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フィリアの街の、何でも屋。
日時: 2016/07/29 16:39
名前: Almisa-L (ID: QfCNiAGC)


書いたきっかけ?気分じゃい。

Almisa-Lです。昔別の名前で書いてました。多分知ってる人はいないですけど。進行ペースは遅くなる...というか書ききれるか分かりませんが、よろしくです。

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Re: フィリアの街の、何でも屋。 ( No.1 )
日時: 2016/07/29 23:49
名前: Almisa-L (ID: QfCNiAGC)

 フィリア。この世界では珍しい、住人の大部分を人間が占める、比較的大きな街。 
人間が他の種族と比べると、器用で人付き合いが上手なこともあってか、多くの街との貿易も盛んで、世界的に見ても豊かな方なので、住むには打ってつけの街だ。 
僕は、そんな恵まれた環境下で、とある女性......別に恋人とかじゃないけど、その人と二人で平穏な毎日を送っている。まぁ、何で稼いでるかはおいおい話すとして……。
あ、自己紹介がまだだったっけ?
 僕の名前はシアン。今年で15歳……だったかな、多分。

Re: フィリアの街の、何でも屋。 ( No.2 )
日時: 2016/07/29 17:17
名前: Almisa-L (ID: QfCNiAGC)

 「ほい、おつりは80センね」
 差し出された紙袋から、香ばしい香りが漂う。1、2、3......あれ?
「ミィナさん、1つパン多いんですけど......」
 頼んだ個数は3つだったはず。なのに、紙袋には4つ目のパンが無理矢理ねじ込まれていた。まるで、3つ詰め込んだあと、思い出してあと1つ加えたように。 
「それはアンタの分だよ。どうせ今回も依頼で買いに来たんだろう? 折角買ってったのに自分は食えないだなんて、可愛そうじゃないかい」 
両腰に手を当て、豪快な笑顔で言うミィナさん。
「そ、そんなの悪いですよ! タダで頂くだなんて!」 
「細かい男だねー、ほら、さっさと行った行った! こんなのそこらのオヤジにでも見られたら、あーだこーだ言われて、説得すんのが大変なんだよ」
下手な男性よりよっぽど強いんじゃないか、と思うほどの力で、僕の肩をバシッと叩くと、男らしい笑みを浮かべたミィナさんは、僕に背を向けて、キッチンの方へと行ってしまった。
——これ以上ここにいると、他のお客さんの邪魔になっちゃうな。
照れを隠すように自分にそう言い聞かせて、僕はそそくさと帰路についた。

Re: フィリアの街の、何でも屋。 ( No.3 )
日時: 2016/07/29 17:15
名前: Almisa-L (ID: QfCNiAGC)

 ミィナさんが経営しているパン屋は、日夜関係なく、多くのお客さんで賑わっている。近所に住む人も、遠くからフィリアにやって来た人も、あの香ばしいパンの香りには勝てないのだろう、お客さんは皆、ニコニコと笑顔を浮かべながら、パンの入った紙袋を大事そうに抱えて店から出てくる。他でもない、今の僕もそのうちの一人だ。
このパン屋さんを経営しているミィナさんは、40代の女性とは思えないパワフルさと、フレンドリーな性格ウリで、それらが店の評判に拍車をかけているんじゃないか、とミィナさんと会話するたびに思ってしまう。
「うちにもそういう人がいたら、もう少しお客さんが増えるんだろうけどな……」
大きな溜め息をつき、うつむいて歩く。けれど、抱えた紙袋から漂う香りのせいか、嫌な気持ちにはならなかった。


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