コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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君への執着
日時: 2016/01/09 15:36
名前: 音宮 ◆93nWkRSozk (ID: Jk.jaDzR)

初めまして、こんにちは、音宮(おとみや)です。
今回は、ネタがあるのに、長編にできない話を載せたいがためにこうして短編集を作っていきたいと思います。

あくまで短編集なので、話の内容が混乱しても、何も文句は言わないでくださいw

再度注意しますが、このスレはどんどん音宮の頭に沸いた話(長編にできない)を載せてきますのでご了承ください。

【目次】
ちょっぴりホラーが読みたい方はこちら(一話完結ですよッ)
■桜の木の下には >>1

がっつり恋愛を楽しみたいという人はこちら
□お箱入り娘は勇者である >>2-3
■一番きれいな桜には   >>4-5

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Re: 君への執着 ( No.1 )
日時: 2015/12/22 17:31
名前: 音宮 ◆93nWkRSozk (ID: Jk.jaDzR)

【桜の木の下には】

私の名前は、天草椥。病弱だけれどもそれ以外は、普通の高校生。
今年から高校生に上がったのだけれども、この持ち病のせいで高校に行けない。
そんな私を見計らって兄は、薬を買いにと病室を先ほど出て行ってしまった。もう面会時間は終わりそうなこんな夜遅くまで開いている薬局などないのに。
兄はしっかり者で私と違って健康的で頭脳明晰な十歳年上。
顔立ちはいたって普通だけれども、優しいから女子達の話にも少し上がってしまう。
そんなお人好しな兄を心配に思いながら、私は病室のベットから窓の外を覗いていた。

俺は、妹のために——いや、噂を確かめるために外へ出かけた。
噂と言うのは、誰も行きたがらない森の奥にある湖の真ん中にそびえたつ桜の花びらを一つまみ食べるだけでどんな病も瞬時に治ってしまうというものだった。
どうやら噂によると、その桜はこの真冬の満月の夜、しかも雪が降っている間にしか咲かない儚いもの。
そんな桜があるのかと、ボートを漕いでいた。
この湖は案外、広く、夜だからか静けさも伴って気味が悪い。

「……椥のためだ。椥の病を治すため」

そう言い聞かせながら湖の中心部分にたどり着くと、島のようなところに一本の巨木が確かにあった。

「咲いてない……」

真冬な為、咲いていないどころか葉さえもついていない状況だ。
こんな状態で本当に咲くとは思えない。

「……帰るか」

そう思った次の瞬間、風がふぁっと吹き、桜の木のまわりだけ明るい月明かりが照らし始める。

—— なんだ? ——

「……こ、これは……」

見る見ると、葉をつけ、ぐんぐんとつぼみが膨らみ始め、咲いていくではないか。
俺は声にならない声をあげ、無我夢中で木に手を伸ばし、一番最初に咲いた花をつまむ。

「これで……これで、椥が、椥が……」

——学校に行ける

ぱぁっと嬉しそうに満面の笑顔で制服を着て、俺に抱き付いてくる様子を思わず想像してしまう。
そう思うと、一輪ではなんとなく、枯れてしまうと怖いので何輪かをつまみとり、袋にいれて妹のところへいそいそと戻っていった。

「これって……」

病室に持ち帰って袋を渡すと、椥は興味津々に花々を見つめた。

「桜だよ。これを食べると、椥の病も治るかもしれない」

「……そうなの?私は学校行けるようになるの?」

「ああ、もちろんだ。騙されたと思って食べてみ」

妹がきらきらと目を輝かせながら花をつまんで食べるのをごくっと唾をのんで見つめた。
彼女はそれを食べた瞬間、胸をおさえて、ベットに倒れこむ。


「な、椥ッ!!」

慌てて彼女のもとへ駆けつけたが、もう遅かった。
彼女は息を引き取っていた。


——そう、あれは妖花であったんだ。


Re: 君への執着 ( No.2 )
日時: 2015/12/24 17:02
名前: 音宮 ◆93nWkRSozk (ID: Jk.jaDzR)

【お箱入り娘は勇者である】

『す、すいませんっ。お、俺はそんなつもりじゃなくて……ひっ!』

誰かに登校中ぶつかられて、俺の顔を見た瞬間、こうだ。
俺は、ただ目つきが悪くて少し頭の悪いだけなのに、やくざ扱い。
もうこれは小学校のころからで否、生まれたときからかもしれない。
誰かにやくざや不良に見間違えられることなど、日常茶飯事だ。

「い、いや、俺そんなんじゃないからっ!」

ちょっとずつ後ろ歩きで下がっていく男子中学生を止めようとしたら余計に怖がられ、そしてものすごいスピードで逃げられる。

「はぁ……」

いつものこと、いつものことだと思っていても少し辛い。

Re: 君への執着 ( No.3 )
日時: 2015/12/25 13:35
名前: 音宮 ◆93nWkRSozk (ID: Jk.jaDzR)


『あ、いた。巷で有名な登也さんじゃないかよ』

ふふっと笑いながら俺に近づいてくるチンピラさん。
もちろんチンピラさんは独りで俺に話しかけたんじゃなくて、ちゃんとお連れ様を三人引き連れて俺に近づいてきた。

(寄りにもよってこんなときに)

そう俺が思ったものも無理はない。だって今日はだいじな始業式でもあるのだ。この人らと関わってたら絶対に間に合わないし、俺では勝ち目がない。
不良などとして扱われているが、本当は喧嘩などものすごく弱いのだ。

「すまない、俺はそんなんじゃないんだ」

ただ、いつも持っている目つぶしスプレーを相手に噴射し、苦しんでいるところを蹴ってその間に逃げるというパターンを繰り返しているだけ。
そう、俺は卑怯なのだ。

『何言ってんだ、とーやさんよ。先週でここらの不良を百人斬りじゃねぇか』

そういいながら俺の胸元を掴み、店の壁に押し付けて、持ち上げられる。
もうごまかしもできない、もう終わりだ——と思ったその時、誰かがその不良を蹴り上げた。


「お前さん、調子乗ってるね。こんな大通りで焼きを入れるなんて」

ハイスキーな声と共に小柄な体がその地面に着地した。
しかし、大きな帽子で顔の半分は見えないが、男だということはわかる。

『お、お前はっ!……孤高の戦人!!』

おびえるような瞳で小柄な男を指し、叫ぶと背中を向けながら去ろうとした瞬間、少年は逃がすまいとそれぞれに大きな打撃を与えた。
そしてひとくくりに縄で縛ると、近くのお店の店員に警察へと送ってもらう。

その一連を見ていた俺は、唖然としていた。

「大丈夫かい?」

彼が近づいて俺に触る。
なんて小さい体なんだ、こんな小さい人に俺は。
——守られてしまったのかと気付き、恥ずかしさがこみあげてくる。

「ああ、大丈夫。君こそ大丈夫か?」

「もちろん、大丈夫さ。僕はこの通り強いからね」


自慢気に胸をそらす彼の姿を見ていて少し笑ってしまった。
きっとこの人はいい人なんだなと思いながらポンポンと頭を撫でると、
登校していたことを思い出し、学校に向かうため、駆けだし始める。
もちろん、彼に満面の笑みとお礼を伝えてから。

「ありがとうな、小さな勇者さん」

俺は、彼が赤くなりながら小さな声でどういたしましてと言っていたことを知らずに学校へと向かっていたのだった——

Re: 君への執着 ( No.4 )
日時: 2016/01/02 13:28
名前: 音宮 ◆93nWkRSozk (ID: Jk.jaDzR)

【一番きれいな桜には(BL表現少し入るかもです)】

僕は長谷伊織。今年で高校生の仲間入りを果たしました。
玄関を出て、入学式に向かう途中、家の前にある桜の木を見る。
今年も満開だ、ピンクの花が綺麗に咲いているけどきっと一か月後には風に吹かれて散っていることだろう。

—— なんて儚くてきれいな花なんだろう。

と毎年そんなことを思いながらこの花が一番似合う僕の憧れの人を思い浮かべる。
彼は重い病にかかって昨年、この世を去ってしまった。いつも僕を温かく迎えてくれた彼の家はもう売られてしまったとか。

人間はいつか死が訪れる、いつか天界に帰らなければならないと言われているが、あんなにもたった十八歳でこの世を去らなくても良かったんじゃないか。もっと僕を温かく見守っていてほしかった。

叶わないそんな願望は空気のように青空に消えていく。

(切り上げます)

Re: 君への執着 ( No.5 )
日時: 2016/01/07 10:57
名前: 音宮 ◆93nWkRSozk (ID: Jk.jaDzR)

そんな彼を見つめていた人が一人、少し離れた歩道で彼に見惚れていた。

「なんて美しい人なのだろう」

そう声に出してしまうほど彼は桜を見上げ、悲しそうに涙を一粒こぼしていた。その涙は光に反射して氷のようにきれいで白き肌に映える。
美しい彼は、茶髪で黒い瞳、身長想定165㎝と普通な少し小柄な体型でおとなしそうな一般の高校生だと思う。そんな彼に一目ぼれをしてしまった。

「……」

彼は数分、その桜を見つめてどこかへ行ってしまった。
きっとあの制服は桜木高校の制服だから入学式にでも行ってしまったのだろう。運よく俺も今日、あの高校の生徒に正式になるから、いつか彼とまた会えるかもしれない。
彼が見つめていた桜に駆け寄り、彼の目線から何が見えていたのかを追いかけるように見つめる。
やはりそこには桜の花しか見えない、ただ木々の間から澄んだ青空が見えるだけだ。
何を見ていたのだろうか、花かそれとも青空か。
どちらにせよ、景色しか見えない。きっと彼は考え事をしていたのだ。
この桜を見て何かを考えていたのだ。

—— 知りたい、知りたい。

そう思いながら桜を見つめていた。
そんな彼を誰かが少し離れたところから見つめている人がいた。

「風斗君……」

私は彼が好きだ。いつも優しくてかっこよくて運動も勉強もおろそかにしない彼が中学の時から好きだった。
あの中学の入学式のときもあんな風に桜を見ていた。

(切り上げです)


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