コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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  「 ——さあ、この手をとって。 」  
日時: 2016/03/26 22:05
名前: あめ。 ◆oc/0fKPs3I (ID: 2MYnw2hS)

君がいるから。
私はもう、ひとりじゃない。










( * 挨拶 ) 
 
初めまして、あめ。と申します!
このサイトに関してとても初心者なので、いろいろと教えて下さると嬉しいです。
コメント大歓迎です。ですが、荒らしなどはご遠慮ください。Notパクリです。
温かく見守って頂けると幸いです(´`*)



( * 目次 )


1章 : 出会いとはじまり。

>>1 >>2 >>5 >>6

2章 : 芽生えた絆、消えゆく記憶。




( * 人物紹介 )


◇ 三年生

宇多森 焔  (うたもり ほむら)
涼風 えま  (すずか えま)

◇ 二年生

巡瀬 桃李  (めぐりせ とうり)

◇ 一年生

天花寺 蒼波 (てんげじ あおば)  >>7
橘 志麻   (たちばな しま)


( * お客様 )


夏目 織さん
洸。さん


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Re:   「 ——さあ、この手をとって。 」   ( No.2 )
日時: 2016/02/19 20:52
名前: あめ。 ◆oc/0fKPs3I (ID: 3UdJFDb4)




宇多森先輩は、悪戯っ子のように白い歯を見せて笑い、取っ手を引っ張った。ドアが音を立てて開き、私はとん、と背中を押された。生徒指導室の中には、6つの机。3つが横並び、もう3つがそれと向かい合うようにして置かれていた。



 「え、っと……」



その中の一つに、とても可愛い女の子がいた。先輩だったら「可愛い」っていうのは失礼かもしれないけど、本当に彼女は可愛くて、絵から飛び出してきたようだった。私も、あのくらい可愛かったら人生イージーモードなのだろうか。いや、可愛いのは可愛いで大変なのかもしれない。でも贅沢な悩みだ。
何も言葉を発さない私に痺れを切らしたのか、それとも私の困惑を察したのか、非常に可愛い女の子は机に手のひらをついて、立ち上がった。彼女が動くたびに、左側で緩く編まれたみつあみのリボンが揺れる。



 「……あたしは、3年の涼風えま。焔に聞いてる?」
 「いえ。あ、天花寺蒼波です」
 「いきなり連れてこられてびっくりしただろ、ごめんな」



ネクタイをしてないから分からなかったけれど、やっぱり先輩だった。ごめんなさい。
先輩の謝罪に首を横に振ると、涼風先輩は申し訳なさそうに頬を人差し指でかき、ドアに寄りかかっている宇多森先輩をじろりと睨んだ。でも、宇多森先輩はどこ吹く風で呑気に口笛なんか吹いている。



 「おい、焔。お前、何も言ってねえの?」
 「うん。だって、えまちゃんが全部やってくれるだろうから」
 「ふざけんな馬鹿。天花寺さんさ、突然だけど……——」



涼風先輩が何かを言いかけた時、大きな声とともに2人の男女がこの教室になだれ込んできた。何やら大事だったらしい話を邪魔された涼風先輩は、その2人に不愉快そうな視線を投げた。可愛らしい猫目が、すっと細められる。



 「えまちゃん、連れてきたよ!」
 「桃李、先輩つけろって。一応ありがとう」
 「あ、後輩ちゃん? わ、可愛いねー!」



涼風先輩の礼をさらりとスルーして、桃李と呼ばれた女の人は、私の手を両手で包み込んだ。
至近距離で可愛いと言われ、恥ずかしくなった私は上ずった声で礼を言った。その後ろでは、ポカーンと大口を開けた男の子が、ドアの前で立ち尽くしていた。そこにいたはずの宇多森先輩は、机に座っている。瞬間移動か。いつの間に移動したんだろう。

そう思ってみていると、宇多森先輩は不敵な笑みを浮かべた。




 「全員、集まったな?」






Re:   「 ——さあ、この手をとって。 」   ( No.3 )
日時: 2016/02/20 09:27
名前: 夏目 織 ◆wXeoWvpbbM (ID: QnSr3K5Z)
参照: ちほりん→とらじ、澪羽、*織*→夏目 織、リザ、桜里

初めまして、夏目と言うものですっ

題名にひかれて読ませてもらいました(*´ `*)
文章の書き方が凄く綺麗で、情景が想像しやすい?のでとても読みやすかったです……!
続きが今から楽しみです。

宇多森先輩が言う全員とはなんなのかなー……と凄く気になります。

更新、頑張ってください!
またコメントしに来ようかと思います(*´∀`)

Re:   「 ——さあ、この手をとって。 」   ( No.4 )
日時: 2016/02/20 20:40
名前: あめ。 ◆oc/0fKPs3I (ID: 3UdJFDb4)




夏目 織さん


初めまして!初コメありがとうございます(*´ω`)
そして嬉しすぎる褒め言葉の連続…。私を褒め殺す気でしょうか…。
続きを楽しみにしてくださり、とても光栄です。これからも誠心誠意、頑張っていきますね。
全員は、そうですね、もうすぐ分かります。

またお待ちしております**

Re:   「 ——さあ、この手をとって。 」   ( No.5 )
日時: 2016/02/21 09:50
名前: あめ。 ◆oc/0fKPs3I (ID: 3UdJFDb4)





 「ぜんいん……?」


私は言葉を反復するようにつぶやいた。椅子に座るよう言われた私たちは、素直に席に座っている。1番窓側の席に宇多森先輩と涼風先輩、真ん中には私と桃李さん、そして1番廊下側に名前の知らない男の子。
名札を見ると、『橘』とあった。ネクタイは青、1年生だ。隣にいる宇多森先輩と男の子、ではなく橘くんを交互に見やると、宇多森先輩は私の視線に気づき、ぱちりとウインクをした。似合っているのが腹立たしい。


 「いきなりだけど、お前ら——……」


宇多森先輩の言葉を遮るように、そこで5時間目開始を知らせるチャイムが鳴り響いた。慌てて席を立とうとする私と橘くんを桃李さんが「大丈夫大丈夫」と根拠のない言葉で諫め、半ば無理やり席に座らされた。
どうしよう、授業さぼるとかやばい気がする。右をちらりと見やると、橘くんも焦った様子で眉を下げ、しきりに時計を気にしていた。でも、宇多森先輩に視線を戻すと彼は全くもって気にしていないらしい。
そして、意を決したように口を開いた。




 「“能力”、もってるよな?」



宇多森先輩の言葉に、どきん、と心臓が飛び跳ねた。
なぜ、この人は知っているんだろう。まさか、この人も持っている? 疑問が渦巻く心の中を見透かしたように、誰かが笑った。



“能力”



それは、俗にいう特殊能力というもの。
——私には“浮遊”という能力があるが、ずっとずっとひた隠しにしてきた。
その話題をなぜ、宇多森先輩が口にしたのか。それはきっと宇多森先輩がその存在を知っていて、能力を持っているからかもしれない。口を噤んだまま考えていると、涼風先輩がぱん、と手を叩いた。


 「あたしは3年、涼風えま。能力は読心(どくしん)」


“読心”、ということは、他人の考えていることが分かるということ。この人には隠し事はできず、すべてお見通しなのかと思うと、ちょっとだけ恐ろしくなった。
次は宇多森先輩が口を開く——と思ったとき、桃李さんが大きな音をさせて立ち上がった。


 「私、2年の巡瀬桃李! 能力は、えっと……」


意気込んで立ち上がったものの、能力の話になった途端、急に口ごもった。不思議に思いながら見ていると、今度は宇多森先輩が立ち上がる。


 「桃李の能力は怪力。あ、俺は3年の宇多森焔、宜しくねー」


ひらひらと手を振る宇多森先輩に、桃李さんは「言わないでよ!」と非難めいた口調で言う。……あれ、宇多森先輩の能力は言わないのだろうか。そう思ったとき、宇多森先輩が机にあった消しゴムに触れた。


————え。


先輩が触れた瞬間、消しゴムが消えた。跡形もなく音もなく、どこかに落としたとかではないことは一目瞭然だ。ひゅっと息を飲む音が、自分でも聞こえた。





 「能力は、抹消」





Re:   「 ——さあ、この手をとって。 」   ( No.6 )
日時: 2016/02/28 20:08
名前: あめ。 ◆oc/0fKPs3I (ID: 3UdJFDb4)
参照: 参照100感謝です(´ω`**)





ほんとに怖い力だよねぇ、と桃李先輩は呑気に笑う。宇多森先輩にも桃李先輩にも、底知れない恐怖を感じた。何も言えずに黙っていると、涼風先輩が私にも自己紹介をするよう視線で促してきた。



 「天花寺蒼波……1年です。能力は浮遊」



私の力はその名の通り、物や人を浮かせられる力。あんまりメリットはないけど、ふわふわと浮いているのは楽しい。あと、動くのが面倒くさいとき、遠くのゴミ箱に物を入れられるのは便利である。私が席に座ると、次は隣に座っていた橘くんが席を立った。



 「1年、橘志麻! 能力は幻覚!」



どうやら、私たちが全員能力持ちだと分かって警戒心が解けたらしい。さっきまでの大人しそうな表情とは打って変わって、眩しいくらいの笑顔を浮かべて私たちに自己紹介をした。めちゃめちゃ顔面偏差値高いなぁ。そんなことを思っていると、宇多森先輩がゴホンと咳払いをし、机に両手を叩きつけて立ち上がった。



 「超能力部、結成だな」



超能力部、とは。首を傾げる私と橘くんを見かねたのか、桃李さんは柔らかなな笑みを浮かべて、「要するに能力を持った人の集まりだよ」ととても分かりやすい説明をしてくれた。単なる集まりじゃないか。どこが部活だ。というか、超能力部なんていう怪しい部活を学校側が認めるなんてありえない。私は、口を開く。



 「表向きは?」 
 「オカルト研究部」
 「ですよねー……」



涼風先輩の答えに思わず苦笑する。うん、そうだと思った。そもそも、オカルト研究部を認めてくれたのもすごい。そして、私はそんな名前の怪しげな部に入らなくてはいけないのか。橘くんを見ると、同じようなことを考えていたらしい、すごく口角が引きつっていた。



 「てことでよろしくな、もう教室戻っていいぞ」



いやいや宇多森先輩、そんなこと言われても、もう授業の半分ほど過ぎちゃってるんですけど。










こうして私は、“超能力部”の部員となった。




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