コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- ビスケット便利屋__二人のアイドルは。__
- 日時: 2016/07/11 20:55
- 名前: ミカズキ ◆Vt/gXKM8AI (ID: StvfWq.v)
__僕の友達は、ちょっと変わっている。
…いや、ちょっとどころではないかもしれない。
なんせ、とんでもない暴君で口癖は「この世に科学で説明出来ないことはないの。分かる?東くん。」。
しかも東くんってところで決まって僕をひどく睨むんだ。
ホントに__まったく、ひどいやつなんだよ。
…まあいい。あいつ自身のことはどうだっていいんだ。
だって、中学2年生の夏まで、僕らは特別親しいわけじゃなかったんだし。
__そう、あの日までは。
あいつがキラキラした目で、「すごい面白いこと思いついたの!」と僕の机をバンバン叩いたあの日から、少しだけ僕の日常は変化したんだ。
*
初めましての方ははじめまして。
ミカズキといいます。
今回、中学生が主人公の物語を書きたいと思います。どうぞ宜しくお願いしますm(_ _)m
《目次》
#登場人物 >>1
#僕と5人の仲間たち。 >>2 >>3 >>4 >>5 >>6
《お客様》
湯呑ゆざめ様 #とても素敵な青春小説を書いてらっしゃいます!
すごく律儀なお方です…!
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- Re: 桃瀬 咲と。 ( No.1 )
- 日時: 2016/06/27 21:40
- 名前: ミカズキ ◆Vt/gXKM8AI (ID: StvfWq.v)
【登場人物紹介】
|ω・`)チラッ(メモ書き程度のものなので飛ばしても問題なしです…)
・東 太陽
ものすごいヘタレで運動オンチ(少し皮肉屋)。ただ秀才であることをかわれて腐れ縁の咲に巻き込まれる。
・桃瀬 咲
美人ではあるがものすごい暴君の女子。抜群のカリスマ性があるが暴君が過ぎるため友達が少ない。太陽とは腐れ縁。
・松本 胡桃
心優しいが、一方でとても冷静沈着な女子。咲とは幼稚園からの仲。
・綾瀬 拓海
器械運動を習っていてすばしっこい。背が低いのを気にしているのでからかうと怒る。沸点が低くすぐに怒る。
・槇 琴音
名家のお嬢様であり、それゆえに抜けた行動が多い。気付いたらどこかへ消えているので胡桃に世話を焼かせている。兄弟が沢山いる。
・中澤 秋
おっとりしていて行動が遅い。ただ馬力があり、重いものも軽々と持ち上げる。
- Re: 桃瀬 咲と。 ( No.2 )
- 日時: 2016/06/27 22:13
- 名前: ミカズキ ◆Vt/gXKM8AI (ID: StvfWq.v)
ほんとうに、その日までは何も代わり映えのない毎日だったのだ。
学校で授業を受けて、家に帰って、勉強して風呂に入って寝る。
その繰り返し。
そのループを何百回は繰り返した頃だったか__そう、それは中二の夏。
その日は夏休みも間近で、それはそれは暑い日だった。
蝉は全力で求愛して、太陽は活発に紫外線を人々に浴びせていた(僕も太陽という名前であるのに、どうしてこんなにも活発でないのだろう)。
そして僕はというといつも通り、昼休み、机に突っ伏して寝ていた。
だって、出来るだけ体力を温存していたいし、こんな暑い日に動きたくないからね。
それなのに…あいつが、何の前触れもなく、話しかけてきたんだ!!
「ね、東くん」
僕の大ッ嫌いな、ものすごーく楽しそうな声で。
この声で話しかけられた時は、面倒ごとを押し付けられるときと相場は決まっているんだから。
無視だ無視。
僕が答えないでいると、そいつはバンっと机を叩いて、問答無用で続けた。
「あんた、どうせ今年の夏も暇でしょ?
そんな寂しい東くんに、私が取っておきの提案をしてあげる」
…ほら。
「こんどは何?近所のセントバーナードの散歩?それとも君のお父さんの靴磨きでもさせようってわけ?」
「そんなわけないでしょ!!」
随分イヤミっぽく言ったのに、目の前の桃瀬には伝わらなかったようで。
むしろ、僕が顔を上げたことに喜んでいるようだった。
僕は深いため息をついた。
そう、こいつはこういうやつだ。
__桃瀬咲、僕の家の隣に住んでいるクラスメイト。
容姿端麗、成績抜群、おまけに運動神経も抜群。
神は二物を与えず、なんてこいつを見てると嘘だとすぐわかる。
まぁ、欠点が無いわけじゃない。
むしろ、ものすごい欠点を彼女は持っている。…その性格だ。
自己中心的、という言葉がこいつほど似合うやつはいない。
周りにいる奴らは知らず知らずのうちにこいつに振り回される。
これは絶対なんだ。
みんな彼女のペースに呑まれていくからね。
最初は怪訝な顔をしていても、気付くと彼女の思い通りに事は進んでいってしまうんだ。
しかも、桃瀬は全く苦労しないんだ。
僕は彼女と出会って早5年程、振り回されっぱなしだ。
彼女の飼い猫、マリーを探したり、彼女の宿題を夜なべで手伝ったり__。
だから、今年同じクラスになってホントに絶望したよ。
またこいつに振り回されるのかって。
…もう直感でわかる。
また今、厄介事に僕を巻き込もうとしてる、目の前のこいつは。
もう半ば諦めた感じで彼女の次の言葉を待つ僕。
「私たちで、便利屋をやるの!」
「ああ、そう…」
だから、別にそれを聞いても過剰な反応はしなかった。
- Re: 桃瀬 咲と。 ( No.3 )
- 日時: 2016/06/28 20:52
- 名前: ミカズキ ◆Vt/gXKM8AI (ID: StvfWq.v)
「ねぇ、それだけ?
もっと違う感想はないの?」
彼女はそれが不満だったらしい。
長い睫毛をぱたぱた動かして、不満そうに首を傾げた。
「あぁ__うん、そうだなぁ…うん、うん…ちょっと、現実的じゃないんじゃない?」
「そんなことないわ。全然平気。大丈夫」
折角必死に絞り出した言葉は、速攻で切り捨てられる。
だから感想なんて言いたくなかったんだ。
「でも、便利屋なんて僕らみたいな普通の中学生が出来るはずないだろ」
「全然平気。大丈夫大丈夫」
「…お前のその自信は、どっから出てくるの?」
桃瀬は軽くため息をつくと、僕の頭を叩いた。
「つべこべ言ってるんじゃないの。今日の放課後、あんたの家行くから。
そこで説明する」
それと同時に昼休み終了のベルが鳴って、桃瀬はいそいそと自分の席に戻っていった。
…便利屋、か。
いかにも桃瀬の考えそうなことだ。
ま、せいぜい子守とか犬の散歩とかをやらされるんだろう、な。
僕の考えは、この日の放課後変わってしまった。
*
その日の放課後、僕の家のインターホンが軽やかに音を立てた。
ホントに桃瀬が僕の家に押しかけてきたんだ。
僕は玄関まで下がっていく。
まぁ、来ないとは思っていなかったから、全然大丈__。
「いらっしゃ__」
「どうもー!ゴメンねー、ちょっと人数増えちゃって」
「…なんでもう玄関にいるんだよ…」
「鍵、空いてたしー」
あっけらかんと笑う桃瀬に、僕は思わず絶句して、頭を抱えたくなった。
あと、何が、何がちょっと人数増えちゃって、だ。
お前の後ろには、四人も人がいるだろ!
しかも僕誰一人として喋ったことのある人いないぞ!
「ごめんなさい、勝手に押しかけて…」
しかも、1人女の子が申し訳なさそうにしてるだけで、あとの3人は何にも考えてなさそうに突っ立っている。
僕の家の玄関で。
「ねぇ、そろそろ部屋で話さない?私、暑くなってきちゃった」
諸悪の根源の桃瀬は、伸びをしてそう言った。
「そりゃ、こんな狭い玄関に6人でいれば暑くもなるだろうよ」
僕はため息混じりに言った。
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