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ダーティな兄さま(コメント待ってます♪)
日時: 2015/12/15 20:21
名前: 田中ハル (ID: oj1DPSdh)

セン!」
馴染み深い声がした。弾かれるように身体をよじり、自然に剣を額にかざす態勢になる。
キィン
金属音が響く。
(危なかった。)
センは全身に、汗が噴き出す音を聞いた。
眼前にあるは、窪んだ二つの穴。その真ん中には、二つの剣。
二つの剣は震えている。
「あと、何人!?」
センは己を奮い立たせるため、声を上げた。
「増えてる!八人だ!」
少し上がった声が返って来る。
私が倒したゾンビが3、ハルが倒したゾンビは5人。
(振り出しに戻るってか)
心の中で悪態をつく、その間にも自分の剣が迫って来ている。
肉片と油にまみれた、己の剣が。
「おらぁっ」
センは力づくで、相手の剣を押し返した。そして、渾身の蹴りを見舞う。
ゾンビの脆いからだはぐしゃりと音をたて崩れていった。
「ハルっ」
彼は次々とゾンビを倒していく。鮮やかとはいえない。でも、ハルは強い。
センも加勢に入った。
「セン、大丈夫?」
額に汗の粒を浮かべ、息を切らしているのは消耗しているからではない。
センの身が危うかったから。
「うん」
さっきは、とっさのことで体勢が悪かったのだ。
刃が欠けた剣を振るい、センもゾンビ達を一蹴していく。
だが、ゾンビは一向に減らない。むしろ増えている。
どこからこのゾンビ達は湧いてくるのか。
「このままじゃ、先にすすめないよ!」
ついにセンの口から悲鳴のような声がでた。

「本当に行くの?」
おばさんとおじさんの顔が歪む。七年間私を育ててくれた人。
センの心にチクリと針がささった。
「はい。」
普段では考えられないか細い声。
「本当に行かなくてはならないのか?もう少し」
もう少し大人になってから。
「私はもうオトナです。」
大人という単語が、センの身体とちぐはぐになった。
センはまだ14歳。大人と呼ぶにはまだまだ足りない。
「でも、オトナなんだ。この世界では。」
この世界では。そういうと、おばさんが、はっきりと強い口調で言った。
「それは、天書の中の話でしょう。」
少し懇願するような口調だった。
『天書とはこの世界の理を記すもの。』
しかし、それはもう昔の話。神話なのだ。
「そんなものを信じているひとは、もういないわ。」
センだってわかっている。
でも、私には為すべきことがあった。だからーー
「私は信じています。私はもう14歳、大人よ。」
センは大切な二人を傷つけた。
二人の制止を振りきり家を飛び出すと、少し走った。
二人は追いかけてはこない。
私の旅を認めてくれたのか、あきらめたのかはわからない。
あんな子なら引き取らなければよかった、と後悔しているのかもしれない。
もしそうだったら。勝手だけれど、悲しい。頬がぬれていた。
いつも温かい村が、よそよそしい。
この村をでるって、決めたから?もうお前はよそ者だって言っているの?
ふと甘い香りがした。
はっと顔をあげると
「センらしくないな。」
彼がいたのだ。

頭がぼうっとしている。
(余計な事を思い出した)
センは剣を捨てた。魔力を使う方がはやい。
(本当はあんまり使いたくないんだけど)
一つ息をつき、目をギュっと閉じる。
そして一気に見開く!
「!?」
目の前に男の子がいた。
さっきまでいなかったのに。ハルも目を見開いている。
「「マストエル」」
竜巻が現れた。
身体が浮いて、地面から離れていく。
鮮やかな草原が暴風に揺れる。
ハルがセンの手首をつかみ、引き寄せよる。が、その身体も宙に浮かんでいた。
「な、なにが起きてるのっ」
「わからない、僕から離れないで」
センはハルの身体に手をまわす。
刹那、風がやんだ。
「きゃぁあああああ!!!!!」
「うわぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
ぐんぐん空が離れていく。
(し、死んじゃう!)
「「ヴェルミ!」」
「クロワール!頼んだよ!」
「承知」
ぼすんっ
センはごつい腕の中にいた。助かったみたいだけれど、ハルの姿がみえない。
ハル、ハルはどこに。
センはもがくように腕の中からでた。
そして傍に転がっている彼を見つけた。
呻いているようだ。
「良かった…」
駆け寄ってみると、とりあえず大事にはいたっていないようだ。
「レディファーストだからね」
声がした。振り返ると、そこには黄金の髪をもつ青年とセンを受け止めてくれた強面の男がいた。
センははっとして、頭をさげた。
「ありがとうございました。お礼も言わずに…その、すみません」
「いいの、いいの。そっちの彼はちょっと痛そうだけど。保護魔法、かけたから命に別状はないと思うよ」
「それに、竜巻に巻き込んだのは俺達の責任だ」
「「マストエル」」
そういえば、少年がそう唱えてた。それで、竜巻がおきたのだ。
「あの男の子ですか?」
センは少年を指さし、彼らに聞いた。
少年は何もなくなった地面の上にぽつねんとたっていた。
「………」
「………」
苦々しそうに溜息をつくことこそが答えだろう。
もう一度指さした方を見ると、少年はテクテクとこちらに向かってきていた。
「あいつも悪気はなかったんだ。許してやってほしいなって、なぁ?」
「はぁ。」
金色と強面の微妙な会話。
「やぁ、空の旅はいかがでしたか。っていうかこの人治療しなくていいわけ?いや大したことなさそうだけどさ、痛いよ?これ。」
男の子がにこにこしながら、ハルに話しかけた。
「………。」
ハルが睨み付ける。
少年はさして気にしていないようでそのまま続ける。
「僕の名前は、エレフ。はじめまして。」
「僕の事心配してくれるんなら、こんな危ないことしてほしくなかったんだけど」
「あれ、僕は挨拶したんだけど…。名前も教えてくれないの?お兄さん、礼儀がなってないねぇ」
(なんなの、この子)
ハルと少年の間に沈黙。
「エレフ、今のはお前が悪い!」
「痛ぁ!?」
金色が少年の頭をはたいた。そして
「二人とも怖い思いさせて、ごめんな。俺の名前はディルク。」
「俺はクロワールだ。」
「せーの!」
『俺達は、「「何でも屋」」というものなのです。』

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Re: ダーティな兄さま(コメント待ってます♪) ( No.1 )
日時: 2015/12/21 20:42
名前: 田中ハル (ID: udCsaAWq)

というわけで…
はじめまして、ハルと申します
亀更新かもしれませんがよろしくお願い致します


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