コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 二次元の女王になりました。
- 日時: 2016/03/24 11:57
- 名前: スーフィリタ (ID: oePzZKBu)
〜プロローグ〜
美しい妖精の湖畔。禍々しい龍族が棲む魔界。天と地を創造した神の領域。それら以上の世界が存在する、なんでもアリな世界。それが
『二次元』
ある日あるオタクな少女が、二次元の祭典『2dimensional festival』に参加した。
「ウェーイ!来たぜディメフェス!」
なんとも女の子とは言い難いこの娘の名は、イナピス・シャード・雪村。日本人の父とフランス人の母をもつハーフ。美しすぎる見た目は、通りすがった人々の目を惹くものだった。なぜなら、彼女は綺麗な紫色の地毛を持ち、右目が金色で左目が赤色のオッドアイだからだ。原因不明な病気で、世界に3人しか患っていない稀の中の稀な存在だ。命に関わるモノではないらしい。
「確か今回は、今年導入予定の二次元の世界に入って過ごす事が出来るゲームのベータ版があったはず。」
イナピスは会場マップを確認し、最初にそこへ突撃すると決めた。
その決断が未来を180度変えるとも知らずに。
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- 二次元の女王になりました。 l ( No.1 )
- 日時: 2016/03/26 17:47
- 名前: スーフィリタ (ID: oePzZKBu)
イナピスは開場した瞬間、一目散にβテストスペースへと向かった。
「あちゃぁ。もう行列が......。」
列の最後尾に、担当者だろうか。『最後尾 54人待ち』と書かれたボードを掲げている。
イナピス。彼女は一般人より高いIQを持っているため、おそらく120分待ちだろうと瞬時に考えた。
イナピスは、待ち時間中に何をしようかと模索しながら列に並んだ。
「そうだ、マップを暗記しよう。」
普通に考えればスマホをいじったり、携帯ゲームなどで時間を潰す筈だが、変わった彼女の思考は変わった暇の潰し方をした。
「ええっと?まずは拠点だな。お手洗いの近くが良いか。広い休憩スペースがいいな-----」
イナピスは一度にたくさんの事を暗記し、それが終わるとあれこれ計画を立て始めた。
そしてちょうど120分後、イナピスの順番が回って来た。
「ウィッシャァ!!今日はこの為に来たと言っても過言ではない。このオタクのロマンあfーーー」
求めていたゲームは、黒い大きなボックスだった。プリクラの様な形をしており、入り口のめくる布に『3D 2dimensionaly』と書かれている。
「あ、あのぉ。お客様?」
ハッと我に返ったイナピスは満面の笑みで、機械へ入って行った。
すると、0や1、沢山のデータを表していそうな暗号が現れ、イナピスを包み込んだ。イナピスの視界は眩み始め、暗号達がシュワァ〜〜と音を立てながらどこかへ移送した。
「ん.........。ここは?」
怖くなって目を閉じていたイナピスは、どこかに立っている事に気づく。
辺りを見渡すと、一面に広がる白い空間にデジタルなウィンドウが1つ開いていた。
イナピスは、おそるおそるウィンドウに近づいた。
「なになに?」
ウィンドウには青い文字で、こう書かれていた。
『ようこそ、二次元へ。これからあなたのデータを構成します。』
それを見た瞬間、イナピスは天に昇る気分になった。
その直後、ウィンドウに設定画面が出てきた。
『名前 _______
性別 男・女
(種族 人間・妖精・魔族・妖・地族)
次へ』
「名前はイナピス。女。種族は魔ぞk...ってあれ?選べない?!なんで?バグかなぁ。」
イナピスは、担当者にたずねようと思ったが出口もなにも、この空間にはウィンドウしかなかった為、諦めて進む事にした。
「ふふん♪このパターンだと、確実にアバター設定ね。」
予想した通り、アバター設定画面に切り替わった。
イナピスは、自分の容姿を非常に気に入っているので、変更を一切行わなかった。
確認ボタンを押ししばらく待つと、女性のふんわりとしたアナウンスがかかった。
『ようこそ、二次元へ。これからあなたが生きる世界は様々な事があるでしょう。どんな困難にも己の力を最大限に使って生き延びて下さい。健闘を祈ります。』
「ありきたりな台詞文句ね。生きるってw制限時間を過ぎたら自動的にデータカードと共に戻されるってw」
なんてつぶやきながらアナウンスを聞いていたイナピスを、さっきと同じく暗号達が取り囲み、最後のアナウンスが流れる。
『はじまりの泉に転送します。』
(あぁ、やっと二次元の世界へ行けるんだ!!)
イナピスは期待と希望を胸に、光に包まれた。
ーーースワーンーーー
電子音と共に着いた先は泉ではなく、豪華絢爛な王の間だった。
- 二次元の女王になりました。 Ⅱ ( No.2 )
- 日時: 2016/05/14 15:05
- 名前: スーフィリタ (ID: hDVRZYXV)
「ス様……ピス、イナピス様!」
誰かがイナピスを呼んだ。なんでか様ついてるが。イナピスは「うーん………」なんて言いながら上半身を起こした。
「うー……うう?!な、なんだ?腰の下がフワフワしてる。クッション?」
見下ろすと、自分が座っているのが薄紫のロココ調ベッドだということに気がついた。そして、目の前にずっとついて居たのか、疲れた顔で着崩したストライプのベストとパンツを着た少年が居た。
「イナピス様!しっかりしてください!」
その少年はとても美しく、見事なブロンドの長めの右流しの前髪、ターコイズブルーのアイを持っていた。
肩をガシッと掴んで、ガクガク揺らしてくる。イナピス、脳内混乱w
「こらこら、そんな激しく揺さぶるとイナピスお嬢様も驚きますよ」
そんなおっとり、丁寧な口調の少年が紅茶をカチャリと静かにテーブルに置いた。香りから察するに、カモミールのハーブティーだろう。
驚くことに、先ほどのガクガク少年とよく似た容姿だった。違う所と言えば、着崩さずにカチッとしたベストとパンツを着、左流れの前髪といった感じだった。ほぼ同じ人間が居て、イナピスは驚きのあまり目線を2人の間で往復させた。
「あぁ、お嬢様。申し訳ございません。僕たちは双子なんです。」
イナピスは、あ、はぁ……なんて小さく声を漏らした。
「兄さん、それより状況を説明されてあげたほうがいいんじゃない?」
右わけの少年が言った。ぼ、僕としたことが………なんて左わけの少年がボヤきながらフリーズした。
「はぁ、兄さんったら。代わりに俺が説明しますね。ここは王界のⅣの城。3D 2dimensionalyのワールドの中心地。本当は、マップ右下のはじまりの泉に飛ぶはずなのですが、イナピス様は特殊でここ・王の間に飛ばされました。」
特殊………なんて、イナピスは色々考えながら復唱した。
「まあ、細かいことはこの城の案内をしている時にでもすればいいので、気にせず。とりあえず、俺たち、自己紹介させてください。」
ください。を聞いたとたん、兄の左流れが口を開いた。
「僕は長男の左久です。」
お、王子キャラ……… イナピスは鼻血を抑えながら呟いた。
「俺は次男の右久です!」
右久は元気がいいな。イナピスは直感でそう思った。
「あ、大事なことを言ってなかった………」
「「イナピス様。あなたは今から王女さまです。」」
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