コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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芸術の天才達が、本気で学校改革を計画したら。
日時: 2015/12/26 12:40
名前: 夏月 (ID: hjs3.iQ/)

夏月(かつき)と申します。
初心者ですが、読みやすく、面白い作品にすることを目標に頑張ります。

感想、アドバイスなどありましたら、コメントしていただけると嬉しいです。

登場人物  ※ここを飛ばしても、読む上で支障は出ません。

○久遠 風希(くどう かざき)
どんな画材道具でも使いこなす天才。

○松井 昂汰(まつい こうた)
小さなものではプラモデル、大きなものでは自動車、時には火薬まで手を出す、技工の天才。

○水谷 知架(みずたに ちか)
自身の感覚+数値化で、自由自在に色彩を操る天才。

○片桐 澪(かたぎり みお)
CG制作、ボカロ制作、HP制作や、プログラミングなど、
幅広くコンピュータを扱う、エレクトロニックの天才。

(順次更新)


——では、芸術の天才達が織り成す、コメディ的学校改革プロジェクト、策動します。

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Re: 芸術の天才達が、本気で学校改革を計画したら。 ( No.1 )
日時: 2015/12/26 13:00
名前: 夏月 (ID: hjs3.iQ/)

Project1 体験入学を成功させろ。

Part1 久遠 風希side


はじめまして。
久遠風希と言います。

久しぶりに遠いと書いて、クドウ。
風に希望の「希」と書いて、カザキ。

フウキじゃねぇから、そこらへん間違えないように。

さて、今から俺が話すのは、皆さんお待ちかね、
私立柳緑中学校美術部の紹介だ。

その話をする前に、先に言っておくことがある。

俺の周りには、変人しかいない。

変人しかいないから、どう転んだって、俺の話は変にしかならない。

……忠告はした。それでも俺の話が聞きたいんだな?
OK. 君達も変人だということを認識したよ。

何、恥ずかしいことでも、嫌なことでもない。
人と変わっていることを恥だと思うなら、
わざわざ私立の中学校を受験したりしないだろう?
人と差を付けたいからここに来ている、という人しかいないはずだ。

今、ようやく自分が変人だと思い知った人は、幸運だね。
もうすでに、一般人の枠を一歩飛び越えたんだから。


さて、そろそろ本題に入ろう。
俺の所属する美術部を一言で表すとしたら、このどちらかになる。

「カオス」か「チート」だ。

旧校舎3階を丸々部室に使い、
部費という概念を全く無視し、
様々な画材やコンピュータ機器、工具を全て網羅している中学校の美術部。
想像してみろ。

まさにチート。

だが、それは意外と考え物だ。
美術部の看板が下げられた部屋に入ってみたら、
そこには大小様々なコンピュータが並び、青白い光の中、
猛スピードでキーボードを叩く女子生徒がいたりするんだぞ。
しかもその女子生徒の肩書きは、「美術部部長」

まさにカオス。


変な部活だと思うか?
だけど、その空間を作り上げたのは俺達で、
去年まで、この学校に「美術部」という部はなかったんだ。

つまり、比較する対象がないってこと。
だから、誰も、変だとも普通だとも言えないんだよ。

柳緑中の美術部に入部すれば、どこに行ったってできない体験をすることが出来る。
その理由は……、ここで言うようなことではないかな。

そんな残念そうな顔しないでよ。
来てみれば分かるさ。

まぁ、色々派手なことしてきたから、
飽きるような活動でないことは、約束する。
呆れられる活動かどうかは……ゲフンゲフン。

Re: 芸術の天才達が、本気で学校改革を計画したら。 ( No.2 )
日時: 2015/12/26 22:41
名前: 夏月 (ID: hjs3.iQ/)

Project1 体験入学を成功させろ。

part2 久遠 風希side


「却下」

そんな冷酷無比の声が頭上から降り、
目の前で、今まで書いていた文章が全て消された。

「ぐあっ! 何するんだよ! いいとこまで行ってたのにぃ!」

「いいところだぁ?
 あんなふざけた文章、私は認めないからな」


私立であるこの柳緑中学校では、主に小学校高学年向けに、
体験入学と称して、学校の説明や授業の様子を伝えるイベントを行っている。

本来なら在校生の俺達には、ほとんど関係のない催しだが、
部活紹介だけは別で、各部趣向を凝らした発表をする。

俺が書いていたのは、
丁度1ヶ月後に迫る体験入学で話す、部活の紹介文だった。

彼女は、俺がなれないパソコンで一文字一文字地道に打っていた文章を、
あろうことか一瞬で消し、さらにそれを復元不可能にする作業まで律儀にやってみせたのだ。

「カオスだチートだっていう部活紹介したら、誰も近寄らないか、
 興味本位で野次馬のように人が集まるか、二つに一つじゃないか。
 しかもどっちも最悪のストーリー!」

「なら言葉で言えよっ。
 なにもあんなにさらっと消すことないだろ!?」

俺はヒートアップして椅子から立ち上がった。
自分より10cmは低いであろう身長の彼女を見下ろし、抗議する。

だが、身長の差なんて、コイツには関係ない。
彼女の全身から溢れる威圧的なオーラは、大の男をも凌駕する。

さすがは美術部部長・片桐澪、といったところだ。

実は、俺もまくしたてた傍から、心の中でこっそり彼女に怯えている。

「どうせ使わない文章なんだ。
 限りあるデータ容量を、そんなもので縮めてたまるか。
 そんな馬鹿げた内容を人前で言えると思ってるのか?
 そもそも、変人とは何だ、変人とは」

「そのまんまの、丁度ぴったりな修飾語だろ?
 こんな美術部作っといて、今更俺達常識人です、とは言えないって」

「っ」

澪は一瞬言葉につまる。

そりゃそうだ。
あのさっきの文章は、まぁちょっとフザけたが、基本嘘は言っていない。

俺達が柳緑中美術部の一代目だということ。
理事長から、まさかの旧校舎3階全教室を貰っちゃったということ。
澪が欲しいといえば、部費も用具も幾らでも揃っちゃうということ。

俺を含め、美術部には変人しかいないということ。

入学式でちょ〜っと目立っちゃったり、
学校祭と体育祭を盛り上げたら、先生から目をつけられたけれど、
澪と昂汰が論破して、逆に先生方が2人に怯えてしまったり
という、絶対飽きない話が豊富にあったりと……。

ね? 何一つ嘘は吐いてないでしょ?
え、ちょっと、まだ信じられないって?

……またまた〜。俺が冗談以外の嘘を言うわけないじゃないか〜。

それなのに、澪はまだ言い足りないらしい。
俺も抗戦する気マンマンだ。

2人して、不毛な喧嘩の続きをしようと口を開きかけたとき、

「ぐえっ!!」

俺の腹に痛烈な膝蹴りがお見舞いされた。
何で俺だけ……、と思ったら、蹴った本人を見て納得した。

松井昂汰。

大体の男はそうだが、
コイツだけは絶対に女子に手をあげることはしないし、
俺以外の男にも滅多に暴力を振るわない。

言葉を返せば、俺には、
どこで覚えたのか柔道か空手か、はたまたプロレスか、
というような技を、遠慮無しにかけてくる男である。

「こ、昂汰……、お、お前もか……」

「そんなシェークスピアの悲劇みたいなセリフはいらない」

「あぁ、昂汰、どうして貴方は昂汰なの?」

「それもシェークスピアだがっ!
 ……気色悪い。それは、もう一発欲しいという合図か?
 それならそうと素直に——」
「ホンッット、すみませんでしたッ!!」

俺は土下座で昂汰に命乞いをする。
そう何発も食らってたら、俺の体はもう、正常ではいられない。

床に這いつくばって呻きをあげる俺に背を向け、
昂汰は澪に1封の封筒を渡す。

細長いよく見かける形のものだが、
目を引くような、深い藍色が印象的な封筒だった。

「ポストに入っていた」

「ポスト?」

「あぁ。俺達が遊びでつけた、ドアの前にあるポストだ」

俺達が美術部を創立する際に、
理事長から自由に使えと言われた旧校舎3階。

言葉の通り自由に使っているが、わりと遊び半分でつけた飾りも多く、
「秘密基地っぽくしようぜ?」と誰が言ったのか、
外見だけは生活が出来るような作りになっている。

その「秘密基地」というテーマの元取り付けたのが、
手紙なんかを入れるポストである。

日曜大工の得意な昂汰が、小一時間で作り上げた代物だが、
アンティーク調に彩色もされ、普通に使える立派なものだった。

……が、まぁ、使いどころもなく、半年間以上放置。

今日、初めてそのポストは自分の役目を果たしたのだった。

「宛名も差出人も書かれてないな。美術部宛てか?」

澪は、藍色の封筒をカッターナイフで開け、中の紙を取り出した。

「何て書いてあるんだ?」

昂汰が聞く。
その声が心なしか嬉しそうなのは、
自分の作ったものが実用的に使われたためだろう。

昂汰の作品は、便利で使えるものばかりだが、
ポスト同様、使われていないものも結構多い。

澪は、一通り文面に目を走らせ、そしてゆっくりと差出人の名前を告げた。

「……おじいちゃんからだ」

Re: 芸術の天才達が、本気で学校改革を計画したら。 ( No.3 )
日時: 2015/12/26 13:58
名前: 夏月 (ID: hjs3.iQ/)

Project1 体験入学を成功させろ。

part3 水谷 知架side


「ちょっといいかな?」

殺人級の超甘い「作り笑顔」で話しかけてきたのは、
我等が柳緑中の生徒会執行部会長、平谷健斗先輩だった。

私は、彼が3年生であること、男であること、
女子から絶大な人気を誇ること以外は特に知らない。

そのため、最初は私に話しかけているとは思わなかったし、
少々面倒な相手だったので気付かないフリをしようとしたが、
旧校舎3階などという、
生徒はおろか先生さえも立ち入らない場所に私以外の誰かがいるはずもなく、
私は仕方なく「無視をする」という選択肢を塗りつぶした。

こちらもとびきりの作り笑顔で振り向けば、さすがは会長、
女子の扱いも、作り笑顔を見抜くことも容易いようで、

「まいったなぁ。そんなに警戒することもないのに」

と、変わらず人の良さそうな顔で、遠まわしにその笑顔が無意味だと告げる。

「警戒なんてしてないですよ?
だって、平谷先輩は有名な方ですから。
噂に疎い私でも、知っているくらいですし」

彼は「それは嬉しいね」と当たり障りのない感想を述べながら、笑顔の目を細めた。

彼のような、自分の感情をコントロールできる人は、
そんな些細な表情の変化でさえ、意図的にやっている可能性が高い。

「君って、美術部の部員だよね。澪さん? それとも知架さん?」

彼の「目を細める」という合図は、本題に入るという意味だったらしい。
もちろんそれは、私に向けられたものではない。

彼の欺きが、興味がないという意思を隠すものから、本音を隠すものに変わった。

多分、たったそれだけのことだ。
小さな表情筋の動きは、彼にとってのルーティン的なものなのだろうか。

どちらにせよ、彼が、私と同じ部類の人間であることは違いない。

私は何も身構えることなく、変わらぬ笑顔で受け答えをする。
こういうときは素でいた方がいいのだ。

私は、彼のような計算しつくされた演技をしなくてはいけないほど、
人に見せられないボロを持っているような人間ではない。

「水谷です。下の名前、知っていたんですね。驚きました」

「そりゃあ、覚えるよ。……それじゃあさ、知架さん」

まだファストネームで呼ぶか。

心の中で呆れにも似たツッコミを入れたとき、
急に彼の顔が私に近付いた。

「僕を、美術部に案内してくれないかな」

彼の長い前髪が、私の額をかする。

私は驚くことも、慌てることもなく、むしろ冷めた気持ちで彼に笑顔を向けた。

「えぇ。いいですよ」

これくらいで、私の不意をついたとは思わないでほしい。
やはり、風希の方が、何倍も私を楽しませてくれる。

Re: 芸術の天才達が、本気で学校改革を計画したら。 ( No.4 )
日時: 2015/12/26 15:30
名前: 雪城 こまち (ID: lhdE18AB)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

初めまして!
題名で、本当に芸術の天才が学校改革を目指してしまったら
どうなるんだろう?と惹かれてやってきました。

こう、部活の中で起こるあれやこれやという感じのお話が好きで、
とくに部長の澪ちゃんのキャラが私好みでした!
様々な天才が集まるこの美術部が一体これから何を起こすのか
楽しみですね。
続きを楽しみに待っております!


ではではお邪魔しましたー!


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