コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- いちずちゃんと二人の男子。
- 日時: 2016/03/28 20:55
- 名前: 斧月羅闍 (ID: Gqv37Ep.)
いちずちゃんが一途ではなくなってしまうピンチのはなし。
軽くとーじょー人物
・方来 いちず
一途でいてほしいという願いからつけられたキラキラネームのせいで女子たちから目をつけられるようになってしまった女の子。
だが親の願いは実現され、いちずちゃんは名前の通り一途過ぎる子に育つ。しかし、この一途な性格がこの大きな問題を引き起こすこととなる。
・妻野くん
いちずちゃんが一途に想い続ける男子。
楽しい性格で、クラスの輪の中心にいるような存在。
誰にでも気さく。
・縁藤 友夏
いちずちゃんの唯一の友達。妻野くんにの恋を応援する。
彼女も妻野くんの兄弟に想いを寄せている。
・緑藤 友海
友夏の双子の妹。考えていることが周りに揺れる。
同じく彼女も妻野くんの別の兄弟に想いを寄せている。
・逆巻 菜撞
緑藤姉妹の幼馴染で、いちずちゃんに対して理解はある。
・美青年くん
名前不詳。いちずちゃんが脳内でこう呼んでいるだけ。
詳細は内容にて。
・さむ
たまに学校にいる男性。正体不明。
・海鱶部長
謎に包まれている部活の謎に包まれている部長。
穏やかな性格の持ち主。
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- Re: いちずちゃんと二人の男子。 ( No.1 )
- 日時: 2016/01/15 22:21
- 名前: 斧月羅闍 (ID: ngeMfYox)
私、方来いちずには好きな人がいた。
その人のことが大好きで、大好きで。
友ちゃんに何回協力してもらったかも分からない。
友ちゃんに何回相談に乗ってもらったかもわからない。
沢山の懸命な想いを積み重ね積み重ね、揺れ動くことのないその私の心は、毎日毎日、彼、妻野くんに向けられていた。
揺れることなく、真っ直ぐと。
ずっと前も、一昨年も、去年も、今年も、先月も、一昨日も、昨日も。
だけど、今日は違った。
ー・いちずちゃんの出会い・ー
『ガタッ』
椅子を引く音が同時に教室に響き渡る。
「気をつけー」
「礼」
『『さよならー』』
気だるげに浮かぶ挨拶の声。
それにある感情は様々だろう。私だって疲れた。
名前を持っているだけなのにいろいろ面倒くさいことに巻き込まれる。
でも別にどうでもいいけれど。妻野くんと友ちゃんさえいればね。
「おーい、いちずぅー」
その声が私に届いた瞬間即座に振り向く。
「なに、妻野くんっ!」
妻野くんから話しかけられたという喜びで思わず声が高くなる。
そんな私に気付く様子もなく、妻野くんは続ける。
「いや、あのさぁ、俺今日部活行けないから代わりに先生に言っといてくんない?」
お願い、と顔の前で手を出して舌をぺろっと出す。
その姿を見て、今すぐにでも顔から火を出して学校を燃やせるんじゃないかってくらいに赤面をしてしまう私。
自分の口を無理に塞ぎながらうんうん、と頷く。
同じ部活に入って間違えなかったな、そんなことを確信する意味でも頷く。
「本当!?ありがとーっ、助かるわっ!」
「いやいや、私ができるのはこのくらいだから・・、」
とか言ってみる。
またそんなこと言ってー、と妻野くんは私をからかってくる。
そんなところも大好きだ。
じゃあ、と言い荷物を抱え教室を出ていく妻野くんを見送る。
「・・・あぁ、心拍数ヤバイな」
そんなどうでもいいことをつぶやく。
一人取り残されたガランとした教室。
皆がいないだけでこんなにも教室の雰囲気は変わるものなのか、というぐらい違う。
世界から自分以外の全員が消えた感じ。
大げさかな。
ふぅ、と息をつき、リュックを手にかけながら時計を確認する。
部活まではまだ間に合いそうだ。
私の唯一の友達、友ちゃんは吐き気とかなんとかで早退してしまった。
やっぱり話す人いないとつまらないなぁ、友ちゃんは大切にしなきゃ。
とか思いながら、教室を後にする。
廊下に出ても誰もいない。
いつもなら女子が立ち話してたりするんだけれど。まぁいいか。
一人、足音が響く廊下を歩いていく。いや、正確に言うと歩いていた。
気が付いたら足を止めていた。
向かい側から此方に向かって歩いてくる二人の男子の一人に、私の目は釘付けになってしまっていた。
澄んだ瞳、艶掛かった黒髪、綺麗な肌、すらっとした整った顔立ち。
すたすた、と歩いてくる。
私の横に差し掛かろうとしたとき、目が合ってしまった。
すると彼は、私に向かって微笑んだ。
とっても柔らかく、暖かい微笑み。
全てがコマ送りのようだった。
私の横を通り過ぎると時空が解けたような感覚に落ちた。
思わず手元にかけていたリュックを落とし、座り込む。
「・・・なに、これ・・・」
- Re: いちずちゃんと二人の男子。 ( No.2 )
- 日時: 2016/03/18 19:50
- 名前: 斧月羅闍 (ID: RcHXW11o)
全身から力がするすると抜け、しばらく静寂が私を包む。
なんだろう、今の。
矢で刺された感じ。
胸がまだドキドキしている。
・・・まさか。
お願いだから違うと言ってくれ、とでも言いたいぐらい祈りつつそっと頬に触れてみると・・・・、
「・・・・・・・・熱い」
予想してた熱さ。
通常の熱さとは違った熱さ。
分かる。違いなんて怖いぐらいわかる。
だって・・
この熱さは、何度も妻野くんで経験している。
だんだんと我に返り、認めたくない事実がみしみしと頭にしみ込んでくる。
・・・一目惚れ・・・・・・・しちゃったんだ、私・・・・・。
〜・〜・〜
「・・・ちょ、大丈夫?いちずちゃん・・?」
「あっ、だ、大丈夫です」
先輩の声でふと我に戻り、止めていた黒板に頼まれた名前を書く手を動かす。
妻野くん、、
だめだ、今私の頭にパッて出てくるのは美青年くんなんだよ・・。
妻野くんの名前を書き終え、改めて私の書いた彼の名前を見つめる。
好き、、だよ、好き・・なんだけど・・、
・・・・・・
だめだ、、
チョークを黒板の淵に置き、衝動に駆られた様にさっきの教室に走り出す。
後ろで先輩が私を呼びとめるような声が聞こえた気がするけど、無視。
今はそれどころじゃないんだ。
だめだ。
あんな美青年がこの学校にいるなんて聞いたことない。
私が噂の届かない人間位置にいるのもいけないんだけど、、
そんなことを考えながら、教室に向かう。
廊下の角を曲がったところに見える教室が続くその廊下に、彼はいた。
しかも一人。
壁によっかかり本を読む彼の姿を目にすると、心拍数が余計上がり落ち着きそうになかった。
格好良すぎるよ・・。
声に出そうなぐらい心の底からそう思った。
走って掛けてきた私の姿になんか気付かず、本の世界に入り込んでいる。
そんな彼を遠くから見つめていると・・・
- Re: いちずちゃんと二人の男子。 ( No.3 )
- 日時: 2016/03/25 01:31
- 名前: もぶ (ID: PrIJf00M)
「わっ!」
「ぎゃっ!!ってバカっ、」
突然背後に振って来たその声に反動して出てきた自分の声があまりにも情けなかったことは置いておくことにして。
その元凶を私史上最速で廊下の死角に引っ張り出した。
「ちょ、バカなの!?!?友海!?滅茶苦茶びっくりしたんだけど!?」
「へっへー、大成功だねっ!・・で、なんでそんな小声なの?」
「えっ、別に意味はないの!!とりあえず友海も小声で喋って!」
「あー、、うん・・?」
こっそり壁からのぞくと、そこには美青年君が少しきょろきょろしている姿が目に映った。
ですよね。読書の邪魔してごめんなさい。
でもそんな表情も格好良すぎるよ・・・・・!!!
「誰見てるの?」
「え、えっ!?!?いいいや、別に、あそこに上級生がなぜかいて教室入りにくいなぁ〜・・てだけだよ!?」
友海の顔をチラ、とみると物凄い疑わしい視線を私に向け、ふぅ、と一息つくと立ち上がった。
「よし、分かった。私が行こう!!」
「いやちょちょちょちょ待って待って」
「へ?」
キョトンとした顔を此方に向ける。せこいぞ友海。
「わ、私の用なんだから、私も行くよ・・。」
「・・・・ほー、了解」
なにか一瞬また友海から凄い視線を感じた気がするけど気づいてないことにする。
できるだけ自然と、少々俯きながら友海のあとについていくように教室に向かう。
- Re: いちずちゃんと二人の男子。 ( No.4 )
- 日時: 2016/03/28 21:08
- 名前: もぶ (ID: Gqv37Ep.)
段々と確実に教室が近づく。
つまり、美青年くんにも近づいていく。
ここ最近経験したことのないような胸の高まりについ苦しくなり、思わず胸を抑える。
そんな様子を見、なにやら心配したのか
「大丈夫?動悸?」
と言ってきたが、後半の言葉で返事をする気も失せたため無視。
視界すれすれに見える整った綺麗すぎる横顔に、思わず吐血しそうにならないけど吐血ぐらい簡単にできそうなほどの気分になる。
調子が狂う。
そんな私の様子なんて知りもせず、本の世界に浸り込む美青年くん。
やばい。
すれ違う。
ここは慎重に。
そう思ったその時。
つま先になにか異物があたった感覚を覚える。
「うわぁあぁあぁっ!?!?」
『ドサッ!!!』
見事に友海に交わされ、思いっきり床に転び落ちる。
・・やってしまった。
なんて無様な姿になってるんだろう。
私は、一目ぼれしたかも知れない相手のよりによって目の前で、さらに相手は読書に集中しているときに私は十分すぎるぐらい大胆に転んだ。
傷が開いてる感覚はしたが、そんなことはどうでもいい。
だめだ、、、
凄い体制で目を瞑る。
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