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本恋
日時: 2018/04/08 22:59
名前: 阿澄ろあ (ID: CwTdFiZy)

俺の名前は、高橋蒼太。フリーターをしている23歳だ。割といい大学を出たのにも関わらず就職をせずに学生の時から続けているカフェのアルバイトをしている。そこのカフェの常連の女性に恋をした。彼女は、ほぼ毎日きて同じものを頼み、2時間ほど本を読んで帰る。色白でかわいくて、本当に天使のような女性だ。

「おい、蒼太!ボーっとしてないでちゃんと仕事しろよ!」
「あっ、すいません。」
「蒼太あの常連さんのことが気になるのか?」
「えっ、別に...」
「なんだ図星かよ。でもあの人だけはやめとけ。かわいいくせに愛想ないし、それにほぼ毎日カフェで毎回同じもの頼むって普通じゃないだろ」
「そうなんですか...」
「ここだけの話、あんなにかわいいもんだから今まで何人もの先輩が話しかけたらしいけど全部無視されたみたいだし...」

人のことを無視するような人には見えないし、先輩にもばれたことだから俺も明日話しかけてみよう。

次の日常連さんが来た。いつものようにメニューのカフェラテを指さす。

「いらっしゃいませ。カフェラテおひとつですね。」
「いつもありがとうございます。本お好きなんですか?」
彼女は返事も返さず、俺のほうを見ようともせずに席に向かった。
やっぱり先輩の言う通り不愛想なんだ。話しかけるんじゃなかった。
学生時代は、結構モテてたし彼女が途切れたことがなかったから、まさか自分まで無視されるとは正直思ってもみなかった。
「ほら、言っただろあの子もったいないよな。せっかくかわいい顔してるのに。」
「一言くらいは話せると思ってたからまじでショックですよ...」
「まあ蒼太ならいくらでもかわいい子つかまえられるっしょ!次行こ次々!」

閉店作業をしていると、椅子に財布が置いてあった。そういえば彼女が座っていた席だ。
中の身分証明書に“金子さき”と書いてある。あの人さきさんっていうんだ。
無視された後にまた話かけるのやだな...なんて考えていると、ドアがたたく音がした。
「すみません。財布落ちていませんでしたか?」
スラっとしてかっこいい男性が閉店後の店内に入ってきて言った。その隣に彼女もいた。
あんなにイケメンな彼氏がいるなら無視されるのも無理はない。
「これですか?」
「あっそれです!よかったなさき。」
彼女のほうを見て男性がジェスチャーみたいなことをしている。

その時彼女が無視していた理由がようやくわかった。彼女は、耳が聞こえなかったのだ。
「ここのお店かなりお気に入りみたいで毎日のように通っているっぽくて...ほんとにありがとうございます。」
彼女も口パクで「ありがとう」と言ってくれた。
「少し抜けている妹ですがよろしくお願いします。」
「はい!」
彼氏じゃなくてお兄さんだったんだ。

次の日、さきさんがいつものように来た。カフェラテを頼む。
「いつもカフェラテで飽きませんか?」
メモ帳に書いて見せた。
「そろそろ違うのが飲みたいです。笑」
彼女が俺の書いた文字の隣に書いた。
「期間限定のシェイクがおすすめです。」
「それでお願いします。」
彼女と初めてコミニュケーションをとれたのがうれしかった。





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