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人類最強者達が異世界戦争者より召喚されました
日時: 2016/02/11 19:33
名前: ★ (ID: hodsxr1W)

まずは一言___________お久しぶりです!



帰って参りました「★(くろぼし)」です(‾▽‾)ゞ
【精霊魔法のジャッジメント】
を読んでくださっていた方は覚えていますと思いますが、久しぶりすぎるので抹消レベルですね〜。



新作です!
小説家になろうにて書いてる作品を、もっと多くの人に読んでもらいたいと思い投稿します!

コメントはDASHで返します♪じゃんじゃんくださいo(^o^)o

是非、楽しんでくださいo(^o^)o




※注意事項
・荒らしはおやめください
・多少元ネタを含みます





では、1話目をどーぞ!







01「4人の最強者」






__________あぁ、つまらねぇ。
つまらねぇ、つまらねぇ、つまらねぇ。
この世の生命知り尽くした。
この限りのない数式を埋め尽くした。
この生きとし生ける者、全てを覆した。

なのに人類は退化した。
たった1人の強者を束縛するために産み出した知恵の鎖は、彼の自由を奪い尽くした。

だが、それも一興だ。
産まれる者が、強者を捕縛することに意義はない。多くの生命が権利と知恵を持ち、それを最大限に使用するために戯れる。

だけど…この胸は踊らない。
規則を潰したこの鎖は壊れない。が……壊れないだけで、それを繋ぐ岩の壁は崩壊する。何かを超越する事ができても、全ては超越出来ないのが事実だ。

可能性があるかもしれない。
彼を抑えられる。いや、万に1つ…殺すものが産まれるかもしれない。彼はそれを期待した。

結論は______無駄であった。
挑戦する者は産まれるものの、無念と帰る。
ついには、挑戦する事すら忘れ……生きている。

これで青年にある結論が脳裏を過る。
俺は、彼は、“生まれる世界を間違えた”。




***



「ひわぁぁあ……!ヤバイのですよ!大惨事なのですよ!まさか、召喚の軸が擦れて、あの場所に転移されていくなんて!」

迅速を超越する速さで木々を渡り走る、猫耳の女性。獣と人間の幻獣……《第3幻獣》、または《キメラ》と呼ばれる生命が息を切らせながら、ある場所に向かう。

掻き分ける茂みを越えた景色が眩い限りの洗礼を広ろげ、ある湖に到着する。

「…えっと…召喚者達は_____________上なのです!?」

上空高度2000メートル。暗雲1つない空。
猫娘から視点からは黒点の大きさの粒が、4つ降ってくるのが見えた。

「あわわ……“水龍”の湖に一直線なのですよ!」

猫娘の言葉の刹那に、湖の水が沸き上がり、白き鱗を纏った巨大な龍が現れ、大きく口を開ける。

その龍は、上空からでもよく見えていた。

「寝てたはずなんだが、冷たい風に晒されている……悪くないシチュエーションだが、早速のバッドエンドは御免だな」

落下する4つの生命の1つ。
白髪の青年が周りを見渡すと、大きく広がる巨大な空間と、浮遊する5つの大陸。何れも全てが地球を半分に割ったかのように存在し、全ての大陸から七色の水が真下の雲の中心地に飲み込まれている。あからさまに、ここは元いた世界ではない。

一瞬で青年の脳裏を過る可能性を思い浮かべる。

(おもしれぇ…精々、楽しませろよ?《異世界》)



***



「…ふぇ…む、ムチャクチャなのですよ…これは」

猫娘がヘナヘナと倒れ、驚愕する。
当たり前だ。挨拶代わりの青年の拳1つで、湖が半壊し、水龍さえも跡形残らず粉砕したのだから。

「へぇ…やるじゃねぇか、お前ら。手加減したとはいえ、範囲攻撃を空中で回避されたのは、生まれて初めてだぜ?」

ケラケラ青年が笑う。しかし、満足そうに。
それに対して黒髪の短髪ショートの少女は、そっぽを向き、瞳に十字を宿した赤目の緋色髪の少女は、目が黒に変化し溜め息をつく。もう1人の金髪ツインテール少女は、青年を何故か威嚇していた。

ニヤニヤ、ケラケラの青年。

「あ、あのぅ…皆様、お怪我は大丈夫なのですか?…まぁ、水龍のほうがすごいことになってますが」
「おい、金髪ツインテール。さっきの俺の範囲攻撃に反撃したな?」
「…遅いし、攻撃されると思ったからね。不可抗力よ?」
「無視しないで欲しいのですよ!皆様!」
「で、猫娘。お前は誰だ?」
「……はぅ…わ、私は、“猫神”といえば、お分かりかと」

猫神(バステト)といったところだろうか。
察するに、やはりここは異世界のようだ。

「み、皆様のお名前をお教え頂いていいのです?」

猫娘…バステトが頭を下げる。
なるほど、こいつが俺達をこの世界に召喚したオチなのだろう。まずは、白髪の青年が前に出て名乗ろうとする。

白いフードパーカーのチャックを中間で止め、中には黒いTシャツ、ねずみ色の裾を捲り上げた皮のジャージ姿で、ヤハハと自己紹介___________のはずが、青年は急に空を見上げて目を細める。

「ハハッ、流石は異世界。空から巨大な岩石が落下してくるとか、この世界の重力法則は大丈夫か?ニュートンの法則を無視するなよ、おい」

青年が跳躍し、たった一撃の拳で岩石を粉砕する。驚愕した猫娘は目を丸くし、即座に岩石落下の理由を探すために周囲を見渡す。

着地した青年は、砂埃を払い一礼。

「楽しそうな世界の招待を感謝するぞ?“廻守人(えすと)”だ、以後よろしく頼む」

その瞬間、地面が天へと貫くほどの地割れが発生し、地面から巨大な大蛇が出現する。

「あわわ…岩蛇様なのですよ」
「岩蛇?食べれるの?」
「蒲焼きにでもするか」
「あら、良いわね。食べないけど」
「相談は後にしない?来たわよ」

岩蛇が地中に潜り、大きな音をたてて移動する。先程の岩石の落下は表面上で移動していた流れ弾だったのだろう。

「あっちの蛇の仲間なら悪いな、弱肉強食は嫌いでも遺憾千万がモットーなんでなッ!」

地面に向けて森羅万象の拳を放つ。その瞬間、地面全てにクレーターができるほどの圧力がかかり、音がやむように岩蛇の気配が消える。

「無茶苦茶ね、あなた」
「そりゃ、どうも」


次に、少し目付きの悪い瞳だが、それを補うような金髪ツインテール。白い長袖のシャツの上に蒼の半袖型の上着、下は膝より少し短い短パンより少し長い赤いスカートを着ている。

「私は、“九重(ここのえ) 泉理(せんり)”。ずっと思ってたんだけど……エストって変な名前ね」
「いきなりの喧嘩売りありがとうございます。しかし、俺はこの名前気に入ってるんだがな」

次に、お嬢様のような少女。
赤いドレスが即様、目に入り、腰辺りに薄いピンクのリボンが象徴的だ。緋色のロングヘアが風に靡き、正直言えば美人である。

「劉音よ。“鷺(さぎり) 劉音(りゅうね)”」

次に一番地味な、黒髪ショートの少女。
外面通りの外見は大人しそうな、水色のTシャツに白の上着、その上から薄いピンクのロングコート。下は灰色の短パンと、少し大胆な気もする。

「“三猫(みねこ) 穂乃香(ほのか)”。バステトの猫耳……興味をそそるよね…えいっ」
「わわっ!?ほ、穂乃香さんっ!?や、やめ…く、くすぐったいですぅ…」
「すごい…モフモフしてる」

暫し戯れた後、コホン…と、バステト。

「では、ようこそッ!異世界“終焉(ターミナス)”へ!この、世界は、時代、時間、時空、という様々な“時”という、カテゴリから、皆様をお呼びしました!勿論、あなた方達は、ランダムで召喚された訳ではないのです!それぞれ、“最強者(サーバント)”をお呼びさせてもらったのです!この世界は“強者”のみ存在します!世界を否定した、あなた方達は、この世界を肯定しますか?」

暫の静止の後に、4人全てが頷いた。
当たり前だ。この4人は、世界を否定している。
最後にみた、あの景色を4人は忘れない。
こうして、4人は生まれ変わる時が来たのだった。

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Re: 人類最強者達が異世界戦争者より召喚されました ( No.1 )
日時: 2016/02/11 19:31
名前: ★ (ID: hodsxr1W)

02「完結した聖地」





________ 猫神(バステト)の神地(しんち)“レイチェル・ストーム”にて。猫神の中心地“ブバスティス”の偽名と神話上でも由緒正しき墓地とされる、バステトが埋葬された参拝の聖地とされているのは明らかだ。

しかし、それが荒れ地と化しているのはどうだろう?見渡す限りの広野___________木々も草花も生い茂らず、水すらないという現状だ。
ワクワクしていた廻守人も呆れて言葉もでない。これから感じるのは、埋葬されるのは御免くらいだ。



「猫娘、これはどういうことだ?聖地であるお前のルーツが崩壊しているなんてよ」

乾ききった土を撫でながら、廻守人が笑う。
猫の神に自然を調和させる話は聞いたことがないが、全くというわけでも無かろうに。

「あぅ…じ、実は、この世界の驚異…いえ、この世界には“災害神”と呼ばれる神が存在するのですよ。全ての災害神はそれぞれの“源言”により覚醒した神なので、まさに名前そのもの…災害なのです」
「なる。これは、その問題者がやった……と」

廻守人に続いて黒髪ショートの穂乃香が乾ききった土を撫で、深刻な目をする。緋色の少女……劉音も「酷いわ」と口ずさむ。

「けど、これ、私達が助けることはないわね?」

しかし空気は一変。
金髪ツインテールの言葉が猫娘(バステト)の耳を擽り、間抜けな声で「ふぇ!?」と言う。

「お、奇遇だな。俺もだ」
「ふぇ!?」
「私もね」
「ふぇ!?ふぇ!?」
「私も」
「ふぇ!?ふぇ!?ふぇ!?」
「俺もだ」
「ふぇ!?ふぇ………もういいのですよッ!?」

ぐったりする猫娘を、ケラケラ見送る廻守人。
すると、何かを察知したのか穂乃香が空を見上げるのを劉音と泉理が気付き、二人とも見上げる。すると、意味不明な生き物が飛行しているのが視界に映る。

角の生えた悪魔のような形相。人型の生き物が羽を広げて此方へ向かってくる。

「あら?お客さまかしら」
「友達?猫娘の」
「違うわね。飼い主よ」
「誰が飼い主なのです!?違うのですよぅ!?」

猫娘が突っ込みながらも内心脅えているようだ。
翌々考えれば無理はない。そもそも、この荒れ地に用があるとすれば猫神狙いしかないのだから。

「ヒャッヒャッヒャッ_______ヒャバウッ…?!」

刹那___________脅えていた猫娘が目を丸くする。

それもそのはず…高笑いした悪魔の5人中、1人が間抜けな声で吹き飛んだのだ。既にもう見えない空の彼方へ消えていった悪魔を笑い吠えながら、着地する廻守人があった。

「ハッ…雑魚かよ。消えな、雑魚悪魔共」
「あ、悪魔を瞬殺なのです!?す、すごい…」
「この人間ごときがッ!やっちまえ!」

ニヤニヤ笑う表情の中にも退屈した形相の廻守人。わかりやすい挑発に、悪魔が一斉に襲いかかる。頭に血が登った絶好の反撃チャンスだというのに、猫娘はヘナヘナと足の力を抜く。そして、這いつくばるようにして___________

「あ、あの……皆様…お願いします。猫神は、あなた方が頼りなのです…猫神は……戦えません」

___________土下座した。
その言葉と行動に廻守人の思考が回る。猫の形を纏った猫の神様…それがバステト愛猫神と呼ばれエジプト神話の代表的神《太陽神ラーの娘》とされる。

神話上から“戦うことの出来ない理由”などは見当たらない。となると…戦うことを拒否する理由は1つである。

「仲間を“取られた”か?」
「…………」

沈黙は正論となる。
廻守人は、なるほど…と呟き、肩を回しながら悪魔へと不適な笑みを浮かべた。

「相手は4人?4体?まぁいい、こっちも4人。1人、1悪魔だな」
「猫神、うぅん…マスターかしら?任せてちょうだい。掃除は配下の役目よ?」
「大丈夫。猫は護る」
「ま、まぁ…皆が言うなら…」
「あ、お前は帰ってもいいぜ?」
「なんでよ!?てか、何処によ!?」

悪魔目の前に、仲良く漫才をする4人。
機嫌を悪くした悪魔は更に憤怒を上昇させ、大きな剣を呼び出し襲いかかってきた___________が、まず1人が先程と同じ目にあう。

「ハハッ……!よえぇッ!!よえぇッ!!」

廻守人がまたもや拳で吹き飛ばす。
そんな光景を見た他のメンバーも、個々の力を見せつけようと散らばりながら前に出る。

「派手ね。けど、負けてられないわ________眠り目覚める王妃の眼(まなこ)。悪魔には悪魔ね?……隻眼(せきがん)の悪魔の力…受けてみなさいッ!」

緋色の少女、劉音の目が赤くなる。
眼(まなこ)に十字を纏い、一瞬による刹那の覇気が悪魔の身を焦がす。それはまるで支配された体を嘆き捨てるよう…逆らえず、生け贄の足しにしかならぬ身を滅ぼしていく。

「…あれは…神霊の類いの瞳なのです!?……しかも、悪魔クラス…悪魔神(サタン)の目」
「あら?私の世界の悪魔の方が強いわね」

劉音が片付いた後、続いて泉理。
泉理は遊んでいるのか、振り回してくる大きな剣を目を瞑りながら避けていた。

「…このガキぃ!」
「………飽きたわ。ねぇ、悪魔さん?そのガキ相手に勝てなかったことを地獄で悔やむことね?まぁ、地獄があるのかは知らないけど」

金髪のツインテールが逆立ち、廻守人の先程感じた“者”が現れる。邪悪にも形を与えぬ存在…そう、死の末路だ。
それは悪魔にも見えたようで怯み、立ち眩み、そして、膝まづく。

「…た、たすけ……て…」
「お利口ね。末路には、生還の道はないのかしら?なら、逃げなさい。そして、2度と来ないでね」
「ひ、ひぃ!!!」

(酷いな…あいつ)と廻守人。
猫娘は何やら逃がしたことを悔やんでいるようにも見えたが、黙っておこう。

そして、一番時間をかけている者。
黒髪ショートの穂乃香だったが何故か、悪魔からの攻撃を全て許していたのだ。

「なんだこいつ?よえぇなァッ!!!」
「……へぇ、穂乃香だっけ?あいつ…やるじゃねぇか」

恐らく反撃はしなかったものの、廻守人の攻撃を上手く交わしたのは穂乃香だろう。
悪魔は穂乃香を攻撃しているように見えるが、その1面で穂乃香はピンポイントで力を受け流している。いや、防いでいるだけではない…これは___________吸収している?

「ガキンッ!……って…えぇ!?」
「完璧に勝つ。だから、その剣貰った」
「こいつ……剣の硬度を………」

穂乃香の腕がまるで鉄のように、硬度を纏う。
奪う類いの能力だ。
穂乃香の強度は既に、剣と同じ。粉砕する拳も同じく、大剣を降り下ろした森羅万象となる。

「ネタ貼らし禁止」
「やめ_____ぎゃぁぁぁあ!!!!」

振り下ろされた腕が粉骨砕身の鉄槌と共に悪魔を粉砕する。大気を揺るがし、大地をかち割るその姿はまるで巨人の鉄拳もようなものに見えた。

「……ふぅ。ストックしとこ」
「すごいのです…あの悪魔を全員が圧倒するなんて………すごいのですよ!」
「「「「あんなやつ楽勝」」」」

息を揃えた4人が退屈そうに振り替える。
全員がわかっていた。猫娘を…元い、猫神(バステト)を狙うのなら、もっと強者を呼ぶべきだ。あんな雑魚悪魔は普通、呼ぶわけがない。
理由は簡単だ。猫神がこの聖地を滅ぼされたのは猫神が戦えない……“仲間を取られた”以外にも存在するからだろう。それなら普通、援軍を配慮するべきだ。

だから、これで終わらない。
4人の頭上に1枚のA4サイズの紙が現れるのを4人は目を細めて紙を待った。

Re: 人類最強者達が異世界戦争者より召喚されました ( No.2 )
日時: 2016/02/17 00:48
名前: ★ (ID: hodsxr1W)

_________悪鬼、悪魔、悪路の増悪が漂う。
神の聖地である、この場所が犯される程、この聖地の効力は無力とみていい。

空から落ちてくるA4の紙。
前に出て、猫神が低い背を伸ばして紙を取ろうとした瞬間……廻守人の全身が震え上がる。

「猫娘ッ!!死にたくなかったら取るなッ!!!」
「ひぇ…?」

猫神の間抜けな声とは裏腹に廻守人が高速で動き、紙を拳と紙の摩擦で燃やす。すると、廻守人の体を黄色い光が包み、周囲には及ばない小規模の爆発が起きた。煙が風により曝される。無論、廻守人は無傷だ。

その後、それが目的のように廻守人の目の前に文字が浮かび上がってきた。

「…ラテン語。いや、日本語と中国語…英語の中間のような文字だな。後で、覚えるか。おい!猫娘!読んでくれ」
「は、はいなのです!……えぇ〜と、《明星(みょうじょう)の悪魔》………ふぇ!?こ、これ、略奪戦争(ゲーム)なのですよ!?」
「ゲーム?どういうことだ?」

廻守人の問いに猫神がおどおどしながら説明する。

略奪戦争(ゲーム)とは______この異世界における唯一の、独裁方法であり、戦争方法であるらしい。
指定する主催者は特権と権力が上なら下位の生命を降せることが、ゲームにより可能とされる。
下位の者に、拒否権はない。
つまり…独裁が始まれば、何もかもが無くなるまで終わることのない地獄が始まるということだ。

そして、この聖地の最後の宝……それが、猫神本人なのだろう。

「マスター、ルールはあるのかしら?」

劉音の言葉に、文字の続きを読み上げる、猫神。

《明星の悪魔》
_______名低き、“エジプト神”に告ぐ。
名を暗き我は、主の聖地への戦争を行うことを決定した。戦日は明日、生け贄は、“聖地全ての生命”及び“選択権”。
ルールは、全面戦争とする。

以上をもって詳細を皆無とする。


___________《墜ちた者》


「……これ、名前隠してるつもりなのか?どうやら、“俺達”は喧嘩を売られたらしいが」
「…?。猫娘じゃなくて、私達?」
「生け贄は“聖地全ての生命”だ。俺達もだろ」
「そうね。マスターの配下のために召喚されたのだし、配下も聖地の生命よ?」
「なる。けど、しんどいことはやりたくない」
「あら?負ければ、マスターは取られるのだけれども、いいのかしら?」
「……絶対勝とう」

むんっと気合いを入れる、穂乃香。
すると、猫娘が宿舎があるようで、案内を進める。
しかし、到達したのはボロい一軒家であった。

「…確か、湖の方で寝れたな」

恐らく水龍がいたせいか、周りには何にもない。安全ではなかったのだろうが、それも今は廻守人が消滅させてしまっていて多分、平和だ。

「ちょっ…まってほしいのですよッ!廻守人さんッ!!」

赤面した顔の猫娘はパチンッと指を鳴らすと、4人の目の前に木の実が現れる。少し堅そうな真っ赤な木の実だ。

「見たところ、劉音さん以外は自分の能力を把握していないように思えました。ですので、ささやかながら私が皆様の能力を解明するのですよ!」
「意外ね。てっきり、ストーリーでのサブアイテムで使わなくても攻略出来る物かと思っていたわ」
「も、物?!さ、流石に怒りますよ!泉理さんっ!」

プク〜と頬を膨らました猫娘は、4人が木の実を食べたのを確認すると、猫耳をパタパタさせて尻尾を逆立たせていく。
猫神に能力解明の力はない…神なら誰でも出来るようだ。

「むむ…これは!み、皆様、すごいのですよ!?前途多難を乗り越えた、神霊にも近い能力ばかりなのですよぅ!」
「へぇ…誰が一番強いか知りたいね」
「私もよ。マスターに一番相応しい者を知りたいわ。皆はどう?」
「右に同じ」
「どうでもいいけど、廻守人には負けたくないわ」
「イイネ!イイネ!異性のいいやつは嫌いじゃないぜ?今度、相手してやるよ、3割くらいでな」
「嘗めてるわね、今やる?」
「ちょ、ちょっと、皆様!?今は能力の解明なのですよぅ………えっと、まずは穂乃香さんから」

ワクワクした目をキラキラさせながら、穂乃香が言葉をまつ。

「これは……神霊の少し弱い類いの能力ですね。霊格より高いので、精霊の力でしょう。名前は不明…まぁ、これは神霊系にはよくあるのです。神霊の繋ぎ主(ぬし)は《ゾディアック》ですね」
「…ゾディアック?食べ物?」
「黄道12星座のアステロイド・ベルトだな。つまりは、12の能力の選択って訳か……いや、13宮の蛇使い座もはいるのか」
「廻守人さん…博学ですね」
「当たり前だろ?俺だぜ?」

ケラケラと廻守人。
12+1の星座を宿す能力の穂乃香。
これで先程の硬度を奪う力に合点がいく。察するに“蛇使い座”だろう。

「続いて、劉音さん…は、お分かりですよね?」
「勿論よ。私のは“悪魔王の瞳”。地位に関係する能力よ?相手が格下なら、殺すも煮るも八つ裂きも何でも出来るわ」
「…能力が怖いわね」
「けど、格上には通じねぇんだろ?」
「その時は、周りを使うのよ?」

なるほど…と廻守人。
悪魔王の瞳…先程の悪魔との戦いで、猫娘は“悪魔神(サタン)”と言っていた。王と神…まぁ、神だろう。この世界では“神”すら、いるのだろうか。
空想論も考えた方が良さそうだ。

そして…泉理と廻守人…だが……。

「………“error”なの…です」

泉理は驚いていたが、廻守人はケラケラ笑う。
error…つまり、計測不可能。
神霊とされるのは明確だが、繋ぎ主が居ないわけだろうか?そんな思考のなか、廻守人は泉理を見た。

廻守人は知っていた。
だが、泉理までは詠めなかった。
廻守人の睨む先には、戸惑う泉理のみだった。


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