コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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現実と夢の狭間で。
日時: 2015/12/04 00:15
名前: 無名 (ID: FLOPlHzm)

今日も目覚める。



ずっと、現実と夢を繰り返す。



二人の『私』。



どちらが本物なのだろう?


もしかしたら、現実が夢で、夢が現実かもしれない。


狂いそうになる『現実〈イマ〉』と『夢〈マボロシ〉』の中。


私は今日も夢を見る。

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Re: 現実と夢の狭間で。 ( No.1 )
日時: 2015/12/04 16:29
名前: 無名 (ID: dDPEYPay)

冷たい、ツン、とした空気が鼻をつく。

吐息を吐くとそれは白く、空気に溶け込む。それはまるで、残り少ない理性を吐き出すよう。

赤くなった手を擦りながら、歩く通学路。人気は少なく、電柱に張られた『迷い犬』の文字も、寂しげだ。

段々と学校に近づくにつれ人気が増える。友達と雑談する人、歩きながら携帯をいじりぶつかる人、様々だ。

「あ、梦ちゃん!」

友達の呼び掛けにほっと落ち着く。別に一人が心細かった訳ではなく、『夢』と『現実』の判断ができたからだ。今の私は『七川梦子』の筈だ。

閑話休題、と。
私を呼んだ友達の方を振り向く。
彼女は確か、樒川翠だ。可愛らしい顔立ちと優しい性格で男女問わず人気、と携帯のメモ帳には記入されている。
まあ、男女問わず人気、と言っても嫌いな人がいないわけではなかろうが。
携帯には、様々な情報が事細かに書かれているのだ。夢と現実、二つの世界が混濁しないよう。一応家のパソコン等にもバックアップがたくさんある。

「そーえば聞いた?今日転入生が来るんだって!」

作ってるのか知らないが、可愛らしい声色とともにそんなことを告げられる。「へぇ!そうなんだ!」と相槌を打ちながらも、携帯にメモする。長年やってるお陰か素早くできた。

メモしつつ転入生について、情報収集しながら雑談しているうちに、教室につく。翠ちゃんとは違うクラスなのでじゃーねー、と手を降って別れる。

**

どうやら転入生は私のクラスらしく。私の予想では翠ちゃんのクラスかと思っていたのだが。

新任教師の悠川くん、という言葉とともに転入生くんが入ってくる。教室はわっと巣をついたような騒ぎになった。

ハニーブロンドの柔らかな襟足までのさらさらの髪に、暗い焦げ茶色の瞳はじんわりと目元が下がり気味で、砂糖を吐きそうなくらい甘い顔とはこういう顔であろう、と思ってしまうくらいの、綺麗な顔。それでも女誑しのような腹黒さは見つけられない。一言で言うと、美少年、だ。

あまりの非現実的な美しさに、私も思わず、「夢…?」と呟いた。ハニーブロンド、ということはハーフか外国人なのだろうか。唖然、もしくは黄色い悲鳴をあげるクラスメイト達。

「僕は悠川聖。よろしくね。」

顔に似合う甘く優しい声にぽっと頬を赤らめる女子、しかも男子まで含まれている。本当に綺麗な人は性別を問わない、とはこういうことなのだろう。不覚にも私も頬を赤らめそうになるが、私はこの夢と現実の狭間から抜け出すことに集中しなければならない、恋愛などに現を抜かすわけにはいかないのだ。

甘い容姿に惑わせられない!と決心する中。

悠川はただ一人、頬を朱に染めなかった少女に、微笑んでいた。

Re: 現実と夢の狭間で。 ( No.2 )
日時: 2015/12/06 10:58
名前: 無名 (ID: dDPEYPay)

事実、先程まで私と悠川は接触していなかった。悠川は女子という肉壁に阻まれて、どうやっても顔が見えたりする位置ではなかった。

「ねえ、七川梦子さん。」

携帯を弄りながらぼーっとしていると、聞き覚えのある甘く、優しい声がかかった。は、と振り向くと悠川が柔らかく微笑みながら突っ立っていた。

無論、自己紹介などはしていない。友達が私の名前を呼んだりしてもいない。なぜ、名前が。と驚く私を置いて、悠川は喋る。

「梦子さんに話があるんだ。嗚呼、それと『夢』のことも。」

『夢』。

そのフレーズに目を見開く私に、悠川は微笑んだ。


***


私の名前は三原伊織という。

ごく普通の、といってもそれなりの上位立場である女子高生であり、なんらかの悩みを持っているとかはない。

そんな私の日常にイレギュラーが発生した。

「僕は悠川聖です。よろしくね。」

甘くて、蕩けそうで、優しい声に頭に霞がかかったような感覚に襲われるくらい、魅力的だった。この世のものとは思えないくらいの綺麗な顔立ち。夢じゃないのかと思ってしまうくらい。呆然とする私たちクラスメイトに聖くんは微笑む。

休み時間に突入すると、ずっとそわそわしていた女子達は聖くんの方に向かう。私が行くと、みんなが避けてくれる。聖くんに女子達が質問すると、ちゃんと一人ずつ、丁寧に答えてくれる。

突然、聖くんが立った。するすると女子達の包囲網をくぐり抜けると、聖くんは先ほどからずっと携帯をいじくっていた七川の方に向かった。

聖くんが声をかけると七川はきょとんとした顔をした。

同性の私が言うのもあれだけど、七川はとても綺麗だ。

長い睫毛にぱっちり二重の黒瞳に、白い陶器のような肌。腰あたりまでのストレートの黒髪はさらさらだ。その顔立ちも人形というのが正しいくらいに整っている。

そんな七川が聖くんと並ぶととてもじゃないが私じゃ敵わない、と思ってしまう。

心の底から湧き出る”嫉妬”の感情はじわりじわりと心を黒く染めていった。


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