コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- girls hood
- 日時: 2017/10/03 22:07
- 名前: あち (ID: Mm9jHYga)
誤字脱字、変な日本語堪忍。
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- Re: girls hood ( No.1 )
- 日時: 2017/10/03 22:25
- 名前: あち (ID: Mm9jHYga)
「転校します」
「は?」
「…何か?」
職員室で椅子にふんぞり返って座る顧問に告げた。平然と。あまりにも芒ぞるせいで、椅子が金属音で悲鳴をあげている。ハゲデブ野郎と生徒から言われる数学教師、加志田中バド部顧問·無田岡。
「いきなり、言われてもねぇ…」
「明日には母が届け出に来ますので、一応お世話になりました」
「い、いや!別にさぁ、転校までしなくてもいいじゃない。そんなにやってる訳じゃないんだし」
これで最後だから何言っても大丈夫だ。高嶺あいは真顔で口を開いた。
「中学からバド始めたっていっぱいいますよ。上手い子。地区で勝てないような、部活…いや、同好会、ただの集まり以下の場所で、私に練習しろって言ってるんですか?無理ですよそんなの。ろくにラケットも握れない男大好き猿以下たちといても、困ります。ほかの学校から笑われます。ハゲ顧問のことも部員のことも」
職員室が凍りついた。学年主任が注いでいたコーヒーは床に零れている。
「とりあえず、退部届けです。ありがとうございました」
そう言ってあいは職員室を出た。着ていたTシャツにはでかく、オールジャパンジュニアと書かれている。
- Re: girls hood ( No.2 )
- 日時: 2017/10/03 22:42
- 名前: あち (ID: Mm9jHYga)
教室に戻り、ラケットバッグを背負いなるべく誰にも会わず校門までたどり着く。校庭ではサッカー部がコーンを並べ、走り込みをしているのが見える。統一感がある練習風景だな、とただ感じた。ただ一人でゴール脇に、ポツンとボールを蹴り続ける男を除いては。
足元にサッカーボールが転がってきた。校庭に投げ入れようとしたが、転がした本人が走ってこっちにやってきた。
「転校すんの?」
畑岡恭平。中2のくせに身長が175ある。小麦色の肌と、時たま染めたと勘違いされる茶髪に近い髪。割りと爽やかだが、愛嬌者というよりただの糞ガキ。田舎から出てきた糞ガキ。
「うん」
「寂しくねーのや?」
「自分から転校したいって言ったから、希望が通ってむしろ嬉しい」
「…そうか、俺も嬉しいわ」
恭平、通称はキョンちゃん。キョンちゃんは嬉しいのか対してあいに興味がないのか、それとも寂しいとかあるのか知らないけど。サッカーボールをひろいあげて校庭に、戻っていった。
あいは普通に人間と話す感覚だった。なんでアイツハブっぽくなってるんだっけ。あ、怪我してたんじゃないっけ、足首。なんとも印象の薄い、曖昧な記憶を頼りながら学校を後にした。
- Re: girls hood ( No.3 )
- 日時: 2017/10/04 22:06
- 名前: あち (ID: Mm9jHYga)
今日はお別れ会。皆、放課後まで一緒にいてくれている。特に、久連谷流美の隣にいるのは浜野裕之介。
「本当に引っ越しちゃうんだね」
「…うん」
「嫌だな、俺は」
残暑が残る教室では、黒板に書かれた無数のメッセージ、イラスト、紙の装飾が施されている。窓際に身を寄せる二人。
「お二人さんアツアツですなー」
別れを惜しむクラスメイトにそう言われるのも悪くない。彼女は思った。
「でも、応援するよ。髪型も似合ってる」
長かった髪をバッサリ切って、結べない長さにした。スポーツ刈りでなくショートにして、バドミントンをする上で邪魔にならない髪型へ変わった。
「皆で写真撮ろー!」
誰かが言って、黒板の周りに人が群がった。
「大好き」
裕之介が混み合う中で呟いたのが聞こえた。流美は、自分が世界一幸せなんじゃないかと感じた。
- Re: girls hood ( No.4 )
- 日時: 2017/10/06 19:34
- 名前: あち (ID: JbG8aaI6)
県唯一の村であり、村内唯一、いや県唯一の村立中学に通っている。七五三ヶ丘中学校。
学校の周りには、田畑と小学校が併設してあり、殺風景。針葉樹と森のオンパレードである。あぜ道には毎朝たくさんの児童、生徒が通る。
「ねー、ヘルメットいらなくね?」
嶋岡有咲は自転車を漕ぎながら登校。ヘルメットにラケットバッグを背負ってかなり窮屈そうである。かなり可愛い顔立ちと天パが印象深い。
「指定カバン意味ないしー」
こちらはストレートな黒髪で、宮河まゆ子と言った。地味な見た目に寄らず、おバカである。ちょっと頭が悪いかも。
「まぁーそんなこと言ったってしゃーないよ」
優しい目付きで二人を諭しながら、自転車を先行して漕ぐのは、柳ヶ瀬未有。ショートカットで足が長く、鼻歌をうたいながら自転車を進めている。
「流美とあいっていつから来んの?」
「1週間後〜」
「つか、あいが来るとは思わなかったな」
「それな!なんてか、流美に至ってはリア充だからね」
有咲とまゆ子は互いに頷きながら自転車を降りた。校門に差し掛かった。
「部長嬉しそうだね」
有咲に部長と呼ばれた未有は文字通り笑顔だった。未有は列記とした、七五三ヶ丘中学バドミントン部部長なのだ。
「んふふ〜」
- Re: girls hood ( No.5 )
- 日時: 2017/10/07 17:12
- 名前: あち (ID: Mm9jHYga)
荷物はダンボールにまとめた。役所や住民票の手続きも大体してある。
もうすぐ午後6時を回るので家を出て、練習に行こうかと思う。流美から今日は遅れる♥とLINEが来たので、マイペースに準備を進める。友達と楽しくお別れ会か…とかなんとか非リアな私には関係ない。
「あい、もうこっちで練習するの最後なんだから、お母さんも行くから」
母と車に乗り込む。
お別れ会とか、さよならとか、別にどうでもいい。そもそも皆、私が転校したって寂しいとか悲しい分けないし。
「あんたがいるせいで部活楽しくないのよ」
…そうだ。
そうだよ、そうに決まってる。
日が短くなってきたのがわかる。車の窓からぼんやりと道路を眺めていた。
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