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- 彼女は舌打ちができない。
- 日時: 2015/11/23 23:00
- 名前: 七帆 ◆0fNnPHRZ0I (ID: KnTYHrOf)
高校に入ってから、どうも何かおかしい。
中学の時は勉強も運動も出来なくて、クラスの中でもずっと微妙な位置にいた。
なのにだ。高校に入ってからはテストもそこそこ、運動能力に至っては著しい向上を見せている。
俺、逢坂新太というキャラクターが進化しているのである!!......すまん少し調子に乗った。
まわりのレベルが低くなったとかじゃない。確実に俺自身が変わったのだ。運動とかは数値でもその差は歴然。
でもやっぱりおかしい。中学生の時は運動部に所属していたし、塾にも通っていたが、高校生になってからは部活にさえ入ってないし勉強という勉強は全くしていない。
......ほら今だって......。
「逢坂君、6秒40!!」
『おおおおお......!!!!』
『すごーい!!!!』
50m走もこの通り。かつては8秒代で散々からかわれた俺がだ。
勿論いつも運動部からの勧誘がたえない。
この現象、何か原因がある様な気がしてならないのだ。こう......きっかけになるような何か......。
そう考え込んでいると体の左半分に大きな衝撃が走る。
「新太!!やったねー今ん所学年トップだって!!」
「いってぇ!!」
その正体は俺の幼馴染みである清家凪沙だった。さっきのは彼女が肘で思いっきり小突いてきた(あんな衝撃のものを「小突く」というのか俺にはわからないが)ものらしかった。
「痛い!?褒めてあげてんだよ!?」
「ほっぺ膨らませるのやめろ。お前があざとさ追求したところで似合わな......ぐぁ」
「うるさいっ」
今度はみぞおちにパンチだ。あ、相変わらず遠慮ないですね姉さん......。
その凪沙……彼女の存在は俺にとって結構大きい。
身近にかわいい女の子がいるというのは残念人生を送ってきた俺にとっては唯一のラッキーポイントと言えよう。
しかも彼女は自ら俺のファンを豪語している。半分冗談みたいなもんだと思うけどな。
まぁ俺が彼女に恋愛感情を抱いているかと言われるとそれはそれで微妙なんだけど。
「にしてもさー新太はほんと高校入ってから色々伸びたよねー2年になってもその勢いは衰えず……」
「別に悪いことじゃないんだしお前が気にする事じゃないだろーがっ」
「……中身はぜぇーんぜん変わらないんだよねぇー。そこそこ可愛い幼馴染みがいても告白するでもなく壁ドンするでもなく。行動力自体は結構あるのにねぇ?」
片眉を吊り上げて飽きれたように言う凪沙に俺も負けじと言い返す。
「あのなぁ……俺がいきなり壁ドンとかしたらキモいだろ?あんなの出来るのかなりの自信家だけだって」
すると凪沙は俺に背を向け、胸の前で手をギュと握り合わせる。
「新太くんだったら……いいよっ…………ぶふっ」
「笑うなら最初からやるなぁぁぁ!」
「いやぁだって新太面白い……くふっ」
凪沙にはいつもこうやって遊ばれてしまう。
くだらないとわかっていても付き合ってしまうからこうなるのだが……。
そういう子供っぽい所が憎めない。
「そういえばさぁ、次の授業なに?」
「……確か〜数学?」
数学は凪沙が1番苦手な教科だ。
しかも担当教師に目を付けられているため、よく当てられる。
凪沙の表情が一気に曇ったのが見て取れた。
「はぁー?ありえないわぁ…………」
「まぁそんな顔すんなって!!安達とかに教えて貰えばいいだろ。席近いんだし、あいつ頭いいし」
慰めるように声をかけると、凪沙は予想外……というか理解できない返しをしてきた。
「タケシ、それタワシとちゃうわ!!」
「……はぁっ?」
意味不明を遥かに超えた意味不明である。
誰だよタケシ。どこだよタワシ。……おっなんか語呂いいな。
そんなことより、訳の分からない事を口走った当の本人の様子がおかしかった。
眉間に大きく皺を寄せ、拳を固く握りしめている。
「凪沙?」
「…………」
「…………?」
「…………ッ」
「なぁ、さっきからどうした?」
肩をゆすって問いかけると、彼女はようやく拳を緩めた……かと思いきや、突然空に向かって胸を逸らす。そして大きく息を吸い込み……。
「やっぱりできなぁぁぁあああいッ!!!!!!!!」
と咆哮。
「何!?どうした!?」
「新太……わ、私っ、私……っ出来ない……」
かと思えば、胸を抑えて苦しげな声を出す。
「何がだ?凪沙、何が出来ないんだ?」
もしかしたら息が出来ないのだろうか?
持病か?いずれにせよ、緊急事態である。
こういう時、どうすることが正しいのだろうか。
そう慌てふためいていると、凪沙が俺のシャツの裾を掴んだ。
「…………新太ぁぁ……わたしっ私できないのっ」
「何が!?……だから何が!?」
相変わらず悶える凪沙は、俺の幾度目かわからない問いの後、ようやく言った。
「私……ッ舌打ちが、できないッ!!!!」
「はい?」
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clickありがとうございます!
はじめまして!
おはようございます、こんにちは、こんばんは(*´▽`)ノ
七帆と申します。
このお話は学園×ファンタジー×コメディ×ちょっと恋愛の馬鹿話です。
……馬鹿話です。(※大事なことなので2回言いました)……タイトルから察して下さい(-_-)
作者は受験生なので、亀更新が予想されますが、どうぞお付き合い下さい(〃・д・) -д-))
一つおしらせしておきたいことがあるのですが(興味ない方はスルーOK)
実は以前、別の名義を使って「私は舌打ちができない。」という類似したタイトルのお話を書かせて頂いておりました。
その後なんやかんやあって、そのお話は打ち切りとさせて頂きました。
なので、このお話は盗作ではございません。
ただ『舌打ち』という軸以外は、キャラクター、世界観が大幅に変更されています。ご了承ください。
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