瀬 百合(ゆり)さんが、交通事故の為病院に搬送されました」



女の人は言った。
お父さんとお母さんの名前を、言った。
女の人は言った。
お父さんとお母さんが、事故に遭ったと。

私の手からスマートフォンが零れ落ちる。
スマートフォンの奥から、「もしもし?」とか「大丈夫ですか?」なんて声が、聞こえてくる。
それに答えようとスマートフォンに手を伸ばしたとき、視界がぐにゃりと歪み、私は意識を手放した。


Re: ——永遠に醒めない夢を。 ( No.4 )
日時: 2015/10/21 23:26
名前: 捺 ◆X/xt.nR/8w (ID: BRPsD/Gq)




目が覚めて直ぐ、真っ白な天井が目に飛び込む。
頭がガンガンと傷んで、何も考えられない状態。
そんな状態のなか、ひとつだけ分かったのは——私は今、〝病院〟にいるという事だけ。

壁も、衝立も、カーテンも、全てが真っ白。
そんな色が失われたかのような背景のなか、電話越しに聞こえた女の人の声が耳に滑り込んできた。



「大丈夫ですか?」
「え……っと、なんで私——?」
「ショックのあまり、倒れたんですよ。運良く住所が分かったので、病院まで運んだんです」



まだ痛む頭を抑えつつ、女の人の方を見る。
この病院の看護師であろう彼女は、長い黒髪をひとつに結って、お団子にしている。そして、真っ白な服が良く似合う、とても整った顔立ちだ。

私は、看護師さんの言った〝ショック〟が何か、分からなかった。
つい先程の事なのに忘れるという事は、余程ショックだったのだろう。嫌な考えが、頭を過った。
看護師さんは眉尻を下げ、とても辛そうな表情をして私を見つめると、手を優しく掴んだ。



「……此方に、来て下さい。全て分かります」
「……え? ああ、はい……」



看護師さんに言われるがままに、着いて行く。
長い廊下を歩き続け、漸くとある病室の前で看護師さんは立ち止まった。
引き戸を重そうに引くと、看護師さんは顔を伏せて私を病室のなかに招き入れる。

「失礼します」と言おうとしたが、無理だった。
目の前には、信じられない光景が広がっていた。
ただ私は口を開けて、呆然と立ち尽くしていた。

喉がカラカラに渇く。
水分欲しさに喉を鳴らし、震える唇を動かした。




「お父さん、お母さん……————?」


Re: ——永遠に醒めない夢を。 ( No.5 )
日時: 2015/10/22 21:42
名前: 捺 ◆X/xt.nR/8w (ID: hujSVxra)




ベッドの上で、白い顔をして眠るふたり。
それが誰なのか、間違える筈がなかった。私が今まで生きてきたなかで、いちばん人生を共にした人達なのだから。

呟いた声も、足も、指先までも。
ガクガクと震えて、私はその場に立ち尽くす事しか出来ない状態である。
ふたりの元に今すぐ駆け寄り、「冗談はやめてよ」と、明るい声で言いたいのに。

呆然と立ち尽くす私に、看護師さんは話を切り出した。沈黙が打ち破られ、聞きたくない話をされる。



「——百瀬 龍治さんと百合さんは、2時間程前に交通事故に遇われました。……貴方のご両親で、間違いないですね、ひかるさん?」



頭を金槌で殴られたみたいだった。
小さな声だったのに、耳がキリキリと痛んだ。
ああこれが夢だったら良いのに——と、そんな考えだけが頭のなかを駆け巡る。
今の私には、他の事を考えるなんて、とても不可能な事なのであった。

私は看護師さんの質問に、頷いた。
少しだけ首を下に曲げただけなのに、目からは雨が降り始める。
その雨が止む事はなくて、床にぼろぼろと零れ落ちる涙を、私はどうする事も出来なかった。



「——嘘じゃ、ないんですか」
「手は尽くしましたが、駄目だったんです」



その言葉に私な泣き崩れる。

〝駄目だった〟

それは、お父さんとお母さんの死を意味する事となるのだ。更に涙は溢れ出てくる始末である。
喉がカラカラに渇くまで声を上げて、涙が出なくなるまで私は泣いた。泣き続けた。



——この日から、だった。

私の心から〝何か〟が消滅してしまったのは。


Re: ——永遠に醒めない夢を。 ( No.6 )
日時: 2015/10/23 16:38
名前: てるてる522 ◆9dE6w2yW3o (ID: hYCoik1d)
参照: http://www.kakiko.cc/mydesign/index.php?mode

題名からとても素敵な小説でした!
初投稿でも、凄い小説で驚くばかりです(^O^)/

冒頭から御父さんと御母さんが事故...
もう、本当に続きが気になりすらすらと読めました!

これからも続き楽しみにしています♪

頑張って下さい!

2回目のコメントはできるか分かりませんが、陰ながらも読まさせて頂きたいと思ってます!(^^)!


応援しています(^^♪


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