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そこにもともとあったもの
日時: 2015/12/21 23:46
名前: ぴかり (ID: ngeMfYox)

毎日。


毎日毎日。



ずーっと毎日。




欠かさず毎日、彼女は来ていた。

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Re: そこにもともとあったもの ( No.1 )
日時: 2015/12/21 23:59
名前: ぴかり (ID: ngeMfYox)

ーその始まり、桜が咲いたころの季節。

春風が木を揺らし、ひらひらと花びらが風に舞う、すべての始まりの季節。
その始まりは、人間が故意的に決めた始まりでもあり自然体の始まりでもあった。

始まりの基準とされる、その季節。


その日から、彼女は欠かさず通い詰めた。


初めて彼女のことを見つけたのはいつだったろうか。

まだしわもついていない馴染まない新品の制服に身を包む、初々しい姿の新入生が、始まりの日から訪れるなんて滅多にないのだが。
つい、私は驚いた。

ぴんとはった制服のスカートを慌ただしくなびかせると思いきや、彼女の身長の倍はあるドアを思い切り閉めた。

それはそれは、大きな音を鳴らして。

びくっと肩を上げてしまうぐらいの、そんな大きさ。

そっと彼女の様子を見てみると。

予想通りだった。


ぽろぽろと、大粒の涙をこぼしている。
口元を手で押さえ、声を押し殺している様だったが、小さなしゃくりが聞こえる。


いつまでも。

ずっと。

何分経っても、ずっと泣き続けていた。



ふと、私自身の本業を果たそうかとも思ったが、今はそうもいかないらしい。
彼女を静かに見つめる。


だが彼女は一向に落ち着く様子はなく、うつむいて涙を零し続ける。




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