コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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志願者とレモンスカッシュ
日時: 2016/04/16 20:52
名前: 日瑠音 ◆Dq9HMgSTac (ID: ZUkStBmr)


○ご挨拶
初めまして、こんにちは!日瑠音と申します。
これは青春が書きたいなーウフフという謎テンションで考えた話です。
シリアス・ダーク板で魔法モノも書いてますので、そちらもぜひ。
自分でも読み返すと自分を殴りたくなるぐらいの文才の無さですが…。

悪コメ、荒らし等の不快になるコメントはやめてください。


○登場人物紹介
香城 明日(こうじょう あす)
中学二年生の内気な少女。

白神 檸檬(しらかみ れもん)
明日のクラスメートで、素行の悪い問題児。


多分これから増える…かもしれないです。
どうでもいいですが、白神の紹介文を考えるにあたって辞書で『ヤンキー』という言葉を調べました。
ぜひ皆さんも暇な時間がありましたら調べてみてください(笑)。

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Re: 志願者とレモンスカッシュ ( No.1 )
日時: 2016/04/23 13:07
名前: 日瑠音 ◆Dq9HMgSTac (ID: YL3B5zm.)

もしも世界に神様がいるのなら


私を助けて。




   −  −  −

放課後、教室。
私は一人、掃除当番をしていた。


「よし、終了かな」
最後に机の位置を整頓する。


一通り終えた所で、気付く。
なぜ私はこんな事で、達成感を覚えているのだろう。
毎日のように押しつけられている仕事を、馬鹿真面目にこなす。
毎日のように断れない自分に、情けなさと悔しさだけがたまっていく。


「本当に私って、馬鹿だよ…」
自分が悲しくなって、早く家に帰ろうと鞄を乱暴に取る。
早歩きで廊下を歩いた矢先、なんとなく階段が目に入った。


—そういえば、屋上って行った事がなかったっけ。
屋上は立ち入り禁止だが、授業をサボる生徒のたまり場になってるらしい。
この時間だし、もう誰もいないだろう。


階段を上り、ドアノブに手をかける。
一瞬ためらった後、思いっきりドアを開けた。
途端。


風が勢いよく、全身を抜けた。
驚いて瞑った目を、ゆっくりと開けてみる。


すると、目の前に人が立っていた。
後ろ姿からでも分かる、美しいシルエットの少年。
私の脳内は状況がつかめず、ただ立ち尽くしていた。


少年はそんな私に気付いたのか、驚いた様子で振り返る。
「…誰?」
風で、少年の薄い栗毛が揺れている。
「私は、香城明日(こうじょう あす)…。二年生」


「そうか」
少年はそう言うと、また後ろを向いてしまった。


なんだか、胸がうるさい。
「あなたは誰?」
聞いてみる。


「…ツシャ」
後ろを向いたまま答えた。
「何をしていたの?」


するとツシャは、軽々とフェンスを越え、小さなスペースに立った。
まるで、重力など感じていないように。


「ここから、飛び降りるんだ」
次の瞬間、彼の身体は宙を舞っていた。


「嘘…!?」
ツシャは飛び降りたのだ。
フェンスの手前からでも下を見ようと走る。


すると。
「いない…?」



「あれ…」
いつの間にか、涙がこぼれていた。

Re: 志願者とレモンスカッシュ ( No.2 )
日時: 2016/04/23 18:51
名前: 日瑠音 ◆Dq9HMgSTac (ID: YL3B5zm.)

昨日の事が、頭から離れない。
ツシャは、どこに行ってしまったんだろう…?
もしかして、ただの夢?


でも、夢にしてはリアルすぎる。


廊下を歩きながら考えていると、誰かにぶつかってしまった。
「あ、すいませ…」
顔を上げると、私は…目の前が真っ青になった。


「し、白神くん…」
白神 檸檬くん。
いじめっこグループの、リーダー。


「あれー、香城じゃん!何俺にぶつかってきてんの?いってーんだけど」
そしてワラワラと、とりまきの男女達がせまってくる。
「昼、ちょっと屋上でお話しようぜ?香城」
もちろん私は、反論なんてできないのだ。


—ああ、ついに殴られたりするのかな…。
今までは、掃除当番を押しつけられたり、からかいなんかをされた。
昔から気が弱くて、こんな事はもう慣れてしまっている。


「いやだ…」
そうだ。
私は、こんな弱々しい、小さな声でしか言えない。
ずっと、このままなのかな。


いじめられるだけの、私の人生。
「死んだ方が、いいのかな…」
このままエスカレートするくらいなら。



   −   −   −

昼。
なにもかもが億劫になりながら、階段をゆっくりと上っていく。
そういえば、ツシャは大丈夫なのかな。
きっと夢だけど、夢ならツシャがどうしたのか、教えてほしいかも。


そんな事を考えながら、屋上のドアを開けた。
「お、香城。遅刻だぜー?」
屋上にはもう、白神くんたちは来ていたらしい。
「す、すいません」


「ぶつかった事といい、手前には罰が必要だと思うんだよなー」
罰…?
「だから、今からー」


私が後ずさりすると、白神くんはとりまきたちに目配せした。
—な、何なの?
「オイ、コイツ押さえろ」


とりまきたちが、私を動けないように押さえてきた。
「っ!?やっ…」
とっさに振り払おうにも、力の差がありすぎる。
「手前のカラダ、動画撮ってネットにでもあげようと思ってさ」


そうして白神くんが、制服のボタンに手を伸ばしてくる。
「い、やだっ…」
気持ち悪い、嫌だ、逃げたい!!!!!


その時、フェンスが目に入った。
私じゃ、そこに行けない…。
「もう…死にたい…」
涙が出て、絞り出したような枯れた声。


刹那、疾風。
「うわっ!?」
その風はあまりにも強く、その場にいた全員が倒れてしまった。


「明日。大丈夫?」
「え…?」
名前を呼ばれて、驚いた。


「嘘…ツシャ!?なんで…」
私の前に、手を伸ばしたツシャが立っていた。
その顔は無表情なのに、なんだか優しくて。
私はツシャの手を借りて、立ち上がる。


「明日が、死にたいって言うから」
「え…」


その時。
「いて…なんだ今の風…」
「し、白神くん」


白神くんが、ツシャに目をやる。
「お前、どっかで…?」


「檸檬。久しぶり、かな」


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