コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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。°+  雨空から、恋のナミダ  +°。
日時: 2016/02/27 18:18
名前: Kurumi@ (ID: 0a987INq)





    このセカイから、私を救ってくれたキミ。
    傷つき壊れそうなこのココロに、優しく触れてくれた。


    ——……今度は私が、キミを助けたい。




    *、 ごあいさつ


    初めましてorこんにちはっ(´`*)
    タイトルを改めて投稿します、Kurumi@と申します。
    切ない系になる予感しかないので、すみません(


    ゆっくり更新になりますが、よろしくお願いしますっ!
    荒らし、ナリお断り、コメント大歓迎です*


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Re: 。°+  雨空から、恋のナミダ  +°。 ( No.1 )
日時: 2016/02/27 19:17
名前: Kurumi@ (ID: 0a987INq)




   * 第一章:かけられた魔法【〜主人公SIDE〜】



   朝陽がココ、「1−A」の教室を柔らかく、暖かく包み込む。
   そんな最高の天気の中、私は一人読書をしていた。


   私の小さな目標は、図書室にある本を全て読み尽くすコト。
   今は泣けると話題の恋愛小説を、ちょうど読み始めたところ。


   私の名前は、城咲 柚葉(しろさき・ゆずは)。
   今、高校一年生で、まあ特になんの変哲もない平凡な女子。
   他のクラスメイトよりも、少し早く来て読書中です。



   「おー、城咲、今日も早いんだな」

   「あっ、先生、おはようございます」



   先生が来れば、私の至福の読書タイムは終了となる。
   他の人が来たりなんかしたら、本の世界に入れなくなるもん。


   可愛らしい桜柄のブックカバーを掛け、本を机にしまう。
   そしてふと床に視線を落とすと、一枚の紙が目に入ってきた。



   「先生、なにか書類が落ちてますけど……」

   「ん?おお、それか!いやあ、どうも無いなと思ったんだよ」



   ありがとう、と私の手から書類を受け取ると、椅子に腰かけた。
   確か書類には、誰かの名前が書いてあったような気がする。


   聞こうとしたそのとき、朝練の終わった人たちが入ってきた。
   私も諦めて、お気に入りの窓際の席へと向かった。



   +++



   朝のホームルームが始まると、みんながざわつきはじめた。
   ちなみに私は友達づくりが苦手で、もう本が友達みたいなもの。
   聞こえてきた話によると、転校生が来るみたいだ。


   それならどうでもいいや、とこっそり机から本を取り出した。
   ちょうど運命的な出会いのシーンで、私の意識も宙に浮く。
   ロマンチックな本の世界に入るそのとき、扉が開いた。







   「—————……千崎 玲(せんざき・れい)です、宜しく」







   多分先生がなにか話してたんだと思うけど、私には聞こえない。
   今まで経験したことのない「なにか」に、強く揺さぶられた。


   見た目も声も、この小説に書かれている文字全てに当てはまる。
   違っているのは名前だけと言っても良いくらい、そっくり。


   窓から入ってくる春風に、ページがパラパラとめくられる。
   急いで目線で文字を追うと、まるでこの世界にいるかのよう。
   こんな経験ができるだなんて、ちょっと転校生さんに感謝。



   「ということで、城咲、お前がいろいろ教えてやれ!」

   「はい分かりまし……——って、えええええ!?」



   教室に響きわたるのは、女子の残念そうな声。
   向こう側にいる「王子様」が少し、微笑んだような気がした。

Re: 。°+  雨空から、恋のナミダ  +°。 ( No.2 )
日時: 2016/02/27 21:18
名前: Kurumi@ (ID: 0a987INq)




   * 第一章:かけられた魔法【〜柚葉SIDE〜】




   ホームルームが終わると、千崎くんは私の隣の席についた。
   いつもは一人で快適だったのになあ。
   なるべく目が合わないように、すぐに黒板を見る。


  
   「宜しく、城咲さん」

   「……あっ、は、い」



   ぎこちなく返事をして俯き、顔を窓の向こうへと逸らす。
   すると千崎くんが驚いたような声を出し、私の肩に手を乗せた。


   私が彼の方を見ると、千崎くんの細く長い指が窓を指した。
   外を見ると、満開の桜が窓にかかっていた。


   いつも本ばかり見ていたから、あまり気がつかなかった。
   不意に目が合って、軽く微笑まれた。


 
 
   綺麗な絹のような、黒髪がかかる白い輪郭。
   少し骨が浮き出ていて、いかにも男子って感じがする。
   瞳は切れ長で、鼻はとても高くて唇は薄い。


   いわゆる「イケメン」で、私とは正反対の存在だろう。
   そんな人とこれから隣の席で——なんて考えるだけで倒れそう。



   +++



   お昼の時間になり、みんなお弁当を持って教室を出ていく。
   私もいつも通りこの席で食べようと思ったとき、声が聞こえた。


   振り向くと千崎くんと数人のクラスメイトが、こちらに来た。
   明るく笑う彼と、どこか気まずそうにする数人。



   「城咲さんも一緒に食べない?俺らと」

   「……えっ———!?」



   古びた屋上のドアを開けると、爽やかな風が吹く。
   私は千崎くんのすぐ隣に座り込んで、お弁当を開いた。


   目の前に座っているのは、確か私のすぐ近くの席の女子男子。
   私がずっと黙っていると突然、声が降りかかってきた。



   「あのっ、私、月影 蒼奈(つきかげ・あおな)!」

   「……あ、俺は鳳 彼汰(おおとり・かなた)、っす」



   名前は知ってたけど、話したことは多分ないと思う。
   変な挨拶を交わしあう私たちを、楽しそうに千崎くんは見てた。


   こんな楽しいお昼ごはんは、久しぶりだ。
   いつもは本を読みながらだったから、外に出たことはない。


   朝の桜といい、この状況といい、私はどこを見てたんだろう。
   ページをめくる指先と、書いてある文字だけだろうか。








   「__________……楽しい、ね」

   「千崎、くん?どうかしたの?」





   なんでもない、大丈夫、と首を振る千崎くん。
   蒼奈ちゃんと彼汰くんは、気づいてないみたいだったけれど。
   一瞬だけ、彼の顔が歪んだ気がした。


   さっきまであんなに暗かった私のココロが、晴れていく。
   そんな不思議な魔法にかかったような気分だ。


   やっぱり千崎くんは、王子様のポジションじゃない。
   色んな魔法を使って人を救ったり、笑顔を生み出す魔法使いだ。



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