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俺のペットはアホガール 小話ストック
日時: 2017/11/20 18:29
名前: 雪姫 ◆kmgumM9Zro (ID: WwlU5OLB)

メモかわりに小話をためるスレ。

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Re: 俺のペットはアホガール 小話ストック ( No.1 )
日時: 2017/11/21 14:10
名前: 雪姫 ◆kmgumM9Zro (ID: 51us8LMs)

「情熱的な赤い薔薇」
~薔薇はお好きかしら~








冬の風が頬を撫でるある日、狐につまめられたか、白亜色の西洋の城のような造りの建物の前に呆然と立ち尽くしていた。……いや見知らぬ建物だが住人は知らなくはない。

ここはホニャララ町を陰から支える裏ボス的な組織的な財閥、水仙時財閥の凄すぎる豪邸だ。
広すぎる庭には満開に咲く情熱的な赤い薔薇が見える範囲一面に咲き誇っている。……逆に引く光景だ。

俺ホニャララ高校3年生徒会執行部所属している玄武 巌はクラスも違う、大して仲が良いわけでもない、水仙時財閥の一人息子の水仙優雅に「僕様の家で一緒に遊ばなきか?」と下校する前突然誘われ、考える暇もなく「そうかいっ。来てくれるのかい!」と屈託のない嬉しそうな笑みの水仙時の黒光りするリムジンに乗せられ、実家へ連れて来られたというわけだ。……本当に何故俺は連れて来られたんだ。

「ささっどうぞなのだよ」

先を歩き遠慮せずにと言う水仙時。……人の家に来るのでも緊張するのに、財閥のぼっちゃんの家だとさらに緊張するぞこれはっと心の中で突っ込んでおくか。

執事が玄関のドア……というよりデカいから扉か? を内側に開くと

「お帰りなさいませ。優雅坊ちゃま」

「うん。帰ったよ皆」

出迎えるのは一列に整列したメイドや執事たちだった。……金持ちの定番ネタだな。
華やかな装飾。高い天井には大きな金色のシャンデリア……キラキラ光っている石はダイヤモンドか。
遥か遠くまで続く赤い絨毯。正面にある階段の先にある壁には立派な髭を生やした爺さんの大きな自画像が飾られていた。……初代水仙時当主とかか?

「優雅ちゃんおかえりなさぁい」

「おう戻ったか優雅」

「母様! 父様!」

玄関前で呆然と啞然と立ち尽くしていると肖像画が飾られている上へと続く階段から二人の男女が下りて来た。……水仙時の反応から察するに親御さんだろうがな。

「まあこんなに顔を赤くして……お外は寒かったのね」

下りて来てすぐに息子の頬を温める母。……初対面だがなんとなくわかった。この人親馬鹿だ。

「それはいかん。優雅が風邪を引いたらどうするのだ」

下りて来てすぐ息子に温かい飲み物と温かい風呂をメイド達に用意させようとする父。……初対面だがなんとなくわかった。この人親馬鹿だ。

「あら?」
「おや?」

ずっと可愛い息子に夢中だった水仙時のご両親と目が合った。……合ってしまったか、このまま何事もなかったかのようにしれっと帰ろうと思ったのだがな。

合ってしまったのなら仕方ない。一応挨拶しかないだろう……だがなんと言えばいい、俺と水仙時は知り合い……でもないぞ?

生徒会執行部の会長である、高浜になにかと絡み、同じく生徒会である後輩の朱雀に必要に絡み、同じく生徒会で同じくクラスの翡翠にぶん殴られている姿をよく目撃している者です。……それくらいしか思いつかいぞ。

とゆうより、このままだと息子は学校でどんな目に合わされているのだとモンスターペアレントが生まれそうだ。……危険だ。

「僕の友達の玄武巌君だよ。母様、父様」

は? と出そうになった言葉を慌てて飲み込んだ。
まあ俺も友達は多い方じゃない。水仙時が俺の事をそんな風に思ってくれていたのは驚いたが嫌な気持ちにはならない。……むしろ嬉しい?

「まあまあ」
「そうか優雅についに友達が出来たか!」

パァアと満開の花が咲いたような笑みの水仙時の両親。……どれだけ友達がいなかったんだ、こいつは。

「……ようございましたな。坊ちゃま」
「はっ!?」

後ろを振り返れば、リムジンを運転していた初老の執事がハンカチを取り出して大号泣しているじゃないか。……よく見れば他のメイドや執事たちもだ。
どんだけ心配されていたんだ水仙時。……俺はここまで酷くは……ないはずだ。

「巌ちゃん」

水仙時の母が俺に近づき手を握りしめた。……ほのかに花のいい香りがする。

「これからもうちの優雅ちゃんをヨロシクしてあげてくださいね?」

「は……はぁ?」

ん? ヨロシクして下さいね? 仲良くすればいいということでいいんだよな、……友として。

「良かったじゃないか幼馴染の終くん以外にも男友達が出来たじゃないか! 漢はいいぞお」

何故だ。……水仙時の父が俺を見る目がおかしい。

「うふふ……細型草食系の優雅ちゃんが肉食系ガチムチのゴリラに……じゅるり」

何故だ。……水仙時の母が俺を見る目がいやらしい。

「ふふふ」

何故だ。……メイド達が俺を見る見る目が熱を帯びて生暖かい。

水仙時の母が俺に言ったあの一言が頭の中に蘇ってきた。

『優雅ちゃんをヨロシクしてあげてくださいね?』

なんとなく感じた違和感の意味が今なんとなくわかったような気がした。……もはや後の祭りという奴だけどな。

「うふふふふ……」

merry Christmas ( No.2 )
日時: 2017/12/01 09:42
名前: 雪姫 ◆kmgumM9Zro (ID: hr/PPTT1)

~次は必ず~






 12月。世間はツリーやイルミネーションの飾りつけをしれクリスマス一色で浮かれてモードで正直言ってうざい。

——クリスマスなんて大嫌いだ。

 そう少女は吐き出すように言うと小石をサッカーボールのように蹴り飛ばしながら家路へと帰宅した。





***

 太陽の日が真上に昇りやっと暖かくなってきたがコートとマフラーの防寒具を手放せない寒い冬の日だと言うのに

「メリークリスマス!!」

 茶下いPコートに短パン(生足)で腕を空高く掲げ商店街のど真ん中ではしゃいでいる少女が一人。
彼女が飛び跳ねるたびにツインテールで結んだ橙色の伸ばした髪が揺れ、星のマークが入った瞳は爛々とした輝きを見せている。

「あっくんあっくん、クリスマスだよ!!」
「そうだな」

 背後から近寄って来たのは黒髪の悪魔のような不愛想な少年だ。
毛糸のニット帽にマフラーで怖い顔の半分を隠し、分厚コートのポケットに手を突っ込み足元は黒いニーハイブーツで完全防寒の装いだ。

「嬉しいなー、今年もあっくんとクリスマスが過ごせて♪」

 とろーんと、とろけるチーズのように頬を緩ませにやけた顔をする少女の隣までやってきた少年は不満げな表情で

「今年もお前と一緒に過ごせて最悪なクリスマスだよ」

 そう毒づいたのだが少年の毒は少女にとって

「えへへー」

 只の栄養ドリンク的な作用にしか働かないようだ。
とろけるチーズだった彼女の顔は液体状になったスライムのようにネバーとしたものとなっている。
 
 あえて言おう、気持ち悪いと。

「つーか」

コートのポケットの中からスマホを取り出し電源を入れる。

「クリスマスってはしゃいでるが、まだ一週間もあるじゃねーかよ」

 指紋認証でロックを解除しカレンダーのアプリを開き今日の日付とクリスマスの日付を確認してみた。
今日は12月17日の日曜日、クリスマスがあるのは一週間後の12月24日または次の日の25日だ。

 一週間も前からよくそんなにはしゃげるな、と少年は呆れたように息を吐いた。その息は雪のように真っ白かった。

「なに言ってんの、あっくん!」

 寒さで赤くなった頬を河豚のように膨らませて少女は語る。

「クリスマスまであと一週間しかないんだよ!? クリスマスが終わったらすぐに大晦日がきて今年が終わってお正月がきて来年になっちゃうんだよ!?
 一日なんてあっくんが考えている以上に早く進んじゃうんだよ!!」

 わかってる!? と、般若みたく迫力の顔を近づける少女に

「うぜーーー!!」
「んぎゃああああ!!!」

 頭の頂点に向かってチョップをお見舞いした。
柔道経験者のチョップだ。瓦を一撃で十枚ほど割れる達人のチョップを喰らったのだ、一般人がそう簡単に立ち直れるわけが……

「もおー痛いよ。あっくん」

 ないのだが、彼女は一般人では無い為大事には至らなかったようだ。

 叩かれた頭を優しくさする少女を見て少年はチッと舌打ちをすると

「次はビール瓶で殴るか」

誰に言うわけでもない怖い独り言をぼそりと呟いた。







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