コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 青春コンチェルト
- 日時: 2015/11/19 00:52
- 名前: 桜雨 ◆q.VcedTtY2 (ID: Bl6Sxw0v)
はじめまして。桜雨と申します。
青春×恋愛小説初挑戦、です。
至らないところなど様々あると思いますが、温かい目で見て下さると幸いです。
(アドバイスや感想いただけたら、とても嬉しいです…!!!)
それでは、よろしくお願いいたします。
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- Re: 青春コンチェルト ( No.1 )
- 日時: 2015/11/19 00:02
- 名前: 桜雨 ◆q.VcedTtY2 (ID: .g3iy5Ut)
夢の中
手を伸ばしても届かない
いつも幸せは他の人が持っていて
それを微笑みながら眺めているわたし
ほんとはすごく羨ましいのに
悔しいのに
いつからわたしは
こんなに空っぽになっちゃったのかな
- Re: 青春コンチェルト ( No.2 )
- 日時: 2015/11/19 20:18
- 名前: 桜雨 ◆q.VcedTtY2 (ID: xrRohsX3)
息を吸って——
はいて。
……よし。もう大丈夫。
大事なのは第一印象。笑顔、だよ。私。
言い聞かせているけど、手が震えてるのが自分でも分かる。
でも、頑張るしかない。夏原雫、行きます!!!
「お、雫じゃん。おはよ」
「わ、遥香一緒なの!おはよう!!」
……よかった。一番いて欲しい人いた……
鶴井遥香。去年も同じクラスの、一番の友達。
一瞬で緊張が解けた気がする。本当によかった。
そういえば……
遥香の隣にもう一人いる。誰だろう。
「遥香遥香、この子めっちゃ可愛い……えと、名前、雫だっけ」
すごく美人な子だ。口を開くのが緊張する。
「うん。はじめまして」
「私中村瑞姫。よろしくねー雫」
瑞姫ちゃんが、こちらににっこりと笑いかける。
「こちらこそ、よろしく瑞姫ちゃん」
「雫、ちなみにこいつはうちと同じバスケ部ね」
「そうなんだ」
「あと、瑞姫はちゃん付け嫌いだから」
「そーそー瑞姫でいいからさっ」
言いながら、瑞姫ち……瑞姫がウィンク。
なんかキラキラのオーラ出てる気がする……!
「あ、雫ってねーすんごい笑顔かわいいくせに超ド級の人見知りなんだよ」
「遥香なにいってるの」
「まじで?あんまそんな感じなかったわ」
「瑞姫は優しいなー」
「どーせ私は優しくないですよーだ」
こういう自然で、温かい雰囲気好き。
きっと、遥香のお陰。
あの子は人を引き寄せる力があるし、どんな人とも自然に話せてる。
いつも助けてもらってる。感謝感謝。
「そういえばクラス名簿見た?」
「ん、見たけど?」
「見たならわかるでしょ!」
遥香が目を輝かせてる。なんだろう。
「て、ん、こ、う、せ、い!」
転校生。
「しかも男子!」
男子。
「新たな恋の予感が」
「ないない」
「えー?!だって雫、転校生との恋とか憧れるって言ってたじゃん」
「わんちゃんあるで」
「瑞姫、なにそれ」
「ま、口ばっかりっていうしね」
「ないない」
恋かあ。そんなの、縁もゆかりもなかったな。(少女マンガで満足してた人間だし)
ふと教室を見渡すと、いつの間にか人が増えてた。
女子も男子も何人かで固まって話してる。
————あ
今、私のこと、見てた……?
「……っ」
「どこみてんの?……あ、ちよちゃん?」
「あんまじろじろ見ないほーがいいって」
瑞姫もちよのこと、知ってるんだ。
って、いけない。気にしちゃ、だめだ。
「ごめんごめん、何でもないよ」
「ま、転校生楽しみにしてよーぜ。」
「わんちゃんあるで」
「だからなにそれ!」
大丈夫。今が楽しいから。
笑っていられることが幸せだから。
……なんて、私は最低なんだろう。
- Re: 青春コンチェルト ( No.3 )
- 日時: 2015/11/22 17:13
- 名前: 桜雨 ◆q.VcedTtY2 (ID: uumkjDES)
——がらっ
「皆、おはよー」
「おはようございまーす」
ゆるっと教室に入ってきたのは、北条なずな先生。英語教師。
2-Aの担任なんだ。すごく嬉しい。
なずな先生はまだ先生になって3年目ということもあり、生徒に近い目線で接してくれるので、男女問わず誰からも親しまれる人気の先生だ。
授業もメリハリあるし面白いし。
「担任、なず姉かー」
「なず姉?」
「バスケ部の顧問なの。みんななず姉、って呼んでる」
「仲良しなんだね」
「コーチっていうより部員みたいな感じだしね、遥香」
「そーそー。休みの部員の代わりに入ってくれたりするんだよ」
顧問の先生かぁ。私は部活に入ってないし、授業以外関わりないから羨ましいかも。
「ほら今日チャイム鳴らないから座りなー」
なずな先生の声が教室に響く。もうそんな時間なんだ。席、出席番号順だよね。
そう思ってたら、遥香がめっちゃ目を輝かせてる。
「ね。うちら多分出席番号近くない?」
「確かに……男女番号別れてるし、そうかも」
えっと、鶴井遥香、中村瑞姫、夏原雫。
ほんとだ。近い。
「よし遥香、番号いってみ」
「30番鶴井遥香!」
「お、31番中村瑞姫!」
偶然ってすごい。
「32番夏原雫!」
『おおー!!!!』
いい席いい席。
「あ、席適当に組み替えといたから自分の番号のとこ座ってってー」
といって、白くて大きい紙……座席表を黒板に貼り付けるなずな先生。
まじか。出席番号関係ない。
「うち一番前……しかも教卓のド真ん前……おーまいがぁぁ……なず姉ー!!!!」
もう遥香が悲鳴上げてるし。
「瑞姫席どこ?」
「窓側前から3列目!雫は?」
「待って、よく見えない……」
眼鏡装着。私の場所は……
「真ん中の列の一番後ろ……!!!!」
「おめでとう……!!!!」
前じゃなくてよかった……!ごめんね遥香!
「雫ずるいー」
「鶴井。早くこっちきなさーい」
「なず姉のばかぁぁ」
……ちょっとかわいそうかも。私も移動しよ。
確か、私の隣の人は9番の人、か。
あれ?
いない。休み?
「皆座ったー?転校生紹介するよー」
なずな先生の声で、教室が再びざわめく。
「転校生どんなかなー?」
「めっちゃかわいい子だったらどうしよう」
「でた男子ー下心ー!!!」
「言っとくけど男子ね」
「 」
「じゃ、入ってもらうよ?」
なずな先生がドアを開けた。
……——
『……!!!!!』
みんな固まってる。私も驚きで目が離せない。
だって。
すごく整ってる。
放ってるオーラが並大抵のものじゃない。
「神原隆哉。よろしく。」
王子様のような彼は、教壇に上がり、素っ気なくそう言った。
「神原の席は、9番だからあそこ、夏原の隣な」
「どこ」
「真ん中の列の一番後ろ」
「はい」
え。
え。
えええええええええ!!!
- Re: 青春コンチェルト ( No.4 )
- 日時: 2015/11/30 22:18
- 名前: 桜雨 ◆q.VcedTtY2 (ID: xSFqyKL7)
私の隣が、神原くん。
神原、隆哉くん。
どうしよう。心臓がバクバクいってるし、女子の「いいなー」視線が痛いしでパニックだ。
なんで私の隣なの……!
——がたん
無造作に、椅子を引いて座る神原くん。近くで見るとますます、格好良いというのが分かる。
彼は初対面の人で、ましてや男子だ。
ああ、私、やっぱり人見知りなんだ。言いたい言葉が喉に引っかかる。
すごく緊張する。
緊張する、けど。
なんか、言わなきゃ……!!
「神原くん」
「……」
……あれ
返事、してくれない。
聞こえてるはずなのに。こちらを、一瞥しただけだ。
しかもその視線は冷たくて。
「神原くん。私、夏原雫っていうの、よろしくね」
「……」
「わかんない事あったら何でも訊いて?」
なるべく目を見て話したいけど、彼がこっちを見てくれないから、顔を覗きこむようになってしまう。
神原くんも緊張してるのかな……?
「余計なお世話」
え?
今、"余計なお世話"って……
背筋に冷たいものが走る。
その一言で、私の次の言葉を封じることが出来る程の威力があった。
「っ……ごめん」
なんとか言葉を絞り出してみても、これくらいしか言えなかった。
——そのまま、私と神原くんは一言も言葉を交わさず、朝のホームルームが始まった。
「今日はロングホームルームだから、委員決めやるよー」
私の沈んだ心と裏腹な元気ななずな先生の声が頭に響く。
委員決め、か。
「皆も1年経験したから分かるだろうけど、一人一役だからねー!」
なずな先生が、黒板に委員を書き出していく。去年もやったし、今年も図書委員でいいかな……
ちらっ、と隣の神原くんを盗み見る。
何やるんだろ。
それにしてもまつげ、長いなぁ……
「何」
「へっ」
変な声出た。
「こっち見んのやめてくんない、気持ち悪い」
「あ、ごめん……」
見てたの、気づいてたんだ。すごく、冷たい眼で私を睨んでる。
今日の私、"ごめん"ばっかりだ。
でも……いくらなんでも、気持ち悪いって、ないよ。そんなに、嫌なのかな。
考えれば考えるほど、胸がちくちくする。
「……じゃあ次、図書委員」
え。
あ。
「はいっ」
気づかなかった。
もう希望とってたんだ……
黒板には、学級委員、美化委員、放送委員、文化祭委員の集計がとられていた。
文化祭委員の下に、遥香の名前がある。
「じゃあ図書委員は、夏原と神原ねー。はらはらコンビで頑張りなー」
教室にどっと笑いが起こる。
神原くんと一緒でいいなーとか、交換したい、とか言ってる声も聞こえる。
でも、そんなの耳に入らない。
嘘だ。
なんで、また……
「……最悪」
隣でぼそっと、神原くんがそう呟くのが聞こえた。
- Re: 青春コンチェルト ( No.5 )
- 日時: 2015/12/06 15:37
- 名前: 桜雨 ◆q.VcedTtY2 (ID: YxUxicMi)
「……いい加減にして」
なんで、会ったばっかりの人にこんなに言われなきゃいけないの?
紡ぎだす言葉が、止まらない。
「自分が少し格好良くて、ちやほやされてるからって調子に乗らないで」
「……は?」
「どうせ、私みたいな平凡な奴を見下してるんでしょ?!」
大声を上げてから、クラスの人達から注目されていることに気づく。
全員が、私を、見てる…………
思わず、喉がひゅうっと鳴った。
「平凡とかどうでもいいけど」
神原くんが、立ち上がる。
「俺は、あんたみたいなへらへら作り笑いして人生上手く行ってる奴が嫌いなだけ」
「!」
教室がざわめく。
「調子に乗ってんのはあんただよ。バーカ」
動けなかった。
私は椅子に座ったまま、神原くんが教室から出て行くのをただ呆然として見ているだけだった。
「夏原」
「……あ、なずな先生……」
気がつくと、なずな先生が私の席の前に立っていた。
「ごめんな。あいつ、色々あって、さ」
なずな先生は、悪くない。
「私も……うるさくしてしまって……委員会決め邪魔しちゃって、先生も、みんなも……ごめんなさい」
立ち上がって、謝罪する。
「夏原さんは悪くねーよ」
「あの言い方、むかついたもん」
「そーそー。もーいいからさ、続きやろ、せんせー」
次々に声があがる。
「みんな、ありが……とう」
感謝の言葉もたどたどしく、私は席についた。
「じゃあ、続けよっか」
なずな先生が教卓に戻っていく。
委員会決めが再開しても、私の頭の中にはずっと、さっきの神原くんの言葉が響いていた。もやもやして、机に突っ伏した。
"俺は、あんたみたいなへらへら作り笑いして人生上手く行ってる奴が嫌いなだけ"
"調子に乗ってんのはあんただよ。バーカ"
まるで私の全てを見透かしたみたいなその言葉に、何も言い返せなかった。
ずっとずっと、忘れようとしていた思い出が、後悔が……ふっと蘇ってきてしまったから——
❊❊❊
私には小学生からの友達がいる。
その子の名前は五反田ちよ。
優しくて、人のことを一番に考えられる最高の女の子。
中学生になって、クラスがばらばらになった。
最初のうちはお互いの教室に遊びに行ったりしてたんだけど……私に新しい友達が出来てから、そう簡単には会えなくなってしまった。
中学校という新しい世界が、とても楽しかった私には、ちよのことを考えるほど余裕もなかった。
だから、ちよがいじめられていることにも気づけなかったんだ。
「ちーよ!」
「!……あ、雫……久しぶり」
ある日、廊下でちよとすれ違った。
……目を疑った。
ちよのスカートが、ギザギザに切られている。よく見ると、腕に、顔に、あざがあった。
「ちよ、何これ?」
「……なんでもない……」
「ちーよ!」
知らない人の声がした。
「なーんだ。ちよにも"お友達"いたんだぁ」
「あんたたち、ちよにこれやったの?!」
「……何言いがかりつけてんの、初対面でしょー?」
背が高くて、大人びている女の子と、その他3人。
くすくす笑ってるところを見ると、絶対、スカートはこの子たちにやられたんだ。
「最低!」
「きゃっ」
どん、と背の高い子を突き飛ばす。
「茉莉香突き飛ばすとか、そっちが最低だよー」
「後でどーなっても知らないよ?」
茉莉香、ちゃんが立ち上がり、きっとこちらを睨む。
「あんた、むかつく」
そのまま、廊下を3人の子と立ち去った。
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