コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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Forte
日時: 2015/12/23 23:27
名前: 栗子 (ID: AtgNBmF5)

強く、強く、少年少女は青春をする

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Re: Forte ( No.1 )
日時: 2016/01/02 03:48
名前: 栗子 (ID: AtgNBmF5)

登場人物紹介

【園原 桜 sonohara sakura 女】
黒髪、黒目。
154cm、Bカップなのが悩み
天真爛漫な性格である。
担当楽器は「フルート」

【柊 雪翔 hiiragi yukito 男】
こげ茶色の髪、こげ茶目。
175cm。責任感強く頼りが
ある優しい性格だが
イタズラが好き。
担当楽器は「トランペット」

【木戸 楓 kido kaede 女】
薄茶色の髪、こげ茶目。
165cm、Dカップ
大人っぽい
担当楽器は「テナーサックス」

【榎本 渚 enomoto nagisa 男】
薄い黒色の髪、黒目。
180cm
無愛想だが心優しい一面も
担当楽器は「トロンボーン」

Re: Forte ( No.2 )
日時: 2015/12/26 21:13
名前: 栗子 (ID: AtgNBmF5)

第1話「春のマーチ」

遠い、、、ずっと前の話。

「園原 桜」が中学に入ってまもない頃、
部活紹介で吹奏楽部が自分がいまハマってる
アイドルの曲を演奏して何と無く興味もった。
軽い気持ちで音楽室に足を運んだ

見るだけ。

入らないけどちょっと見るだけ。

それだけだった。

音楽室は、賑わっていた

2年生か3年生が見学してきた1年生に
楽器を持ちながら口に咥えさせてあげたり
手取り足取り教えていた。

そこらかしこから、思いの外音がでなくて
マウスピースからスースーする音がなっていた。

たまに、先輩が見本で鳴らした音や
やっとのこと1年生が鳴らした音なとが
音楽室に響いてそのたんびに
バレー部やバスケ部や美術部の見学に
行こうとした子や、通りすがりの子なとが
音楽室を覗いた。

音楽室でそれをただ眺めてると
いきなり後ろから話しかけられて
桜はビクンと反応した。

「ななななんですか?!」
「楽器体験でしょ?いいよ!」

違う!見てるだけです!そう言いたいのに
何故か言えなかった。

満更じゃないのかも、と思った。

腕を引っ張るのは、多分、先輩だ。

「トランペットあいてる?」
「今、ちょっと無理かも」
「わかった。あ!」

いきなり、足を止められるので
桜は、勢いでこけそうになる。

なんだ、なんだ、と顔を上げると
前には銀色の細い楽器があった。

「フルートはどう?」
「フルー・・・ト?」

聞いたこともあるしTVで観たこともある。
横笛みたいな感じで横で持つのを知っている。

小学生の頃よく男子がリコーダーを
無理矢理横で咥えて真似していたのを
懐かしく思い出した。

「貴女、可愛いから似合うよ」
「そっそんな」

急に褒められて恥ずかしくてツインテールの
髪をサワサワ触った。

「ふふふっ」
「でもっ!私無理・・・」

フルートは、お姫様みたいなイメージだから
自分にはちょっと無理だと思った。

でも、本当は少し興味があった。

「できるよっほら」
「わぁっ」

手を取られてあっという間に
フルートを持たされた。

「鉛筆もつイメージだよ右手は」
「はぁ・・・」

リコーダーとは違う。
ボタンがあって穴を塞ぐものって一目みて
解釈した。

「最初は中々音がならないのやってみて」
「・・・?」

「あはっそうだね、ごめんね教え方悪くて」

フルートをそっと桜の口元に寄せた。

「三角イメージに息をこの穴に通して見て?」
「はいっふっふー」

息を強く吹いても楽器から
風のような汚い音しかしなくて桜は
ギョッとしてフルートを睨んだ。

「初めててここま出来たら凄いよ」
「は、はい」

リコーダーは、あんなに簡単になるのに
壊れてるんじゃ?ってフルートをまじまじと見た。

「ここにロウソクあると思ってそれで
ここに当たるくらい息あててみて」

「はい!」

ふっーと結構自信を持って息を出す

「結構いいよ!もっと真っ直ぐ!」
「ふぁっふぁい!」
「っ!はははは!!ふぁい!ってwww」
「えっはっはっはい、えへへ」
「面白い・・・才能もあるし入って欲しいな」
「・・・でも・・・なぁ」

桜は、口ごもった。
本当に入る気もないしなんとなくだった
から、期待された困る。

「最初は、本気じゃないけど楽しくなるよ」
「・・・」

そういう先輩がカッコよかったから

勢い余って
「じゃあ・・・」

流されやすいだけだったのかも
でも、本当にこの時そう言ってよかった。

今ならそう思う。

つづく

Re: Forte ( No.3 )
日時: 2016/01/02 03:43
名前: 栗子 (ID: AtgNBmF5)

第2話「春はフォルテする」

第1話から3年後

園原桜は「高嶺原高校」の
音楽室に佇んでいた。

「吹部入る、吹部入る・・・」

まるで、暗示するように桜は
ブツブツ言い続けた。

吹部に入りたい・・・けど
何故か入るのを拒むような気持ちが
心に引っかかった。

「あぁ、、、吹部入りたいけど」

中学であったあの辛いできことが
昔の記憶として桜の頭を過る。
入りたい気持ちさえも消すような。

「どうしたの?」

ビクンッ!!と桜は声のする方に
振り返る。

「なんだ、、、雪翔かぁ・・・」

幼馴染の雪翔が後ろにいた。

「吹部はいるの?」

「迷ってるの」

桜は、横目で横に立つ雪翔を見た。
幼い頃は同じ背丈だったのに今じゃ
19cmも違うそれを忌々しく睨んだ。

「私中2で退部したし今更入っても
フルート上手く吹けないしなーって」

桜は、苦笑いをした。
その顔をみて雪翔は、ため息をついた。

「バレバレだよそんなの嘘のくせに」

「っ!・・・・イジワル」

「”あのこと”くらいもうどうだってないよ
た・・・多分」

迷ってる
中2で起きた”あのこと”が今だに彼女を
フルートから遠ざけている。

「まっ僕は入るけど」

「はっはいるの?楽器なに?教えて教えて!」

ぴょんぴょんと桜はハネながら
雪翔に問いかけた。

「トランペット・・・好きだから」

「ふ〜ん、、、」

桜は、雪翔を横目で見つめる。
体は、音楽室に向きながら

どうして、そんな真っ直ぐになれるんだろうかと

自分だってフルートは好きだ。
でも、無理だ。雪翔みたいに真っ直ぐ
貫けれない。

”あんなこと”があったから・・・。





今から1年半前。
中学二年生の時。
彼女は、フルートに熱狂だった。
部活に入り彼女は誰よりも自分の
楽器が大好きだった。

吹部に入って良かったって何度も思った。

楽器は、家に持って帰って
朝練があるなら一番最初にきて
かかさず行った。

平日の練習も休まず、残れるなら
遅くまで練習した。

彼女は、フルートパートでは誰よりも
うまかった。好きな気持ちが報われたんだって
彼女は、誇らしげで顧問にもよく褒められた。

「教室にも通ってんだから当たり前だし
それくらいできて普通」とか
「いい子ぶりっ子過ぎwww」とか
陰口をよく囁かれるようになった。

彼女自身それは知っていた。

でも構わない。

フルートを吹ける時間と発表する時間
それがある吹部から退部するなど
するわけないし、したくなかった。

彼女は、辛くてもフルートを吹いている
時間だけは忘れていた。

どんなにいじめがエスカレートしても
その分楽器への愛は熱狂的となった。

そして、コンクールのオーディションの日。

一年から三年まで学年関係なくオーディション
がある。上手くできないなら三年も
ハブられる。かりに一年が吹き真似うまいなら
出すことさえあった。

桜は、気合を入れていた。

一年の時は、吹き真似だったから
ちゃんと吹いてコンクールに出て
金賞をとりたかった。

練習もハードだがこなし、曲は
完璧だった。

予想通り彼女は、コンクールメンバーに
選ばれた。だがフルートパートの
先輩、、、そう彼女を勧誘した三年生の
彼女は、選ばれなかった。

彼女への僻みや妬みで練習に身が入らず
全然、曲は仕上がらなかった。

それが全ての始まりだった。

彼女の黒い気持ちは、彼女への
恨みと変わった。

彼女は、メンバーに選ばれても
練習を続けた。

するとある日、

「ちょっと来て」

先輩から呼ばれて彼女は
渋々、先輩について行った。

そこは暗い倉庫だった。

「あんたさぁなんか勘違いしてない?」

「・・・へ?」

思へば先輩とはまともに喋っていない。
だから彼女がこんなにどす黒い声を出したことに
呆気にとられ変な声が出た。

「吹部は、皆で楽しくやるものなの!
そりゃコンクールとか楽しくできないよ
緊張とか辛いことばっかなのそれをさぁ
一人で突っ走って目立とうとして挙げ句の果ては
思い上がっちゃって調子乗ってさぁ?!」

「・・・っ」

怖くて震えた。
先輩にパー練に誘われなかった理由を初めて
知り怖くなった。

「メンバーに選ばれなかった私に
本当は笑ってるんでしょ?!」

「・・・ちっちがうぅ!!」

涙で視界が分からない。

部活中皆が陰口を言っても
彼女だけは違うと思っていた。

それなのに

「気に入らないの!!何もかも」

・・・私は、

私は、フルートが好きで
頑張ってたのに・・・どうして

どうして

今まで溜めてきた「いじめ」の度に受ける
あの気持ちが溢れてきた。

「ホント・・・邪魔、やめてほしい」

・・・その言葉を言われた瞬間
彼女の何かが終わった。

部活じゃなくてフルートに捧げた
熱い気持ち全部がそこで消えた。

彼女は、退部届けを出した。

顧問は、残念がって
遅くてもコンクールまでが区切りよく
続けてほしいと言われ彼女の
退部は、コンクール後となった。

それまでの短い期間は地獄だった。
全てを敏感に感じ取って震えていた。










「もうあんな思いはしたくないけど
どうしてもまたやって見たくなったの」

彼女は、音楽室の奥で練習を続ける
フルートパートの人達を見続けた。

「だったらさぁ・・・」

「ん?」

「自分の悪かったところ考えなよ」

「っ!なっ私が悪いの?」

「あるよ」

一体自分の何が悪かったのか
全然分からなくて雪翔を呆然と
見つめるしかできなかった。

雪翔はスタスタと音楽室に入って
見学する人用のイスに座った。

桜はやけになって
すぐに雪翔の隣に座った。

「わかんないよ」

「バカだね」

「教えてよ!」

「はぁ・・・」

雪翔は、ため息をつくとポツリと言った。

「桜はさぁフルート好きでやってたじゃん」

「、、、うん」

「じゃあさ部活は?」

「・・・部活?」

「吹部ってなんだと思う?

「どゆこと?」

「個人部だと思う?」

「いや・・・」

「一人で突っ走って一人で褒められて
全部、自己満だと思わない?」

中学の頃を思い出すと確かに
そうかもしれなかった。

ただ、フルートが好きだから
楽しくて好きてコンクールの金賞も
自分が貰うような気持ちで掴もうとして
部員と関わろうとしていなかった

「気に食わない?そんな奴」

「うん」

「吹部は協力するもの、、、だから
また吹部やるなら一から考えてやりなよ
、、、フルート」

「・・・・・・・・・・うん」


つづく


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