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  「———雨だ、」  
日時: 2016/04/29 20:29
名前:   なつめ。   (ID: 0a987INq)





   みなさま、こんにちは。*
   なつめ。と申すものでありますっ(`・ω・´)
   諸事情で新しく、スレッドを建てなおしました!




   *。シリアス要素があります、ご理解ください。
   *。更新スピード遅めです…。



   ちょこっと、あらすじ。*



   貴方は振り向いてくれない、絶対に。
   少しも可能性はない、分かってる。
   それでもまだ、今でも、想い続けたいんです。


   ああ、神様。
   どうして私を、彼の「妹」にしたのですか——?


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Re:   「———雨だ、」   ( No.1 )
日時: 2016/04/29 20:34
名前:   なつめ。   (ID: 0a987INq)




   「プロローグ。」





   むかしむかし、あるところに。
   とても仲の良いきょうだいがいました。
   兄は働き者、妹も家事を精いっぱいがんばりました。


   すべての苦しみを、哀しみを、孤独を。
   二人で分かち合いながら、生きていきました。


 



   そしていつの間にか、妹は———、


Re:   「———雨だ、」   ( No.2 )
日時: 2016/04/29 21:14
名前:   なつめ。   (ID: 0a987INq)




   「———雨だ、」





   不意に、ほんとうに、不意に。
   目が覚めてしまった。
   滴り落ちる雨粒の音と、暗く曇った部屋の雰囲気。


   すう、と息を吸い込む。
   眠ってしまいたい、ああ、このまま。
   二度と目が覚めなかったら、どうなるかな。


   薄ピンクの掛け布団を体から剥がし、起き上がる。
   肌寒さに、体が少し震えた。
   でも、聞こえる「音」の方へ、すぐに体が向かう。






   「……おはよう、お兄ちゃん」

   「ああ、起きたんだ、澪(みお)」






   友達に呼ばれるより、誰に呼ばれるよりも。
   彼の唇が紡ぐ私の名前が、世界で一番、好きだ。


   顔を見て、声を聴き、そうするだけで。
   いつでも「好きだ」と再確認することができる。
   でも、同じように、涙が溢れそうになる。


   彼は、私の兄、家族。
   体の奥底で、血が繋がっている。
   絶対に、愛してはいけない、存在。





   私——、小夜月 澪(さよづき みお)が九歳のとき、両親はこの世からいなくなった。
   交通事故で、そのときのことはあまり頭に残っていない。


   多分、記憶から消し去りたかったんだと思う。
   それからは、兄、小夜月 玲(さよづき れい)と二人で叔母が家賃を払ってくれているアパートに住んでいる。


   最初は叔母さんと叔父さんも住んでいたけど、今は二人。
   二人とも仕事しているし、仕方ないと思う。




   「今日雨だから、傘、忘れんなよっ」

   「っ、うん、分かってるってば……」




   これ、この瞬間(とき)があるから駄目なんだ。
   胸が強く揺さぶられて、頭がクラクラして、倒れそう。
   気持ちを抑えるので、精いっぱい。


   私が高校一年生で、お兄ちゃんが高校三年生。
   同じ学校に通っていて、でも、ただ、見ているだけ。
   それでいい、そうしていることしか、できない。


   普通な、平凡な片想いする女の子たちのように。
   声を掛けたり、遊びに誘ったり、想いを伝えたり。





   ———……なぜ、そういう未来がないんだろう。





   絶望が、気持ちになって、涙に変わって、また消える。
   そんな独りの夜を、また毎日明かしていく。
   朝食を片付けるお兄ちゃんの背中が、ぼやけた。



   「ごめんね、朝ご飯作れなくて」

   「澪には飯以外、任せっきりだから、こっちこそごめん」



   言葉から分かる、微かな、不器用な、優しさ。
   それは「妹だから」、その一言で片づけられる理由。
   もう、私は優しささえも受け取れなくなっている。


   朝の身支度を終えて、玄関にしゃがみ込む。
   お兄ちゃんがちらりと顔を出して、小さく微笑んだ。







   「澪、行ってらっしゃい、傘持ってけよ」

   「……行って、きますっ!」







   ああ、明るく言えたかな、泣いてなかったかな。
   ドアをいきなり押して走ってきたからか、息が上がる。
   お願い、笑わないで、話さないで、名前を呼ばないで。


   人間にとって普通のことが、私にとっては涙にしかならない。
   どうしてこんなにも辛いのかな、理由は一つだけ。


   貴方が好きだから、それだけです——、
   零れ落ちた一粒の涙と雨粒が、溶け、混ざり合った。


Re:   「———雨だ、」   ( No.3 )
日時: 2016/04/30 16:38
名前:   なつめ。   (ID: 0a987INq)




   「*。人物紹介」





   小夜月 澪(さよづき みお)


   腰まであるさらさらとした黒髪が特徴。
   大きなネコ目に、お人形のような長い睫毛。
   鼻は高くすらっとしていて、唇は桜色。



   小夜月 玲(さよづき れい)


   爽やかな絹のような、澪に似た短めの黒髪。
   切れ長の深い瞳に、高く通った鼻筋。
   薄い唇に、綺麗に縁取られた輪郭。



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