コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 【花言葉は】アイビーの花が咲く【死んでも離れない】
- 日時: 2016/05/22 17:03
- 名前: 小野寺 唯 ◆fX6yOA0X4k (ID: 3RHzRJJX)
プロローグ
荷造りもそろそろ終わりを迎えようとした時、長谷川翔太はぐるりと部屋を見渡した。
これで見納めだというのと忘れ物の確認もかねて、隅の隅まで丹念に探るとベッド下から埃にまみれた何かが見つかった。
ベッド下から見つかったからには、いかがわしい物かもしれないと警戒半分、期待半分で埃を払う。
「…なんだよ、これ」
残念、というべきか分からないがそれは小学生の頃の文集だった。
黄ばんだ紙の表紙をめくると、そこには幼くて大きくて不器用な字が並んでいた。パラパラと過ぎて行くページの中でひとつ翔太の手がとまった。
“しょう太の、しょう来のゆめ
しょう太のゆめは
......
命をかけてはなちゃんを守る強い男になることです!”
見覚えのある字だった。それは自分の書いた作文であったから。
筆圧のたかい大きな字は自分の、いやしょう太の意志の強さを表しているようだった。
…それだけに残念なのだが、
「はなちゃん、って」
誰だっけ?
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- Re: 【花言葉は】アイビーの花が咲く【死んでも離れない】 ( No.1 )
- 日時: 2016/05/22 17:08
- 名前: 小野寺 唯 ◆fX6yOA0X4k (ID: 3RHzRJJX)
どうも、こんにちわ。
小野寺です。
今回の作品は、切ない恋愛です。
決してらぶらぶハッピーエンドに終着させるつもりは毛頭ありません←w
更新は亀です。
一つ一つを丁寧に書いていきます。
ではごゆっくりどうぞ
- Re: 【花言葉は】アイビーの花が咲く【死んでも離れない】 ( No.2 )
- 日時: 2016/05/22 17:10
- 名前: 小野寺唯 ◆fX6yOA0X4k (ID: 3RHzRJJX)
#1
(ああ、俺ってこうして死ぬのな)
迫る、二つ並んだヘッドライトを目の前にして翔太の身体は固まった。ドライバーが咄嗟に鳴らしたクラクションは、イヤホンで塞がれた翔太の耳には届かない。
一方で翔太といえば、別段逃げるつもりもなく生にしがみつくこともなく、その光景をぼんやりと眺めていた。
土砂降りの雨の夜だった。
大きな雨粒が彼の唇をなぞると、微かにしょっぱい味がした。
翔太が瞼を閉じると、突如横からの引力に身体がもっていかれ路面に打ち付けられた。
身体が雨に濡れ、強烈なほどの痛みは感じなかった。
“死”それは思ったより一瞬でやはり恐れるほどのことじゃない、そう思った次の刹那____
「何やってるんですか、あなた!!」
間近から飛んでくる大声に、翔太は目を見開いた。先ほどの衝撃でイヤホンは耳から外れていた。
路面の上に腰をついて見ると、目の前の少女は自分の腕を掴んでいて
まさに豆鉄砲でもくらったような気分だった。
「あれ、俺…なんで生きて、
「だからっ、何してたかを聞いてます!車が飛び出してきても避けないなんて、命を何だと思ってますか」
少女は思ったより小柄で細い身体を濡らし、傍には傘がひっくり返っていた。
彼女が自分を助けた、翔太は状況を理解すると腕を振り払い立ちあがった。
「……別に、今死んでも困らないなって思ってただけ」
イヤホンを耳に詰めなおすと、翔太はその場から去った。
後ろから聞こえる声をかき消すためにプレイヤーのボリュームを上げた。
何か、ムシャクシャしたような気分が嫌で
だから翔太は気付かなかった。
「死んでも困らない瞬間なんて、ありません…」
少女は乱れた呼吸に胸を抑えながら、ただただ必死に声を出していたことを。
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