コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- ある日、幽霊と会いまして
- 日時: 2016/05/18 08:42
- 名前: αの鼓動 (ID: LTX6Bi5r)
そう、あいつと出会ったのもこんな日だった。雨はザーザー、空も目の前も真っ暗。このまま世界が終わりそうな、そんな日。あいつは路地に座り込んでいた。ボロボロの服を着て、まるで粗大ゴミかのように微動だにしなかった。
「大丈夫か?」
しゃがんで声をかけると、
「……私が見えるの?」
顔も上げずに細い声を返してきた。
「あぁ。きちーんと見えるぜ、幽霊さん」
一瞬、ビクッとして、あいつは顔を上げた。白い肌と白い髪。灰色の眼は焦点があってるんだかあってないんだか分からない様な眼だった。
「死導神、なの?」
「そうだ」
「…嫌だ」
俺は黙って聞いていた。
「まだ、消えたくない。この世にいたい。あの世、行きたくない」
駄々をこねるように、あいつは言った。なら、と俺は切り出した。
「俺の使え霊になるか?」
「え?」
「契約すれば、この世に留めてやる。しないなら、あの世に連れてく。二つに一つだ。選べ」
すると、待ってましたと言うように契約書を唱えた。
「わたくし、未練霊は恐れ多く気高い死導神……」
「レルナ、だ。レルナ・ファスモース」
「レルナ様との契約を契らんと欲します。嘘偽り無き事を我らが神、ノウンに届けます」
俺は、多分ニヤッとした。
「死導神レルナ、契りを認めんと欲します」
あいつは、こうして俺の使え霊になった。
はじめまして。αの鼓動、です。占いツクールではリヴァイアサンという名前で書かせてもらっています。よろしかったら、お見知りおきください。えぇ~と、ここの使い方が分からなくて一発目から話を入れてしまいました。今、急いでここを書いた所です(笑)。ラノベ好きで、こういう話中心になりますがよろしくお願いします。ペコッ
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- Re: ある日、幽霊と会いまして 2 ( No.1 )
- 日時: 2016/05/17 23:27
- 名前: αの鼓動 (ID: LTX6Bi5r)
俺は、レルナ・ファスモース。死導神。この神になって、もう800年近くなる。この神の役目は未練霊っていう、それぞれの世界で未練を残して死の世界に行けない霊を導くこと。
さすがに800年もやっていると、別の神になりたくなる。が、そうもいかない。神になる時、それぞれタイマーを付けられるんだ。このタイマー、種類は色々で死導神の場合は赤髪紅眼になる。全ての赤が抜けて白になって、この役目は終わりを告げる。ところがどっこい、800年経ってもいっこうに赤は抜けない。きっと、4000年経っても抜けないーーそう思っている。
あいつ、こと、エーマ・リュフラ・ファスモースは俺の使い霊として日々を送っている。エーマは、古代神の言葉で「雨」を表す。リュフラは「黒い空」っていう意味。正確には、リョ・ヒラとリャュ・フララの中間みたいな音なんだが気にしない。言霊の管理をする言神には説教くらったが。ちなみに俺のレルナは「なりそこない」、ファスモースは「奇跡の」っていう意味。なんでこんなのかっていうのは、まぁ後で。
使い霊には名前も新たなカタチも与えるのが神としての決まりで、その神の力も見れる。俺はまんまの名前と青髪瑠璃眼を与えた。名前は…スルーしてくれ。頼む。元々が灰色だから、色づけは楽だった。例えるなら用意されている色を決まった所に塗る、塗り絵みたいなもんだ。主人神の名も最後に入れて、正式な使い霊になったエーマは今、俺のために飯を作ってくれている。
「レルナ様~、出来ましたよ~」
「今行く」
俺はいそいそと下へ降りた。
「今日のメニューは、ステーキ肉のラズベリーソースがけに麦パン。野菜スープと白箔です」
「ありがとう」
神とは言うが、神格化して1000000年も経っていないと箔(生き物の生きる為のエネルギー。神が喰うから全ての生き物は死がある)だけじゃ存在できない。神格化する前の生活を続けなければ、存在を保てずに無に還る。だからって、そのままの生活でもいいって訳じゃない。箔を食さなければ、神としては居られない。
「あのぉ」
「何だ?」
「お役目のお達しが来ております。それから、神議会の連絡も。あとは次の三日月までに出す報告書と確認書。今のところ、遅れそうなものはありません」
「どうも、エーマ。達しは今日やる。神議会はいつだって?」
「次の新月です」
「じゃあ、出席すると返事を。報告書と確認書は明日だ」
「分かりました」
俺の毎日は忙しい。その理由として、大量の役目と事務作業。それからーーー
「レルナ!!」
この、五月の蝿と書いてうるさいと読むフィスタック・フィス(古代神語で「おしゃべり」・「くち」の意味)である。まわりは愛称、フィスタで呼ぶが俺は一度だって呼んだことがない。いつもフィスタック、だ。神議会議長にして、歴代最高の武神。その黒髪黒眼は戦場でひときわ輝く。
「なんだよ、五月蝿いな」
「ふう~ん、この私に叩かれたいの」
フィスタックにとって、叩くとは相手を攻撃するということ。そして、その攻撃は、滅茶苦茶痛い。って、
「少しは敬語を使えぇぇぇー!」
「ぎぃやぁぁぁぁぁーーーーーーーーーー!!!!!!!」
腰の剣、しかも対神用のを叩きつけられた。
「さぁ、この報告書はなにか教えなさい!」
ひりひりどころか、燃えるような痛みに耐えながらなんとか喋った。
「こ、今月のスコア(役目を果たした回数)とエーマの…!」
「あぁ、それでここ(神立神省 報告科)にいるのか」
ここに来る度、剣で叩かれ敬語が無いと剣で叩かれ誤字脱字があると剣で叩かれetc……。もう、来るのが嫌だ。
「まぁ、頑張れよ、レルナ」
ふふんっ、と勝手に出てきては去っていく。こんなののどこが歴代最高だ?
- Re: ある日、幽霊と会いまして 3 ( No.2 )
- 日時: 2016/05/18 10:05
- 名前: αの鼓動 (ID: LTX6Bi5r)
「いってぇ~」
フィスタックからくらったのがまだ痛い。
「あのやろ、今度という今度は」
「おやおや、死導神にしては言葉遣いがなっていませんね。レルナ・ファスモース」
「げっ、ミレヒスワール!」
「先神に対し、無礼極まりませんよ。それとも、もう一度神成育を受けますか?わたしが取り計らってあげますよ?」
「っ、にこっとしながら弱味を握りやがっ、いえ、握っていただきますね。ミレヒスワール先神」
このミレヒスワール・ホーミス(古代神語で「無限の知識」・「鋭い」)は、俺の先神(先生である神)。その名の通り、知識と勉学を司っている。神成育っていう神格化した後に神々の世界について学ぶ所で役目を授かっていて、通称「反対聖母」。聖母のごとき笑みで、えげつないことばっかりする。
「まったく、君には手を焼かされましたよ。フィスタック・フィスも、よくあなたに絡んでいたものです」
「今もだ…です」
「まぁ、頑張りなさい。あなたのような神にも、最高神ノウンは微笑んでくださいますから」
助かった。こいつは、フィスタック以上に敬語にうるさい。これ幸いと逃げてきた。
「エーマ!行くぞ!」
「はいっ」
さぁ、仕事の時間だ。
「我、死導神。達しにより、航行を求む」
移動呪文を唱えて、人間世界へと移動する。
「げほっ、レルナ様っここって…」
「あっ、悪い。言っておくの忘れてた。うん、戦場」
「そんな眼鏡を忘れたって感覚で言わないでくださいよっ!」
土煙がひどい。あぁ、だから戦場は嫌いだ。
「とにかく、行くぞ。さっさとしないと地縛霊になっちまう」
「分かりましたよ」
そっからは、もう大変。幽霊を見つけては片っ端から死導呪文を唱えまくる。口ん中はもうぱっさぱさ。こんなのを800年続けてんだぜ。いい加減、誰か労ってくれよぉ~。
- Re: ある日、幽霊と会いまして 4 ( No.3 )
- 日時: 2016/05/25 23:18
- 名前: αの鼓動 (ID: LTX6Bi5r)
幽霊の定義について、神達は明確に……えっと……………確か10000000000000年以上前に決めた。その1つが死んでいること。ま、人間の世界と一緒だ。
で、俺の名前の意味の話になる。奇跡のなりそこない、について。神になるには3つの決まりがある。1つは人であること。2つ目は何か秀でた物があること。3つ目は…、捨てられたことが一度でもあること。
俺は1→当てはまる。2、3→当てはまるが、問題あり。
俺が生まれたのは戦争地域。物心つく頃には、生きる術ってもんを身に付けていた。時には戦い、逃げ、盗み、隠れた。生まれた地域から大して離れなかったから俺のことをどう知られているかは分かっていた。人じゃない、変なガキ
って。秀でたものは平和なとこじゃ、褒められないことばっか。親というか、それまで一緒に暮らしてた人はそんな俺を恐れて捨てた。いつだったか、流れ弾に当たって死んで、最高神ノウンに拾われた。当時はまだ俺みたいのが少なくて片っ端から拾っていたらしい。奇跡、を見せたのは神成育でのこと。どの神格化(この時期はまだ役割を持っていない)した奴より優秀だった。神成育も首席を守り抜いたしな。なりそこない、はちょっとココロがずれているトコがあるから。要するに、もったいない奴なんだ。
んで、なんでこんなことを言うかといえば、エーマを神成育へ送るようになったからだ。ふと、昔を思い出して。
きっと、エーマは俺と反対の生導神になるだろうな。俺が連れてきて、あいつが導く。うん、悪くないな………。
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