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忍-shinobi-
日時: 2016/01/01 21:18
名前: ハジメ (ID: aw3qwL.x)

 序章

『なぁ、里吉。私たちで武士団を作らないか?。』

 それは確か、もう何年も前に友人が言った言葉だった。
 聞こえた幻聴を懐かしむように微笑んで腰を下ろす。むわっと生臭いにおいが覆った。手放した刀は何のこともなく倒れる。
「・・・・・ごほっ。・・・・・。」
 小さく咳き込めば、大量に吐血した。なんだろう。なんでだろう。なんで、たくさん戦ったんだろう。
「組頭が最後って、笑えるな。」
 何のためにかけてきた?———たったひとつのもののため。そのためにどれだけのものを失ったのだろう。失ったものは、多すぎて覚えてない。もう、手のひらに何が残っているのかも。
 ただ———————・・・・・・・
 そして、青年は、あばよ、とつぶやいた。
 曇りなき青空に。

****         ******

「なあ、里吉はこれからどうするんだ?。」
 目の前でにぃと人懐こい笑みを見せて、湯飲みで遊びながら友人の桃前平助(トウマエ ヘイスケ)が言った。精神年齢は十の子供涙が、一応二十四歳になる。
「そうだな・・・・。この時世だしな。どっかの城で働いて、戦に借り出されて———ってな生活しなきゃなんないよな。そうじゃないと食っていけない。」
 この弥栄村はほかの村とは比べて成人の儀がおそい。二十四だ。里吉も、平助もふくめ、この村では今年は五人が成人になる。その後のことを、彼は言っているのだろう。
「そういうと思った。———なぁ、里吉。」
「あ?。」
「————私たちで武士団を作らないか?。」
 ・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・は?。」
 投げかけられた話題についていけず、思わず口が開いた。
「ちなみにもう結構そろえてあるんだぞ!。」
「え、だれだよ!?。」
「えー私に、優三郎、晶に、史規で、雪紘もいるぞ!保険係で。」 
 保険係でってどこぞの修学旅行か!と手にした湯飲みで平助の頭をたたく。いてぇ、と平助はうめいた。

 平助が武士団を作る理由はなんとなくわかる。
 だから、自分はすすむのだ。彼らとともに。ハジメから答えなんて決まってた。

「で、どうする?。」
「もちろん、俺が組頭だよな?。」

 立って外へ出ると、後ろから、まだ組頭とは決まったわけじゃないぞー!と間抜けな返事が聞こえてきた。今はそれでいい・
 つかみたいものは、皆同じ。

 その選択がどれほどつらいものか、穢れなき手がどのようにして穢れていくか、まだ知ることはない。
 ——————今は、まだ

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忍-shinobi- ( No.1 )
日時: 2016/03/26 16:35
名前: ハジメ (ID: XGjQjN8n)

目次
序章
主な登場人物
第1章 暁の中で

忍-shinobi- ( No.2 )
日時: 2016/03/26 17:50
名前: ハジメ (ID: XGjQjN8n)

主な登場人物

春崎 里吉(ハルサキ リキチ)
春夏秋冬半袖で過ごす超人
何事にも情熱を捧ぐが時より誰よりも冷酷になる

櫻井 優三郎(サクライ ユウザブロウ)
端から見て美少女な青年
忍の中で誰よりも冷静沈着で冷酷 里吉に借りがある

梅行 晶(ウメユキ アキラ)
年中無休で無表情無言 笑うところなど誰も見たことがない 唯一 平助が表情を読み取れる

桃前 平助(トウマエ ヘイスケ)
歩く大雑把 だがたまに誰も気づかないような細かいところを見抜く 晶と優三郎とは幼馴染

李玖呂 史紀(リクロ フミノリ)
喧嘩っ早く 里吉とはいつも喧嘩ばかりしている 暗殺一家の『陸路家』の末っ子
人殺しは苦手

立花 雪尋(タチバナ ユキヒロ)
忍の中で一番の年上 戦で行き倒れているところを拾われた 顔に似合わず腹黒で怖い

雪屋 留三郎(ユキヤ トメサブロウ)
かつて忍の六人とともに過ごしていた青年 今は良い主人の元で忍者をやっている


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