コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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先ぱい……ああ、先ぱい……!!
日時: 2016/04/30 17:54
名前: 左右りと (ID: dB4i1UE/)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode=view&no=38240


■ ごあいさつ

初めまして、こんにちは、左右りとです。
今回の作品はわたし(名義はヒナ)の短編集【Sweet×Sweet】のとある話の、続きのお話です。

とてもお気に入りのキャラと、設定なので勝手ながらシリーズ化させていただきました。
読んでくださる皆様にも、気に入っていただけたらと思います。


■ 登場人物

大沢 優日 オオサワ ユウヒ
高校1年生/文芸部/後輩

西森 杏子 ニシモリ キョウコ
高校2年生/文芸部部長/先輩

(随時増える予定)


■ 目次

>>0 ごあいさつ  
>>1 シリーズ化するにあたって  



>>2 疲労 = 弄り × 3


■ 記念日

Open 2016/04/30


■ Special Thanks

診断メーカー様 
 【意外な一面を妄想するためのお題出してみったー】作者様

ひよこさん
  タイトルを考えていただきました!!

ありがとうございます(´∀`*)





よろしくお願いします|д゜)

Page:1



■ シリーズ化するにあたって ( No.1 )
日時: 2016/04/30 18:09
名前: 左右りと (ID: dB4i1UE/)
参照: https://shindanmaker.com/450823

 シリーズ化するにあたって、わたしの足りない脳だけでは、書ける話も少ないので、診断メーカーというものを使用させていただきます。
URL先で、名前を入力するとお題がでる……的なものです。

 また、お題を随時募集しています。
キャラクターの個性などを鑑みて、書けそうなもののみ、書いていく予定です。
なので、あれお題出したのに書かれてないな、っていうときは、書ける内容ではなかった、と理解してください。
ですが一人いくつでも応募してくださって構いませんので、じゃんじゃんください。
消化は遅いですが、頑張りますので。


よろしくお願いします|д゜)
 

疲労 = 弄り × 3 ( No.2 )
日時: 2016/04/30 18:24
名前: 左右りと (ID: dB4i1UE/)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode




手が——正確には親指の付け根が、攣りそうだ。
そんなことをフル回転する脳の隅っこで考える。手は今しがた考えた文を打ちつつ、次の文の内容を考える。2つを同時進行するのは、案外容易い。


「疲れた—……」


 斜向かいの我が後輩は、眉間を指で揉み、伸びをしている。さっきから、ちょっとパソコンを見てはそれを繰り返している。しっかり進んでいるのだろうか?

「優日くん、終わった?」

「えっ…………終わって、ない、です……」

 できるだけ明るい声を努めて出す。それでも、声に圧が乗ってしまったようで、彼は目を逸らしながら歯切れ悪くそう答えた。

「うん、休憩も大事だけど、しっかり書き上げてね」

 今回は意識して、声に圧をかけて笑う。びりびりと体を震わせて、はい! なんて。そんな表情、もっといじりたくなっちゃう。
 眼精疲労と、体中の怠さが、その一瞬のうちに【優日くんを弄る】ためのエネルギーへと変換される。ごめんね、優日くん。ちょっとだけ……。

「ね、わたしもうそろそろ終わりそうなんだ。でもね、きみがもたもたしていると、わたしの帰りがその分だけ遅くなっちゃう。あ、先に帰ってもいい、なんて言わないでね。わたしは部長としての責任があるから、1年生のきみに鍵を渡して帰るなんて、出来ないの。意味、分かる?」

 純情な彼は、顔を強張らせて、すみません、なんて言うの。もう、そんなの逆効果だって、気づいてないの?

「謝らなくていいから手、動かしてね。わかった?」

「はい……」

「声が小さくて、聞こえないよ?」

「はいっ!」


 両の頬をぺちん、と自分で叩いてパソコンに向き直る。
 なんだかその様子が可愛くて、ううん、わたしがそうさせたからわたしが可愛い、って思うのは当たり前なんだけど、笑ってしまう。
 緩んでしまう頬に気づかれないように、わたしも残りを仕上げるべく脳内を切り替える。そしてまた、考える。

 ちょっと、いじわるしすぎたかな……。



 

 我が文芸部は、大会などの活動実績がないので、文化祭に文集を書くことが部の活動内容となっている。文化祭が関係ない時期はただひたすらに本を読むだけ。
 今は文化祭の準備期間。クラス展示の準備はもう少し先になってからだけど、文集は業者に頼んで製本してもらうので、その日数分早く書きあげなくてはならない。できるだけ早く終わらせたい。

 そんなわけで、ここのところずっとパソコンばかり見つめている。優日くんの困った表情は精神的な疲労を癒してくれるけれど、結局のところ溜まった物理的な疲労は消えてくれない。


「はぁ…………」



 わたしよりも目に見えて頑張っている優日くんに気取られないよう、細くため息を漏らした。


*  *    *


 
「ふうぅー……。終わったああっ!!」

「優日くん、声が大きくて、うるさいよ」

「す、すみません。嬉しくて……つい」

 視線をおとしてはにかむ、優日くんを横目に、部室に鍵をかける。ドアノブをひねって、閉まったことを確認する。
行くよー、そう言って歩き出す。部室棟を出ると、秋の生温い風が頬をかすめていった。眠たくて、怠い体に、追い打ちをかける心地よさ。目を瞑れば、立ってでも寝れそうだ。


「……んー? 優日くーん、遅いよー」

 回転速度がゆっくりになってしまった脳は、優日くんがいないことに気づくのもゆっくりだった。部室前まではわたしの後ろにいたのに、今はいない。忘れ物かな……?



 しばらくすると、部室棟から優日くんが出てきた。

「お待たせしました。先ぱい、これ鍵穴に差しっぱなしでしたよ」

 そう言って目の高さに上げたのは、さっきわたしが持っていたはずの部室の鍵。

「あっ……」

「へへっ……棟から出た時に気づいたんで、遅くなりました。すみません」

 
「ううん、わたしこそ、しっかりしなきゃだね……。ごめんなさい」

 これから職員室に鍵を返しに行かなくてはいけないけれど、この忘れ加減だとそれさえも危うそうだ。本当に、しっかりしなくては。

 優日くんの持つ鍵を受け取るべく、手を差し出す。———だけど、いつまで経っても優日くんが鍵を手渡す気配はない。

「優日くん、鍵、ちょうだい?」

「いやです」

「な……」


 反抗期……?


「僕が返してくるので、先ぱいは先に帰ってください」

「え……?」

 一瞬よぎった、馬鹿みたいな考えを思い出して心の中で恥ずかしく思う。それにしても、

「駄目だよ、部室の鍵は、部長が……」

「今の先ぱいは後輩である僕より、危なっかしいです。先生も先ぱいより、僕に返してもらった方が安心でしょう」

「う、そんなに危なっかしくないよ。大丈夫、わたしは仮にもせんぱ……」

「良いから、早く帰ってくださいね! 寄り道しないで!!」

「あっ、ちょっと……」


 まるで子供に言うような台詞を残して、優日くんは校舎の方へ走り去ってしまった。随分侮られたものだ。寄り道しないで、ってわたしを一体いくつだと……。

 全く、戻ってきたらたくさん弄ってやる——。


*  *    *


「失礼しましたー」

 職員室を後にして、階段を降りていく。
 先ぱいはしっかり帰れただろうか。パソコンをシャットダウンするのと共に、脳の回転もシャットダウンしてしまったように、すっかりぼーっとしていた先ぱいを思い出して心配になる。たまに抜けているところがあると思っていたけど、まさか鍵を差しっぱなしにするなんて。相当疲れていたんだろうな……。


 連日パソコンと睨めっこして、集中しきっていた先ぱいはすごいと思う。すさまじい集中力だ。その反面、体には随分な負担になっていたのだろう。だからすこしでも早く家に帰って、休んでほしかった。
 鍵を適当な、こじつけのような理由をつけて無理やり返しに行ったのは、そのためだ。
 それにしても、

「さっきの先ぱい、可愛かったな……」

 いやです、そういったすぐあとの、先ぱいの表情。それから困ったような、焦って取り繕うような表情。半年経って初めて、先ぱいの余裕の笑みを崩せたような気がする。それでも、まだまだ僕の方が余裕がないのだから、悲しいものだ。

 程なくして昇降ロビーに出ると———

「せ、先ぱいっ?」


 ロビーから下駄箱につづく段に腰を掛けている人影が。見慣れたリュックとさらさらストレートの黒髪、見紛うはずのない、僕の先輩。

「ど、どうして帰ってないんですか、先輩。先に帰って良いって……」

 慌ててその後ろ姿に駆け寄って、声をかける。でも返事はなくて、さっき適当言ったことを起こっているのだろうか、と今更後悔している、と———

「くー……くー……」

 どこからか、静かな———寝息が。


 聞き間違いか、空耳かと思って、よく耳を澄ませる。やはり、くーくーと規則正しい———寝息。

「え、まさか」

 先輩の顔を覗くと、まぶたを閉じて、首をかくんかくんさせて———寝ていた。

「っぷ……あはははっ……!!」


 純粋に待っていたのか、それとも先ぱいという意地のために待っていたのか。どちらにせよ、待っていてくれたのは嬉しいが、まさか寝ているなんて。失礼だけど、面白い、面白すぎる。

 ひーひー言いながら、どうにかこうにか笑いを収めていると、唸り声が先ぱいから漏れた。慌てて緩みきった顔を引き締めて、でもどうしても笑いが零れてしまいながら、

「おはようございます、先ぱい」

と、眠たげな視線を僕に向けた先ぱいに笑いかけた。






『ハードワークが祟って帰宅後玄関で寝落ちする』

というお題を少し改変して、書かせていただきました。
ありがとうございました。



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