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- 人ならざるもの
- 日時: 2016/02/23 11:58
- 名前: 琉夏 (ID: 9UBkiEuR)
私は自分が嫌いだった。誰にも必要とされずただ朽ちていく。
早く消えてしまえば良いのに。どうして生き永らえてしまうのだろう。
人間がずっと羨ましかった。短い人生なら。誰かに必要とされるなら。
どんなに良かっただろう。どんなに幸せだろう。親とはどんなものだろうか。
愛されるとは、愛するとは、どういうことだろう。知れることができたなら。
こんな悩みも意味は無いのだが。
私は森の中にひっそりと住む、妖というものらしい。どうやって生まれ、成長したかは分からない。
記憶も無く、ずっとここにいた。人間にも動物にも見られず、触れず、声も届かない。
ずっと一人だった。誰も森に入って来なかった。
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- Re: 人ならざるもの ( No.1 )
- 日時: 2016/02/24 20:13
- 名前: 琉夏 (ID: 9UBkiEuR)
ある日、一人の男が入ってきた。珍しいと思い、後を追った。
どうせ誰にもばれやしない。堂々と後ろにいた。すると男が振り向いた。
忘れ物か何かしたのだろうか。
「何の御用ですか。」
誰か私の後ろにいるのか、と振り向いてみたが誰もいない。この男は誰に話しかけているのだろうか。
「君だよ。髪の長い君。」
私を見えるわけがない。どうして良いのか分からず戸惑うことしか出来なかった。
「話せないの?」
答えるべきか迷った。
「・・・なぜ、見える?」
男はびっくりしたような顔をしてから、笑顔で話しかけてきた。
「きれいな声だ。君は人間ではないんだね。僕はそういう類いの物が見えるんだ。」
「私以外にもいるのか。」
「いるよ。君のような一人でいる子は初めてだけどね。名前、聞いても良いかい?」
「・・・ない。私には。ずっと一人だったから。」
初めて声を出したからか、はたまた人と会話出来たからか、何故だか涙が溢れて止まらなかった。
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