コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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狂人彼女の可愛いところ。
日時: 2016/02/05 07:05
名前: 青空苹果 (ID: dDPEYPay)

初めまして。あおぞらりんご、です。まあ匿名ですね。
糖度低めのラブコメ、の予定です。
更新は遅いですが頑張りたいと思います。



”目次録”
『狂人彼女と僕』>>1
『狂人彼女の日常』>>2


”登場人物”
『青山 春真』
この小説の主人公。一人称は『僕』だけどかなりの毒舌っ子で常に冷静。一応人気者。
顔は幼さが目立つが整っている。夏乃の彼氏に当たる人。成績優秀だが夏乃とは違い運動は苦手。

『赤山 夏乃』
この小説のヒロイン。一人称はコロコロ変わる。基本的に馬鹿であり若干の狂気も感じる狂人。顔はいつもへらへらとしているが黙ると可愛らしい。春真の彼女に当たる人。運動は大好きだが頭は悪い。でも頭の回転は速い。問題児。

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Re: 狂人彼女の可愛いところ。 ( No.1 )
日時: 2016/02/04 22:09
名前: 青空苹果 (ID: dDPEYPay)

 僕と彼女は正反対だ。

 まず名前。僕の名前は青山春真で、彼女の名前は赤山夏乃。青と赤、春と夏。この名前で僕たちは知り合った。

「ねえ。君の名前ってすっごく私と正反対だよね!」

 あの時はまだ普通だったと思う。

 次に得意分野。僕は成績はよかったけれど、幼い頃から運動だけはどうしてもダメだった。それに比べ彼女は成績は悪いけど運動は大好きだった。ああでも、滅多に運動をしない僕と同じくらいに彼女の肌は白かった。

 それと表情。僕はあまり笑顔を見せないけれど、彼女はいつも笑っていた。表情を変えないという点では同じだったけれど。

 そして何よりもその性格。

 彼女は、とことん明るかった。どんなにテストの点が悪くても底抜けの笑顔見せる。それに比べて僕は、そんな風に喜んだり明るく振舞ったりしなかった。いや、できなかった。

 そんな感じに正反対の彼女のことが、僕は好きだった。

へらへらとした笑いじゃなくて、たまに見せる底抜けの笑顔が眩しくて、大好きだった。自分よりも輝く太陽に____魅せられたように。

そんな彼女に僕は告白した。これ以上思いが溜まれば爆発しそうだったから。彼女は笑顔でいいよ、といった。想定外の即答に僕は拍子抜けしたけれど、別に嬉しかったからそれでもよかった。


大変なのは、それからだった。

きっかけは知らない。いつからか彼女はよくわからない行動をし始めた。いや、元々彼女はバカだったが__それが拗れたというか。例えば、彼女の弁当は常にお見本のようなお弁当、だったのだがある日___真っ黒だった。何か海苔が大量に乗っていた。そしてその中身は衝撃的すぎて覚えてない。寒気がする。

そんな彼女の不可解な行動は続いた____が。

それでも僕は彼女が好きだった。

Re: 狂人彼女の可愛いところ。 ( No.2 )
日時: 2016/02/05 07:05
名前: 青空苹果 (ID: dDPEYPay)



「はるくんはるくんはるくん!!!」
「どうした?」

 突然天井から降りてきた夏乃に僕は驚かない。彼女は本当に神出鬼没で、これで驚けばきっと彼女を喜ばせることになるだろう。

「あのねはるくん、転校生だって!」

 何が嬉しいのかよくわからないけど、にこりと笑う夏乃に思わず自分も口元が弧を描く。それをクラスメイトの何人がちらほら見ているが知ったことではない。ああ可愛い。非常に愛らしい。しかしそれを顔には出さずに「よかったね」と笑う。

「どんな子かなー? 仲良くなれるといいな!」
「うん。なれるんじゃない?」
「ほんと!」

 彼女は少々特殊だが相手の警戒心を解くのは得意だ。ちなみに僕はあまり得意ではない。
が、しかしだ。もしその転校生とやらが男だったら___。

 そこまで考えたところでHRの鐘がなった。夏乃を机に戻すと、自分も席に着いた。

「はい、今日はご存知のとーり、てんこーせーがいまーす。」

 教師でもあるその人は気だるげにそう言うと、教室のドアの向こう側から転校生を引っ張ってくる。

「じこしょーかいしてねー。」
「え……あ、拓良御門です。よろしくお願いします。」

 大声で「よろしく!」と言う夏乃に困惑する拓良。無論クラスメイトは慣れているのでいちいち反応はしない。拓良は一番後ろの席の__夏乃の隣になったようだった。

「ねえねえ! みかちゃんって呼んでいい!」
「え、みかちゃん……? そ」
「みかちゃんって呼んでいい!」
「え、でも」
「みかちゃんって呼んでいいよね!?」
「……うん、わかった。」

 どうやら拓良はみかちゃん、になったようだ。拓良は諦めたような顔をしているが満更でもなさそうだった。

 結局夏乃と拓良ことみかちゃんはずっと喋っていた。

Re: 狂人彼女の可愛いところ。 ( No.3 )
日時: 2016/02/12 20:36
名前: 青空苹果 (ID: dDPEYPay)

「おい、春真の目がガチだぞ。拓良死なないでくれよー」
「ほんと。夏乃ちゃんも悪魔だねー。」

そう言い、隣の幼馴染みに同意すると、幼馴染みは私に笑いかけた。
一般男子よりもほんの少し白い肌、癖毛気味の焦茶の髪。それ全てが、眩しい。


私のクラスメイトであり幼馴染みの主な野次馬対象である青山春真と、クラスメイトの赤山夏乃は恋人関係である。

しかし二人は少々個性的だった。

青山春真は儚げな美少年といった風貌とは裏腹になかなかの毒舌である。また自分が興味がないものにはとことん無視だが自分が興味を持ったものには異常なほど執着する、と少なくとも私はそう思っている。

また赤山夏乃も赤山夏乃で個性的だ。
彼女は非常に愛らしい容姿だがその行動自体は奇抜だった。神出鬼没、狂人、馬鹿はまさに彼女の為に作られた言葉だと思う。
因みに私と夏乃ちゃんは友人関係である。

私と幼馴染みのマイブームはこの二人を観察することである。
ただ私にとってはそれは表向きで、本当は幼馴染みと一緒にいたいが故でもあったり。


どうやら転校生の拓良御門のあだ名はみかちゃんになったようだった。とりあえずみかちゃんが夏乃ちゃんを好きになってもらうと正直困る。私たちにまで二次災害が及ぶがゆえに。

まあ、みかちゃんは夏乃ちゃんに一目惚れとか言う訳ではなさそうだと思う。これから好きになる可能性は捨てきれないが。

「春真ー! 生きてっかー?」
「……は? 夏乃がいないのに生きれるとでも?」
「やべええ!! こええー! マジこええー!」
「煽らないで!」

勝手に幼馴染みが春真を煽りにいくので慌てて止めに行く。そして当人である青山春真は負のオーラを漂わせている。

これは……みかちゃんが危ないかもしれない。

割と本気ガチの青山春真の目を見て密かに私はみかちゃんに向かって「御愁傷様です。」と手を合わせた。


■ ■ ■


僕は________拓良御門は所謂『恋』というものをしたのかもしれない。

「はい、今日はご存知のとーり、てんこーせーがいまーす。」

やたらめったら間延びした教師の野江先生の声に言われて教卓の前に立つ。教室全体の視線が一気に集中し、ほんの少し緊張する。

「じこしょーかいしてねー。」
「え……あ、拓良御門です。よろしくお願いします。」

ぺこりとお辞儀すると、迎えたのは控え目なぱちぱちという拍手と共に、「よろしく!」という大声だった。

僕の隣の席はどうやらその大声の主のようだった。

少々跳ねついたストレートの髪に可愛らしい笑み。ドキリとする胸を押さえ、僕は『みかちゃん』という非常に残念なあだ名を貰ったのであった。


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