コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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その涙が枯れるまで
日時: 2016/02/27 22:44
名前: さくら (ID: /uGlMfie)

たった二文字でこの関係が壊れてしまうのなら、私は自分に嘘をつく。

貴方に出会えたことは運命だなんて、そんなことは別に思ってないよ。


ただ、 貴方のそばにいたくて できれば 貴方を支えたくて



寂しくはないけど、 胸が痛い


貴方は今、 どこにいますか?


貴方は今、誰を想って生きていますか?


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人物紹介 (随時更新) >>05

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Re: その涙が枯れるまで ( No.1 )
日時: 2016/02/21 14:03
名前: さくら (ID: as61U3WB)




黒板にある程度の硬さがあるものが当たる軽い音がする。


私は机の上に肘をついて、ノートに書かれた小さい文字をぼーっと見つめていた。

「はい、じゃあここを… 相沢」

今日の夜、テレビなにやるっけ。

「相沢?」


先生なにを大きな声出してるんだろう。
ぼやける視界の中、私はゆっくり顔を上げる。
目の前に誰か立っている。

「あ、相沢です!」
私は慌てて立ち上がる。

教室に笑いが起こる。
先生はふっとため息をついて、私に座るよう促した。

(当てられてるの気づいてなかった…)


頭をかきながら椅子に腰掛けると髪をいきなり引っ張られた。

「いっ…!」
これ以上大きな声を出して先生に目をつけられないよう、私は下唇を噛んで我慢する。


「なに?」
私は頭を押さえながら振り向く。
「お前絶対先生に目ぇつけられたぞ」
二カッと笑いながら、言う。
後ろの席の、柴崎 悠真。

「すげー顔して寝てたぞお前」
「…寝てません。てか知ってたなら起こしてよ。」
「やだし、お前怒られんの面白いし。」


「相沢!柴崎!いい加減にせんと教室から追い出すぞ!」
先生が眉間にしわを寄せていった。

「すいませーん」
柴崎はヘラッと笑って謝った。
私は柴崎をきっと睨んで前を向いた。


視線を感じて目だけで視線の元を向いた。
女子からの目。

私は気にせずに前を向いた。

Re: その涙が枯れるまで ( No.2 )
日時: 2016/02/21 17:28
名前: さくら (ID: as61U3WB)



「ほーしみっ」
チャイムが鳴って、机の中に勉強道具をしまっていると前田このみが抱きついてきた。

「お昼どこで食べる?はやく購買いかないと売り切れる!伝説のプリン大福!今日こそは買う!!」
頬に手を当てて幸せそうに話すこのみ。


見ているこっちまでくちがほころんでくる。

「そうだね、行こっか!」
私たちは購買へと走る。
すれ違った他のクラスの子に、このみは目を輝かせて聞く。

「プリン大福まだあるよね?!」
このみに話しかけられた子は、立ち止まって不思議そうな顔で言った。

「プリン大福なら、さっき争奪戦しててもう売り切れてたと思うよ」
「えぇーっ!」
このみはその場で座り崩れる。

「ほしみぃ〜…」
このみは涙目で私を見る。
わたしがこのみを立ち上がらせようとしていたら、スパンッ!と頭を叩かれた。

「よぉ!相沢」
プリントを筒状にして手に持っている柴崎。
私が仕返しにと、足を踏むと「いってぇ!」と言って、柴崎はその場でじたばたした。

「せっかく相沢にこれやろうと思ってたのによぉ〜」
踏まれた方の足をかばいながら、柴崎は言った。

手を突き出されたので、わたしも反射的に両手を出す。

「プリン大福」
「ふぇっ?!」
今まで床でいじけていたこのみが勢いよく立ち上がる。このみは真下にいたので私は顎を強打する。

ざまぁみろとでもいうように柴崎は笑って、「じゃあな!」と走って行った。

「あ、ありがと!」
私が後ろ姿に叫ぶと、柴崎は振り返らずに片手を上げて去って行った。

「プリン大福!良かったね」
私はこのみに袋を渡す。

「え!いいの?」
このみはきらきらと目を輝かせる。
「私は今甘いものの気分じゃないから」
「本当に?やったぁ!プリン大福ちゃん会いたかったよぉ〜」
このみはスリスリと、包装を頬にこする。


私は顎をさすりながら笑った。

Re: その涙が枯れるまで ( No.3 )
日時: 2016/02/22 17:36
名前: さくら (ID: as61U3WB)


すべての授業が終わり、放課後になる。
ほとんどの生徒は帰宅部か、本当の部活どちらかに別れる。

「んじゃあ、先、部活行ってるよぉ」
このみがひらひらと手を振って教室を出て行く。

私は「行けたら行くね」と小さく言った。


時間が経つにつれ、教室の人口密度が低くなっていく。

このみが教室を出て行ってから約30分が経った。

そろそろ行くか。
____どこへ?
約束の時間に、約束の場所へ。

私は椅子から腰を浮かした。
ガラガラと椅子を引いて立ち上がると、机に突っ伏して寝ている柴崎が視界に入った。

「まだいたの…」
静かだったから自分以外に人がいることを知らなかった。

「柴崎ぃー?起きなよー、部活はー?」耳元で大きな声を出してみる。

それでも、柴崎は起きない。

私は机にカバンを置いてそーっと柴崎の背後に回った。

ガタッ!

私が思いっきり椅子を引いた勢いで、柴崎は床に転げ落ちた。


「うわっ!!!」
甲高い声が静かな教室に響いた。

「何すんだよー てかお前まだいたのかよ」
片方の眉を吊り上げ柴崎が言う。

「誰かさんがすごい顔で爆睡してたから起こしてやったんだよー もう行きますー」
「どこに?」
何気なしに問いかけられた言葉に私は言葉を詰まらす。

黙っていると、柴崎がまるで推理をする探偵のように言った。

「告られに行くのか〜」
「…んまぁ。」
「世の中には物好きもいるんだなぁ」
「そろそろうるさいよ?もう、時間だから行くね」

私は鞄を引っ掛けて教室のドアを開けた。

何気なくもう一度振り返る。
『 ば い ば い 』

口パクで言われた。

私は廊下を走り出した。

不意に階段の大鏡に映った自分の顔がほころんでいることに気がついた。

(何笑ってんの、私)


頭をふるふるとふり、私はもう一度走り出した。

Re: その涙が枯れるまで ( No.4 )
日時: 2016/02/22 21:38
名前: さくら (ID: as61U3WB)




中庭のベンチに1人腰掛け、足をブラブラさせる。

ぼーっとしながら待っていると、軽やかな足音が聞こえた。


「相沢先輩!」
声のする方を振り向く。

「中島くん…」
「あの、遅くなってすいません」
「全然待ってないよ!私も今きたところだから…」
私が言うと、中島くんは照れ臭そうに頭をかいた。

中島くんは野球部で、私より一年年下の高校一年生。
印象的なことといえば、部員にいつも可愛がられている、いわば弟的存在。

「あの、話は…」
愛想笑いを作って問いかける。

「あ、えっと、あの」

数秒の沈黙が走る。


「柴崎先輩と付き合ってるんですか?」






はい?


「えっ、ちょっと待って、それはどっからでた」
「いつも仲よさげですよね。」
中島くんが言う。

柴崎も、中島くんと同じ野球部で、中島くんとはわりかし仲がいい。といっても、柴崎は誰にでもなりふり構わず友好的な人柄だけれど。

「そういう事実は一切ないから!」
〝一切〟 に力を込めていう。


「本当ですか…?」
首をかしげる中島くん。


ぶんぶん、と首を縦にふると、くすくすと可笑しそうに笑った。

「それじゃあ僕も正々堂々といけます。」




「相沢先輩、好きです。」


ピューッ と、風が吹く。


「あの、中島くん…」


「あいざわぁ〜」
私の言葉を遮って、別の誰のかの声が聞こえた。

「柴崎…先輩」
中島くんが声を漏らす。


「なーにうちの後輩いじめてんだよー」
「はぁ?いじめてないし!ね!」
「は、はぁ」
中島くんが圧倒されたように頷く。


「ほら見ろ!」
「え〜 ていうかおまえんちの残飯処理班が部員のお菓子かき集めてんだけど」

このみが倉庫でお菓子を食べている姿と、ドン引きしている野球部員が想像できる。
現実味がありすぎて怖い。


「分かった、すぐ行くから」
「あ、中島も早く始めんぞぉー」
「はい!」

柴崎が軽くあくびをする。
つられて私もあくびをしてしまった。

プッと同時に吹き出す。


私は、ここに来た目的すら忘れていた。

Re: その涙が枯れるまで ( No.5 )
日時: 2016/02/27 22:40
名前: さくら (ID: /uGlMfie)



人物紹介 (現段階)

相沢 星見 __ あいざわ ほしみ
高校二年生。 野球部マネ(一時的) 。
面倒見がいい。

柴崎 悠真 __ しばさき ゆうま
高校二年生。 野球部。
交友関係が広く、誰にでも友好的。


前田このみ __ まえだ このみ
高校二年生。 野球部マネ(公式)。しっかりしていないので、非公認の星見にマネを補助してもらっている。

中島 葵仁 __ なかじま あおと
高校一年生。 野球部。 あどけない感じが部内では弟的存在の原因。



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