コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- スイーツゲッター
- 日時: 2016/06/19 21:20
- 名前: 瀬緒川 (ID: tcaX5Vvk)
【目次】
一章
>>1一話
>>2二話
>>3三話
>>4四話
>>5五話
>>6六話
>>7七話
【注意】
・荒らし、悪口などの書き込みはやめてください。
・氷という名前の方は放置しています。
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- Re: スイーツゲッター ( No.3 )
- 日時: 2016/05/24 16:08
- 名前: 瀬緒川 (ID: tcaX5Vvk)
一章三話
「う…」
重くなったまぶたをゆっくりと開ける。
時計を見ると針は6時を指している。
宿題に夕食作り、風呂に入ったり歯磨きしたり小説の返信したり…。する事はたくさんあるのに1時間ほど昼寝していた。
「やっばいなぁ…」
あいにく、今日の宿題は多い日。数学のプリント2枚とワーク、それと英語の単語調べと予習だ。ちなみに英語は苦手である。
僕は勉強机に向かった。まず宿題を少ししてからご飯を作ろう。
そう思って数学のワークを開くと、黙々と問題を解いていく。
数学は得意だ。だから、ワークとかプリント2枚も余裕。
ミスってても「一応頑張りましたしー?、何もしてこない人よりはマシだと思うんですけどなぁー」って言えば「そうだな」で解決するだろう。
これは最高の方法だ。
まぁ、一応頑張って解いているからこの方法は使わないのだが。
この方法使いたい人いるなら使ってよし。さぁ、許可は出したぞ?
「やっぱ僕すげーわ。ナイスアイデー…」
「お兄ちゃん!」
窓が勢いよく開いた。
感心していた独り言が聞かれた…。かもしれない。
目はうるうるとして、今にも泣き出しそうな顔をして言った。
「うあああん!明、テストで0点取っちゃったよおお!」
大きな声で明はわんわん泣いた。テストで0点取ったから。
でも、これも遺伝なんだろう。
僕も今までに何度も0点という文字を見た。
だから、笑う事もない。新田家は0点を取るものなのだ。
「ふう」と息を吐いて明に尋ねる。
「明、何の教科だったんだ?まぁ、な?あれだろ、英語」
僕のあれとは、僕の大の苦手でもある英語だ。
明は体を少し跳ねさせた。あ、これは。
「図星か?」
「ギックーん!」
なぜか擬音。
そして、時間が止まったかのように動かなくなった。
けど、明は悪くない。
励まそうと言葉をかけた。
「まぁ、僕も英語は0点だからな。そのー、外人に話しかけられない限り英語は使わないんだ。英語は授業を受ける必要はない」
僕も明も英語は0点だ。教え合う事もできないからもう諦めるしか選択はないのだ。
最高の励ましができなかったお詫び的な感じで、明の頭を撫でると「えへへ」と無邪気に笑った。
「お兄ちゃん、新田家英語終わってる!」
明と今日も、英語を教え合う事はなかった。
- Re: スイーツゲッター ( No.4 )
- 日時: 2016/05/24 16:04
- 名前: 瀬緒川 (ID: tcaX5Vvk)
一章四話
「で、ここな」
僕は今妹の明に勉強を教えている。
もちろん英語じゃない。数学だ。
今年から中学二年生の明は、全教科勉強に追いついていない。
僕は唯一数学が得意だけど、明はどれも苦手だ。おかげで毎回居残り。
だから今、数学を教えているのだ。
なのに、明は全然理解しようとしない。飽きたのか、ペン回しをしている。
「明、真面目に聞いてるか?」
一応聞いてみる。
明は「ええっ!?」という表情をしてペン回しをやめて言った。
「ほりゃ!真面目じゃん!」
「どこがだよ」
思わずツッコんでしまった。
明は「テヘッ☆」と言って舌を出した。この仕草も見飽きた。それて心を動かそうと思っているならまだ甘い。もう見飽きすぎて全く動かないのだ。
僕が動いていないのを感じ取り、許してくれないと思った明は本音を言った。
「だいたい、成績なんて悪くてもいいじゃん!努力してんだし!」
そして明は「むーっ」と言いながら頬を膨らまして、じっとこちらを見てきた。
あ、この仕草は珍しい。ちょっとどきっとした。
ちょっとだけ心を動かせた明は、無意識だったようだ。いつもの意識して可愛く見せようとしているのより、断然いい。
って、実の妹だ。変な意識はするな自分。
明は頬を膨らますのをやめてジト目のまま言った。
「もうっ!聞いてるの!?努力してまっせ!ってさ」
右手で指を指して、左手は腰に当てて、前かがみで文句を言ってきた。
もう可愛く見せようとはしていない気がする。本気で勉強が嫌って言っている気がした。
俺は「はぁ…」とため息をついた。
声をかけようとした時、先に明に喋られた。
「ねぇ」
「あぁ、勉強したくないんだろ?けど教えるぞ」
「ふっ」と鼻を鳴らしてちょっと決まっちゃった?とか思っていたのに明は台所を見ていた。
そして急に振り向いてなにか思い出したかのように言った。
「お兄ちゃん、ごっはっん!」
「…」
「聞こえなかった?ごっはん、ごっはん!」
明は「お腹すいたー」と言っていた。だから気づいたのか、と思う。すっかり忘れていた。明の面倒見るのも大変だ。
今は、何時だ?
時計を見ると、8時を超えていた。
一瞬、固まった。時間が止まったかと思った。
やばい、明のペースに付き合い過ぎた。
僕は急いで支度した。
- Re: スイーツゲッター ( No.5 )
- 日時: 2016/05/27 19:23
- 名前: 瀬緒川 (ID: tcaX5Vvk)
一章五話
「ご飯食べたら、勉強だからな」
俺は頑張って教えたのに明が真面目に聞いてくれなかったのが悔しかった。
だから今日はさっさとご飯作って食べて、またみっちり勉強だ。
僕の宿題もしながら、明の勉強も教える。明は理解が遅めだから一石二鳥だ。
そして、「ピーーー」と、耳に響く音が鳴った。お湯が沸いた知らせだ。
火を消して、お湯を注いだら完成。
明はテレビを見ていた。しかも勉強道具から一番遠い場所にいた。
「きょーはなんだろー?とんかつ?カレー?牛丼?んー、お腹すいたー」
「ごついな。本当に乙女か?」
思わず突っ込んでしまった。中学二年生というピッチピチの乙女はどうやらごついのが好きらしい。
その期待を裏切るように、僕は明の前に立った。
「みんな大好きカップ麺だぞ。しかもちょっと高めの肉うどん」
「えぇぇー、とんかつがいいー!」
「乙女になれ!」
「とんかつ!とんかつ!とんかつ!」
明は尻文字までしてとんかつと言い張った。
…男の理想を壊すな。本当に女か?恥じらいを持て。まぁ、家族なら恥じらいなんてどっかにおいてきたのかもしれないが。
明は起き上がって、また「むー」としてきた。今日で二回目。
割り箸を割った。ようやく食べる気になったようだ。
まぁ肉うどんも肉は入ってるし、普通に美味しいものだ。手軽だし忙しい時にはもってこいの一品だ。
けど明はぶつぶつと文句を言っていた。
「固麺派なのにー、期待してたのにー、もう飽きたー」
でもずるずると食べていった。
文句は言っているくせに、声には出さず、顔で「美味しー!」と言っているかのように目を輝かせていた。
「言ってることが逆だぞ」
「あ!ひらめいた!」
急すぎ。言ったことを無視されたが、ひらめいたというのは勉強のさっきわかっていない所のことかもしれない。正直僕は期待していた。
明は「ふふん」と鼻を鳴らしていった。
「素晴らしいよ!聞いて驚くな!お兄ちゃんと明の一発ギャグができちゃったよー!」
「…は?」
さっき明かりをご飯で期待させたから、今度は僕が期待させられ裏切られたのかもしれない。天罰か。
「どうでもいいこと思いつくなぁ、感心するわ」と言いたかったが、面倒だからやめた。明がどうでもいいこと思いつくのはいつものことだ。
「いくよ!スタート!どうもこんにちはー。透です。明です。二人合わせて、透明です!」
「しょーもな!」
期待しなかったらよかったと思った。しかもそのネタは前に聞いたことがあった。
「いやー、最近暑いですねー」
「おっ?新バージョン?」
予想していなかった新バージョンに少し期待した。
「そうですねー、暑いです。水のんじゃいません?めっちゃ透明な水を買ってまで!透明な水って、共食いじゃないか!(どわっはっは!)ありがとうございましたー」
「共食いの意味わかってないだろ!観客の完成まで表すな!」
「優勝だね!」
「するか!」
あぁ、また勉強を教えられなかった。
明は逃れようとしているのか。
今日も、楽しかった…。
ずっと、こんな日が続くと思っていた。のにな。
- Re: スイーツゲッター ( No.6 )
- 日時: 2016/06/04 17:48
- 名前: 瀬緒川 (ID: tcaX5Vvk)
一章六話
「明、僕はもう寝るから。宿題終わらせとけよ」
と、僕は残して部屋に戻った。
明も10時以内には必ず寝てるから、もうすぐ寝るはずだ。
僕もさっさと寝よう。明日は早く起きたい気分だ。
けど、さっきまでは考えてなかったスイーツゲッターの事をふと思い出した。
スイーツゲッターの事を調べたってなにもわからないのに、見た事もないのに、考えてしまう。
この喜びでも悲しみでもない微妙な感情は心地良くない。
「どーしたいんだろ」
頭を掻いてベットに倒れる。
僕のわからない感情は、どんどん大きくなって、ただただ疲れた。
いっそ忘れれたならと思う。けど忘れなれない。
僕自身こんなにわからない事なんて味わったことがなかった。もっと恋とかしてればこの感情もちょっとはわかるのかもしれない。
うつ伏せになった。
ベットの上でごろごろしていると、眠気は襲ってくるばかりだ。
目を10秒閉じれば寝れる自信がある。
けど、寝る気はなくむしろ起きている気満々だ。だから、彭を叩いて眠気を吹っ飛ばした。
そして僕は決心した。
「もう、この感情はわからない。絶対に、スイーツゲッターに会ってみせる!」
と、一人宣言した。
もちろん一人だから歓声もなんにも起こらない。それが虚しかった。
けど、スイーツゲッターに会ってみせる。
きっと、どうにかなる。
今日から作戦実行だ。
- Re: スイーツゲッター ( No.7 )
- 日時: 2016/06/22 23:14
- 名前: 瀬緒川 (ID: tcaX5Vvk)
一章七話
僕は一人虚しく作戦会議をしていた。
夜中にすることじゃないってのはわかってる。けれど、1日でも早く作戦を実行したいからだ。
僕は勉強机に向かって、真剣に悩んでいた。
どうしたら会えるだろうとか、全然情報もないなか考えるのは先が見えなくて辛い。
紙になんとなく書いた作戦はだとどれも役に立たない気がする。
チラシを配る。大声でスイーツゲッターと叫ぶ。など、実行するのが嫌なことばかり書いていた。もしも、近所で「ほらあの人よ、スイーツゲッターって叫んでた新田さん…」とか噂になったら引きこもるくらいだろう。
僕は一人頭を悩ませていた。ペンを回しながら。
全然思いつかない作戦に、こんなに苦戦したのは久々だと思うほどしんどかった。
そして、睡魔が襲ってきて、僕が気付いた時にはもう意識はなかった。
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