コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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顔が男でも恋がしたい!
日時: 2016/04/27 21:19
名前: 凜太郎 (ID: LN5K1jog)

初めましてか何度目まして、凜太郎と言います
今日からは、僕の実体験に妄想をプラスした恋愛ものに挑戦したいと思っています
よく男に間違われる女の子が同じ部活の男子に恋をする話です
今まで恋愛を書くと主人公が死んじゃう話になることが多かったのですが・・・・・・今回はそうならないといいな・・・・・・←
応援してください!(ヤケクソ)
それでは、よろしくお願いします

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Re: 顔が男でも恋がしたい! ( No.1 )
日時: 2016/04/27 22:21
名前: 凜太郎 (ID: LN5K1jog)

 備え付けのソファに座り、隣にある棚に入っていた漫画を読む。
 内容はまぁ、子供でも手に取れる所に置いていていいのかと思うほどにはHな内容だ。
 しかし、自他共に認める変態である私は、表情一つ変えずにそれを読む。

「お兄さん、ちょっといいですか?」

 その時、店員がそう言ってくるので私は顔を上げた。
 どうやら、携帯のデータを移すのに暗証番号を打つ必要があるらしい。
 私は4ケタの番号を打ち、またソファに戻る。
 ん?お兄さんと呼ばれたのはなぜかって?
 それは仕方がないことだろう。
 性格がクズな父親の顔の遺伝子を引き継いでしまった私の顔は、一言で言えば男である。
 しかも、小学3年生くらいの頃から女子っぽいものがあまり好きになれず、今では私服にスカートが一着も入ってないといった状況である。
 つまり、今の私服も男に見られかねないというわけだ。
 黒い長ズボンに白地のシャツ。赤いチェックの上着。
 申し訳程度にシャツには猫を模した可愛らしいデザインが施されているが、女子っぽい模様のシャツを着た男子にしか見られないだろう。
 別に男子に間違われるのは今に始まったことじゃない。
 中1の時に部活の練習試合の帰りに他中の女子に男と間違われ逆ナンされたり、とあるゲーム屋に古いゲームソフトを売りに行ったら男か女で丸をする場所で迷いなく男に丸されたり、女子トイレに入ろうとして注意を受けたり、その他諸々。
 体つきだって、背は166cmとこの歳にしては長身な方だと思うし、ソフトボールをしていたおかげで肩幅、がたいもある。
 胸だって普通くらいなので、目立たないし。

「春香、帰るよ」

 その時、母親が新しいスマートフォンが入った袋を片手にそう言ったので、私は頷き、ちょうどエ○シーンに入った漫画に名残惜しいが別れを告げ、棚に戻し立ち上がる。

「にしても春香ももう高校生か〜。早いね」
「えへへ。合格して良かった」

 そう、私はもうすぐ高校生になる。
 女子高生。JKである。

「高校生活、楽しみだなぁ」

 私は顔がにやけそうになるのを堪えながら、呟いた。

Re: 顔が男でも恋がしたい! ( No.2 )
日時: 2016/04/28 16:32
名前: 凜太郎 (ID: CzRhDmzb)

「可愛い子が・・・・・・たくさんいる・・・・・・」

 私は愕然としながら体育館を見渡した。
 私が入るこの南高校は、一言で言えば女子が多い。
 元は女子高だったらしく、今もその名残はあって、生徒の9割が女子である。
 今年もそのようで、先ほど確認したクラス割りでは男子はたったの3人だった。クラス全体は38人もいるのにね。

「まぁ、頑張りなさい」

 隣にいた母さんは苦笑いを浮かべながらそう言った。
 中学時代は、見た目が男子っぽいことからオカマだと言われからかわれ、陰口や無視といった陰湿ないじめを受けてきた。
 コミュ力事態がないわけではない。しかし、私と仲良くするといじめられると思ったのか、友達は片手で数えられるほどしかできなかった。
 スマホを買ってメールなどで交流は続いてはいるが、同じ高校に進んだ友達はいない。
 まぁ、いじめっ子もほとんどいないので、0からのスタートとも言えるけど。
 とーもだっちひゃっくにんでっきるっかな〜♪

「ぼっちに、なりませんように・・・・・・」

 入学式で並べられた青い椅子の一つに座りながら、私は小さい声で呟いた。

−−−

 入学式も、クラス始まって最初のHRも終わり、私の新たな学校生活初日は何の進展もなく終わってしまった。

「そんなものよ。来週から頑張りなさい」

 母さんがそう言ってくれる。
 私の母もこの高校の卒業生であり、彼女のアドバイスはかなり信頼できる。
 私はその言葉に頷いた。

「家庭クラブ入りませんか?」

 親子愛が深まったところに、KYかとツッコみたくなるようなタイミングで3年生の女の人がカラフルなポスターを渡してきた。
 私はそれを受け取り前を見る。そして、絶句した。

「弓道部入りませんか?」「茶道部に入り」「華道部に興味ないですか?」「剣道部に」「に興味ありませんか?」

 色々な部活の先輩たちが、手作りの小さなサイズのポスターを歩く新入生たちに配っていた。
 私も歩くが、手に持った新入生パンフレットの上に次々とその紙は置かれていく。
 吹奏楽部なんて、目立つためか何人かが声を合わせて「吹奏楽部に入りませんか」と叫んでいる。
 廊下はどちらかというと文化部が多く、外に出ると運動部らしき列が、同じように手作りポスター片手に立っていた。

「春香ちゃん!」

 その時、聴きおぼ終えのある声がした。
 肩を叩かれたので見ると、私が1年の時に同じソフト部にいた3年生の先輩である、松本先輩が立っていた。
 彼女は中学の入学式で私に一目惚れ(笑)したらしく、部活に猛烈に勧誘してきた上に、部活中でもかなりアタックしてきていた。
 しかし運動は苦手だったので、結局ソフト部に入ったことには1年の冬で後悔し始めていた。

「松本先輩。こんにちは」
「春香ちゃん!ソフト部考えといてね!待ってるから!」
「はぁ・・・・・・」

 曖昧に返事を濁しつつ、ポスターを受け取る。
 運動部は私には合っていない。それはすでに自覚している。
 この高校は文化部が活発なので、当たり前だが文化部に入るつもりだ。

「・・・・・・多くなったね」

 そんなこんなで部活の勧誘戦争は終わり、私の手元には大量のポスターが残された。
 これは一度整理しなければ。そう思って片手を離す。
 すると運悪く手を滑らせ、パンフレットと共にポスターを落としてしまう。

「うわっ、最悪〜」
「もう何してんのよ。ドジ!」

 母さんはそう言いつつも一枚一枚ポスターを拾ってくれる。
 自分は良い母親を持ったなぁとしみじみしながら、私もポスターを拾っていく。
 その時、目の前に一本の腕が伸びてきて、何枚かの紙を拾ってくれた。
 見るとそれは、眼鏡を掛けた少年だった。
 私と同じく大量のポスターを持っているあたり、同じ新入生かな。

「これ、落としたよ。大丈夫?」
「う、うん・・・・・・ありがとう、なのかな?」
「いや、いいよ」

 そう言って私にポスターを渡してくるので、素直にそれを受け取る。

「優しい子がいて、よかったね」

 母の言葉に、私は今度は元気に頷いた。
 彼は同じクラスだろうか。違うクラスだろうか。何の部活に入るのだろうか。
 何もわからない。名前すら知らないけど。

「また・・・・・・会いたいな・・・・・・」

 私はポツリと呟いた。

Re: 顔が男でも恋がしたい! ( No.3 )
日時: 2016/04/28 22:20
名前: 凜太郎 (ID: LN5K1jog)

 ツツジが両側に咲き彩り豊かにする遊歩道。
 基本的に車が通らないその道を、私は自転車で駆け抜ける。
 今日からついにJKとしての生活が始まるんだ!
 友達できるかな。上手くやっていけるかな。
 そんな不安を胸に抱きながら、私はペダルを踏みしめた。

−−−

「・・・・・・まぁ、こうなるよね・・・・・・」

 結局一絞りの勇気も出せず、私は自分の席に座って溜め息を吐いた。
 実際、私みたいな子はそこそこいる。
 皆、本を持って来ており、朝のHRまで読書で時間を潰すのだ。
 私も本は持ってこようと思ったよ!でも忘れたんだよ!

「ダメダメじゃん・・・・・・」

 結局昨日の男子は別クラスだったらしく、教室にはいない。
 私は何度目かになる溜め息を吐き、額に手を当てた。
 その時先生が入って来て、HRが始まった。
 まだ学級委員的なのが決まっておらず、出席番号一番の安達さんに頼もうとして席が近かった岩本さんが反応してしまい恥を掻くというアクシデントはあったが、それ以外はスムーズに進んだ。
 強いて言えば、先生がロッカーに鞄などを入れるように連絡があった。
 HRが終わると同時に、皆ロッカーに自分の荷物を入れ始める。
 私も入れに行こうかな、と思っていた時、隣の席の子が少しも動いていないのが分かった。
 話、聞いてなかったのかな?
 私はしばらく葛藤した末に、勇気を振り絞って聞いてみることにした。

「ね、ねぇ!鞄、ロッカーに入れないの?」
「ん?あぁ、今行くところだった」

 そっけなくそう言い、鞄を持ってロッカーに入れに行く。
 失敗したかな、と私は落ち込みつつ、ひとまず自分の鞄をロッカーに入れ、席に戻る。
 隣の子は時間が掛かっているのか、まだ席に戻っていない。

「こんにちは〜」

 その時、ちょうど斜め前の席である岩本さんが、自分の後ろの席の生塩さんに話しかけているのが見えた。
 あの人は、勇気を出しているんだ。私も頑張らなくちゃ。
 私は深呼吸をして、隣に座った子に体を向け、喉を震わせた。

「・・・・・・ねぇ、一緒に、お話とか、どうかな?」

 それが、高校で初めて勇気を出した瞬間だった。

Re: 顔が男でも恋がしたい! ( No.4 )
日時: 2016/04/29 12:36
名前: 凜太郎 (ID: LN5K1jog)

 あの後、隣の子とは仲良くなれた。
 さらに、その子が前に同じ学校だったという子とも仲良くなれて、いよいよ私の高校生活は良い流れになり始めた。
 そして、昼休憩が終わると、部紹介というものが始まった。

「どんな部活があるのかな」

 私がワクワクした様子で話しかけると、仲良くなった一人の谷村 奏は首を傾げて「さぁ〜?」と言った。
 私の隣に座る平井 佳奈は「よく分からないけど、楽しみだね」と笑っていた。
 その時、入学式に配られたポスターがまとめられたパンフレットが配られた。
 私はそれをペラペラと捲っていく。
 その時、一枚のポスターを見て私の手は止まる。

「情報、処理部・・・・・・?」

 この高校はパソコンが多いことでも有名だ。
 1つのクラスに40個くらいある教室が、大体3、4個くらい。
 だから、こういうコンピュータ系の部活があるのは想像していたけれど、本当にあるとは・・・・・・。
 やっている場所はコンピュータ実習室か。
 私は活動内容に目を向けた。
 そこに書いてあった「ゲーム作成」に、私の好奇心はいよいよwktk状態になる。

「私、情報処理部見に行こうかな」
「ふーん。頑張れ〜」

 パンフレットに夢中な二人は、私の言葉を半分スルーする形で読んでいる。
 どうでもいい。私は情報処理部でゲームを作るんだ!
 私は静かに、拳を握りしめた。

−−−

 新館2階のコンピュータ実習室。
 その扉の前で、私は呼吸を整える。
 上靴という名目のスリッパを脱ぎ棚に入れ、私は扉を開いた。

「あ、あのぉ・・・・・・情報処理部、ですか?」

 やはり先輩は怖い。ここはガンガン系より、少し大人しい子を演じておいた方が無難だ。
 聞いた話では2年生6人3年生2人という話だったが、教室にいるのは、ホワイトボードに何か色々書いている人が3人と椅子に座っている人が1人。
 あれ、聞いてた数の半分・・・・・・?

「体験入部?」

 椅子に座っていた一人がそう言う。
 それに私は「はい、そうです」と答えた。
 すると私に駆け寄り、手を握ってきた。

「よく来たね!どこでもいいから、座って座って!」

 私は笑顔でそれに対応し、案内された席に座る。
 それにしても、結構自由な感じなのかな?
 ソフト部の時はあまり自由な感じがなかったので、こういうのはなんていうかこう、ホッとする。
 私がそうやって、のんびりしていた時だった。

「失礼します。ここ、情報処理部ですか?」

 男子の声。聞き覚えがある声に、私は自分でも驚く速さでそちらを向いた。
 そこには、入学式の日に出会った男子が立っていた。

Re: 顔が男でも恋がしたい! ( No.5 )
日時: 2016/04/29 18:03
名前: 凜太郎 (ID: LN5K1jog)

「ぁ・・・・・・」

 私は声をかけようかと思った。
 しかし、それより先に彼は適当な椅子に座りPCの電源をつけてしまった。
 多分、彼は私の事なんて覚えてないだろう。
 仕方がないので、私は椅子に座り直し、先輩と雑談した。

−−−男視点−−−

 まさかそこに、彼女がいるとは思わなかった。
 元々、趣味で軽くPCをいじることが好きだった俺は、情報処理部に入ることにした。
 まだ地図を覚えきれていない中、なんとかコンピュータ実習室に行くと、そこには彼女がいた。
 入学式で部活のポスターを落としてしまい、慌てていた彼女の姿が脳裏に過る。
 顔はちょっと男子っぽく、イケメンの部類にすら入るほどだ。
 しかし、先輩と話しているその声はよく透き通り、つい聞き入りそうになってしまう。
 彼女も俺の事を覚えていたのだろうか、声をかけようとしてくれた。
 しかし、俺はなんだかそれが恥ずかしかったので、PCの電源をつけインターネットをすることにした。

「そういえば、二人とも、名前は?あとクラス」

 突然名前を聞かれた。
 俺が急いで顔を上げた時だった。

「い、1年1組の、北口春香です」

 透き通る声で、彼女がいった。
 春香、か・・・・・・。俺はその言葉を口の中で転がしつつ、自己紹介をした。

「1年2組、西村義文です」
「義文?昔の名前みたーい」

 子供っぽい言い方で北口さんはそう言った。
 見た目は結構男らしい感じだけど、中身は幼いのかもしれない。
 なんだかそれが微笑ましくて笑いそうになったが、なんとかそれを耐え、代わりにその言葉に応答した。

「いやねえだろ」
「あるよー。徳川義文とか、いそう!」
「ないない」

 俺は、あまり女子とは会話しない。
 中学時代は、友達はPCだけのような状況だった。
 そんな中で、ここまでスラスラと話せるのはなぜだろう。
 彼女の顔が男っぽいから、自然と気持ちが軽くなるからだろうか。
 その日から、俺は部活に来るのが、ある意味楽しくなっていた。


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