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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- エイプリルフール
- 日時: 2015/10/24 22:10
- 名前: きのこ村のきのこ太郎 (ID: e6MQXn6.)
君がいなくなった瞬間に思ったんだ。
君は僕が出逢った人の中でも最低で最悪な人間で、そしてそんな君を愛していると言う僕も、すべてが最悪で、最高だったのだと
ドクドク
僕の全身の脈が強張る
何回も掛けてるはずなのにこの瞬間だけはいつも緊張してしまう。
なぜだろう
もし、君がいなかったら、なんて言おうとか、もし君が出てくれたらどんな話をしようとか。
そんなことを考えている時間が一番、緊張してしまう。
はあ、と息を吸って、その息を殺して画面の数字を押す。
プルルル プルルル
2回のコールで君はいつも僕の電話を受け取る。
知ってる、そんな事。
プツッ
電線が切れたような音を僕は受け取る
「…瀬之くん?」
もしもし?を言わない君の声はいつもよりなんだか暖かい。
「あのさ」
はぁ、と殺してた息を全部吐く。
だけど、君にはかからないようにそっと。
「あのさ、俺なれたよ。」
吐ききれなかった息が少し、君にかかる。
「せんせい、だっけ?」
「うん」
「ずっと、なりたいって言ってたもんね」
君は、確かめるように言葉、一つづつ拾って僕に言う。
「ごめんな、最近、時間なくて」
「ううん、いいよ、おめでとう」
「ありがとう。…あのさ、」
言いかけた言葉は
「あたし、用事あるから、切るね。」その一言で喉に沈んでいった。
「うん、じゃあね、おやすみ」
「おやすみ」
プツッ
真っ暗になった画面の静けさが、僕を包んでいく。 (つづく
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