コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 公事の気まぐれ
- 日時: 2015/12/15 18:32
- 名前: つんつん (ID: L4PKWHqz)
はじめまして!
今回は、気まぐれな裁判長の男の子と
それに振り回される補佐の女の子の話
をかいていきたいと思います!
あ、あと私歴史についてあまり詳しく
知らないので、あやふやなところや
細かい間違えはその世界独特の
ルールだと思うくらいに受け流して
いただければ幸いです…w
私の中の公事は裁判やら何やらのものなので、
男の子は裁判長として仕事をしている、といった設定です。
公事方御定書がでる前なので、裁判長の
さじ加減で罪の重さがきまるという
めちゃめちゃな時代をかいていきたいと思います!
※この話はあくまでも物語ですので、本当の公事はこうではありません。
末崎 葵 すえざき あおい
美豆良村の裁判長をしている。
人間の考えている事が読める力を持っている。
女も服装も私生活もだらしがなく、伊織に任せっきり。
真田 伊織 さなだ いおり
葵の補佐役をしている。
わずか17歳で第一補佐官になるという超エリート。
しかし、補佐役になってからやらされているものと言えば
葵の世話係しかないので不満を持っている。
自分の思いを表現するのが苦手。
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- Re: 公事の気まぐれ ( No.1 )
- 日時: 2015/11/30 23:53
- 名前: つんつん (ID: L4PKWHqz)
「助けてください…っ私は無実ですッ!」
泣き叫ぶ罪人の声が木霊する
「なんで…っ!なんでよッ!!貴方に何が分かるのよおおおおおお!!!」
狂ったように訴えかける声が響く
「んー…、死刑。」
そこに落とされる、場違いな気だるげな声が、今日も隣で人を操る
公事の気まぐれ
- Re: 公事の気まぐれ ( No.2 )
- 日時: 2015/12/06 15:49
- 名前: つんつん (ID: L4PKWHqz)
小鳥がチュンチュンとさえずる季節。
江戸の小さな和菓子屋に、和菓子とは不釣合いな男がスキップしながら入っていく。
その店の店主、沖 伊織は今最高に機嫌が悪かった。
「いお〜っ♪いおちゃぁ〜ん、君の大好きな
あー君が帰ったよぉ〜♪」
原因の男が障子を乱雑に開けるのと同時に、ほのかにツンとした匂いが漂う。
現在の時刻、朝の四時。
本当ならあと3時間はぐっすり眠ってられるだろう。
「……おはようございます。随分遅いご帰宅ですね。では、おやすみなさい。」
着物の裾を踏み、よろける酔っ払いを尻目にまた夢の世界へ戻ろうと掛け布団を捲る。
こんな朝っぱらに帰ってきやがって…。
何なら夜まで帰ってこなきゃ良かったのに。
そう心の中で呟くと、いきなり私の近くに駆け寄り肩を組まれる。
「ひどぉ〜い!俺いおちゃんが寂しがると思って早く帰ってきたのにー!」
- Re: 公事の気まぐれ ( No.3 )
- 日時: 2015/12/06 15:55
- 名前: つんつん (ID: L4PKWHqz)
…まただ。また忘れてしまっていた。こいつは人の考えていることを読める妖怪みたいなやつだったんだ。
まあこの人の唯一の特技のおかげでこの人はこんなふざけた人間なのに裁判長なんて仕事もらえたのだけれど。
「俺ちょっと飲み過ぎちゃったかもぉ〜…
いおちゃんちょっとお布団かしてね〜」
肩に回された手を外そうとすると、今度は布団の上に乗っかってきた。
…ビンタしてもいいかなあ。
そう考えるのも仕方が無い状況に置かれるのも、残念ながら初めてではない。
むしろ、毎朝の恒例といってもいいだろう。
それくらい、この町の裁判長はふざけているのだ。
- Re: 公事の気まぐれ ( No.4 )
- 日時: 2015/12/08 16:35
- 名前: つんつん (ID: L4PKWHqz)
勝手に人の布団の上に乗り、もう眠りについた彼はむにゃむにゃと
幸せそうだ。
そんな彼を見ていると、こっちまで眠たくなってくる。
まだ朝の4時だ。二度寝でもしようか…
そう考えながらぼーっとしていると、高めの、幼い声が窓の外から
聞こえた。
きっと、新聞屋の息子が配達をしてくれたんだろう。
待たせておくのも悪いので駆け足で玄関先へ取りに行く。
引き戸を開けると、いつもの男の子が両手で新聞を
抱えている。
「さいばんちょーさんおはようございます!朝刊ですっ」
かれこれ一年近く毎朝新聞を届けてくれているのだが
まだ10歳ほどだからか、ずっと私が裁判長だと勘違いしている。
「おはようございます。毎朝ありがとうございますね。
…あ、良い子にはご褒美をあげましょう。」
ちょうど、貰い物の柿がたくさんあったはずだ。
どうせうちでは食べきれないし、この子にあげよう。
「ちょっと待っててくださいね。今取ってきますから」
瞳を輝かせて、はーい!と元気良く返事している様子はとても
愛らしい。
柿を取りに行こうと台所に入りかけた時、どこからか情けない声が
聞こえてきた。
- Re: 公事の気まぐれ ( No.5 )
- 日時: 2015/12/14 21:07
- 名前: つんつん (ID: L4PKWHqz)
…聞かなかったことにしよう。
少なくとも私は信じたくない。こんな情けない声を小さい子の
前だろうと構わずあげるこの男に、自分の人生を決められるなんて
「いおちゃ…っ、俺、も、無理…吐く…」
本当に何なんだあの人は。体だけ大きくなった赤ん坊か何かか。
「今新聞屋の子に柿をあげるので、それが終わるまで耐えてください。」
這いつくばりながら台所の方へ向かってくる葵さんを無視して
柿を渡しに行く。
「はい、お待たせしました。お父さんと2人で食べてくださいね。」
笑顔で頭を撫でるとくすぐったそうに首を埋めるこの子も、
小さいながらに苦労をしているのを知っている。
彼のお母さんは彼を産んだ直後に、どこかの男と駆け落ちしてしまった
のだ。
でもその事を知らない彼は、いつかお母さんが帰ってくると思っている。
だから毎朝新聞配達をして、お母さんを見つけようとしてるのだ。
純粋で健気なその姿勢に心打たれながら、彼を送り出す。
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