コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- ちいさくてかわいい、はセーギなんだよ!
- 日時: 2015/12/23 18:41
- 名前: 三田 新凪 (ID: dDPEYPay)
「山羽野っちー!はよッス!」
桜が散り、緑に色づき始めた通学路の桜。友達と通学路を歩く人、友達になろうと話しかけようとする人、何人もの男の人を囲む女の子。それらを無視して私は通学路を走り抜ける。
お目当てである山羽野巧巳に突撃すると、よろけながらもしっかりと抱き留めてもらう。
「名川先輩…地味に痛い。」
名川先輩こと、わたくし名川大和は悪戯っ子のようにニンマリと笑う。
私の身長の倍はあるんじゃないかと言いたくなる程の高身長の高校一年生の彼と、高校二年生なのに中学一年生と間違われる私の関係は幼馴染みの先輩と後輩だ。
「私先輩だからね!今日から私を存分に敬ってね!」
「名川先輩…よく『敬う』なんて知ってましたね。」
真顔で毒を吐く後輩の足を思いきり踏みつける。けれども然程痛くはなかったようでけろりとする綺麗な顔にムカツク。
「全く!教育がなってませんな!」
「ハイハイ。ブーメランですよ。」
そんな後輩とぺちゃくちゃお喋りしながら通学路を行く。
完璧に始まったと思われる新学期は…突如壊された。
「名川大和先輩!俺と!付き合って!ください!」
「アッ、ゴメンナサイムリデス。」
反省はしてない。だって怖いんだもん。背でかいし迫力満点だし金髪ピアスだし。怖いし。土下座してるし。知らない人から告白されても…いやね?私くらいの美少女ともなれば一目惚れするのもわかるけどサァ?
「えと、お名前は?」
「ハイッ!紅川綾人です!高校一年です!」
その名前を聞いて、野次馬していた生徒の何人かが顔色を悪くさせた。
「な、あれって紅血牙狼で有名な不良じゃね?スゲー、マジもんだ!」
こ、紅血牙狼…?
真顔で突っ立つ後輩と顔を見合わせる。だって、ねぇ。
可哀想じゃん?嫌だよそんな通り名テキなの…変なものを見る目から今度は可哀想なものを見る目に変わる。いやあんま変わってないけど。
「その目の意味はわかんないスけど…とりあえず、お願いします!」
「だって綾人クンのこと知らないし…とりあえず友達から、ね?」
取り繕うように自分でもわかる引き攣った笑顔でそう言う。怖かったから…。けれども本人的には嬉しいようでマジっすか!と目を輝かせている。あれ?なんか目青っぽい?
「この目っすか?俺ハーフなんスよ。だからです。」
「へぇー、だから金髪なのか。あ、敬語やめていいよ?」
そう言うと、後輩が目でいいのか問うてくる。うん。いい人っぽいし。
そう耳打ちすると、『野生の勘か…』と言われた。ムカついたので足を思いきり踏みつけたけどやっぱり痛くないようだった。
「さ、学校行…うわああぁぁ!遅刻、遅刻だよ!」
何気なく高校の入学祝の時に買ってもらった桜色の時計を見るとその針は遅刻寸前を指し示していた。野次馬していた人たちも慌てて走る。
集団遅刻になりそうだ、と後輩は思った。
《そんな、ありふれたおはなし》
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