コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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ナーハフォルガー 明は闇を求め闇は明を求める
日時: 2018/06/25 00:48
名前: アキレス腱は寝ている間に切れていた (ID: 9Mczrpye)

    序章   出会い




「…ほれよっと」

 視界のきかない暗い洞窟の中、水の滴る音と足音の反響だけを頼りに赤茶の髪の小学生程の身長の青年は禍々しい模様の入った短剣を片手に百はいるであろうモンスターの群れを相手にしていたモンスターの中には炎を吹くもの、軽く十数人は貫通させれる程の尖さの氷を生成し飛ばすものからアンデッド系統そして翼竜までもが青年を囲んで攻撃をしかけていたしかし青年は別に苦労してるわけでもなく短剣で寄って集るモンスター達をひょいひょいと捌いていくモンスターの群れを短剣片手で軽く潰していく青年には光の無い洞窟で微小に光る白銀の十字架のイヤリングが小刻みに揺れている

(……終わりかな?)

 モンスターの群れを倒しきったことを無音の洞窟から確認すると短剣を鞘に戻し洞窟を出る、洞窟の外は暗く森の生物は殆ど寝ているようだった

「さてさて町に戻るかね?」

ハイレベルのモンスターを狩りに行ったにしては汗ひとつ染み込んでない服を夜風になびかせて小柄な青年はそこをあとにする。洞窟で微小に光っていたイヤリングは月明かりに照らされて綺麗に輝いていた
____________________

(……またか………)

 白い空間に浮かんでいた 体は動かない。動かそうにも力が入らない。ただ不思議と不安になるわけでもなかった逆に心地よいくらいだ昔から知ってるような暖かさと安心感がそこにはあった

(そろそろ……か…)

 少しの名残惜しさを感じながらも瞼を閉じる
____________________

 カーテンの隙間からさす日の光で目を覚ます。暑さ残る9月中旬まだ朝の蝉の鳴く声が五月蝿い時期、重たい身体をベッドから起こし汗だくのシャツを着替えながら部屋を見渡す

(そーいや結局ない金使って宿に泊まったんだけか、値段にしては汚いよなこの部屋…)

 新しいシャツに着換え愛用の短剣を慣れた手付きで手入れし腰のベルトに繋げてる鞘に仕舞う丁度お腹が空いたなと壁に掛かった時計に目をやると短針はもう昼飯時を示していた

(昨日は狩りに遅くまで洞窟に籠もってたからな、そりゃそうか)

 昨日の狩りで別に攻撃を喰らった訳でもないが青年の身体には昨日までには無かった黒い痣のような模様のようなモノが左胸から四肢に向けて広がっている、痛みがあるわけでもないので気にしてなかったがこの宿についた時何時もなら荷物の手入れをして風呂に入ってから寝るのだがその日は妙な発汗と短剣を持っていた右手の痺れと異様なまでの眠気にベッドに入らずにはいられなかった

(おかしなこともあるもんだな、アンデッドいたしリッチでもいたのか)

 少し唸っていると昼飯の合図と言わんばかりに青年の腹から音がなる。青年は腹ごしらえにと昨日は時間の都合で閉まっていた飯屋に町を出るがてら寄るためにしたくを済ませる、荷物を忘れてないか部屋を一通り見渡し忘れ物がないのを確認すると時計をもう一度見る、昨日確認した開店時間通りならとっくに店は空いてるようだ。青年は部屋をあとに出入り口用の木製のドアを体重ごと前に圧して押す
   
     バキン!
「えっ???」

 ドアは予想外にも軽く重たいと記憶していた青年はかけていた体重のかける所が無くなったことにより前に外れたドアと共に前に倒れる

「あの?大丈夫ですか?」
「あ…すんません大丈夫です」

 倒れた身体を起こし声の主の方向に顔を向けるとそこには

「えとえと大丈夫ですか?」

 可憐なシスターがそこにはいた
 青年には迷いがなかった、そくざにシスターに右手を差し出し明鏡止水を連想させる濁りの無い真紅の眼差しで

「結婚してくれ」
「え!えとえと…こ、困ります///」

 シスターはいきなり面識の無い人間からのプロポーズに赤くなり下を向きながら青年のプロポーズを丁寧に断るしかし青年はそれでも右手を引っ込めなかった、この美少女シスターを今妻にしなければ今後ずっと後悔することになると本能が告げている。男は時には本能に従わなければいけない時だってあるはずなんだ今がそれなんだ!
 青年は右手を引っ込まずにシスターをじっと見る、金色のミディアムにこれぞ女性!という究極の曲線美そして困りながらもニコニコ笑みを浮かべるその姿は女神以外の何者でもなかった

「……とりあえずドア直しましょうか」






       序章   出会い END




____________________
      作者から皆様へ
 今回の小説は笑いあり?涙あり?の長編となります。亀の子投稿となります故読者の皆様にご迷惑をお掛けすることご了承下さい。初投稿の序章は短め2000文字前後となっております


Page:1



Re: ナーハフォルガー 明は闇を求め闇は明を求める ( No.1 )
日時: 2018/06/25 17:55
名前: アキレス腱は寝ている間に切れていた (ID: Tf5VGYTU)

1話 旅の始まり


 青年の愛の告白は失敗に終わった。しかしそれのおかげか青年の涙と共にドアの修理は1時間と掛からず終了した

(クソ!絶対ぇぇぇ俺の嫁にするからな!)
「お、終わりましたね」
「ありがとう手伝ってくれて」
「い、いえ大丈夫ですよ。あそうだ」

 シスターは何かを思い出したかの様な表情をしある手紙を手さげのバッグから出しそれを青年に渡した

「私の名前はエルニア;レニンと言います気軽にエルとでも及び下さい」
「おう!エルか、俺はブレン;ロスベルド俺のことはブレンとでも呼んでくれ」

 ブレンは「ニカッ」と笑うと握手をこう様に右手を差し出す、エルニアは「ブレン」という名前を聞いて一瞬表情が曇ったがすぐもとに戻りブレンの握手に応じるエルニアの綺麗で色白な手とは反しブレンの手は大きく傷だらけで傷自体は手だけではなく服から覗く体全てについている新しい傷から古い傷までびっしり

「凄い傷の量ですね」
「長年1人旅だかんなコレくらいつくよ、てかこの手紙何だ?」

 ブレンはエルニアから渡された手紙を見ながら問う

「この手紙は聖騎士の皆さんが主に所属する【月下の教会】の総大司教ラズレイン様がブレン様当てにコレを渡すようにと」
「………へぇ」

 教会名と総大司教の名前を聞きブレンが表情を陰らせた教会に嫌な思い出でもあるらしいブレンの手紙の封を開ける両手からも教会等に対しての嫌悪感が伝わってくる

「________なるほどな…ていうかこの手紙を読むとエルは俺の名前すら教えて貰って無いだろう、どうやって教会本部のある街から探せたんだ?」

 ブレンの瞳には少し不信の想いが込められている 

「はい総大司教様はブレン様の名前すら教えてくれず私は写真と目撃情報だけを頼りに何日も探してやっと3日前この町周辺の洞窟に赤茶の髪の小さい子が夜遅くまで連日通っていると町の人に聞きました。そして昨日隣の部屋に写真と同じ容姿の方が部屋を借りたので明日、今日ですね声をかけようと思ったんです」

 少しばかりブレンはエルニアの目を覗きそれが嘘じゃないとわかるとブレンの濁った表情は笑顔に変わり手紙を懐にしまう
___
「っうし!じゃあエル時間もあんまりねーし教会に向かうか!」
「は、はい」

 ブレンとエルニアは立ち上がると荷物を抱え宿屋で軽くご飯も取らず近くにある駅に走る

____________________

 数分走ると駅に着き息の切れてるエルニアにブレンは駅に着いたときに買った水を渡し自分は電車の着時刻を確認する

「あと数分で着くな最短距離で走って良かったわ」
「ブ、ブレンさんのおかげで何とか間に合いましたぁ」

 そう言うエルニアの修道服は所々砂埃で汚れていたり小枝に引っかかったのであろう傷が付いていてブレンが先導きって走った道がどんな道なのか見て安易に想像できる

「それにしても教会に呼ばれる日が来るとはねぇ」
「手紙に何が書いてあったんですか?」
「着いたらわかるよ、それよかその修道服を見るとエルって案外位は高めなんだろ?下の奴ら使えば1人でも数日で見つけたんだすぐ見つかっただろうに」

 エルニアの着ていた修道服は確かに【月下の教会】の上位の人等が身に着ける修道服でさっきで汚れはしたが確かに胸元のペンダントを見るとエルニアが位の高い者であるのは確かだ。しかし

「あ、いえコレは借り物で一時的に上位者の方から借りてるだけなんです」
「そなのか?」
「はい、総大司教様が『これを身に着けとけば探すのには時間を要さない』って、まぁ確かに情報を聞き出す時には大変役立ちましたが…なので私は上位者ではありませんよ」

 エルニアは手を振って違うと意思表示させて言う

「わかった、アイツのやりそーなことだ」
「アイツ?」
「いや何でもない」

 それから駅に電車が到着するまでエルニアとブレンはブレンが「せっかくだから」と他愛の無い日常会話を始めた、すぐに電車は到着し車内に入ると対面式の席に座りそこでも昔からの友人のような雰囲気をただよせて他愛の無い会話を繰り広げる

『ご乗車ありがとうございます___間もな_致します』

 アナウンスが終わり数秒後音も無く発進する

____________________

「___ん、寝てたのか」

 いつの間にか寝てたらしい窓から見える空は今から夜を告げるようにオレンジ色だ

(それにしても裏切り者の俺をまだ教会が頼りにしてたとはな、まぁあの内容じゃ頼りにしてるというか犬になれと言われてるもんだが)

 窓の枠に肘を乗せ頬づえをしながら正面で軽く小さな寝息をたてているエルニアをボーっと見つめる、その視線に起こされたのかエルニアは目を覚ます数秒ボケーっとした後慌てた風に

「すいません寝てました!?」
「ぐっすり」
「うぅ…///」

 寝顔を見られた羞恥心からなのかエルニアは顔を赤くしてうつむく

「俺も寝てたし大丈夫だよ」
「そうじゃないんです///」

 エルニアがそう発した瞬間だった

 ドゴォォォォォォォォォォンンンン!!!!

 電車が大きく揺れそのまま減速していき止まる

「いきなり何です!?」
「たく幾らここがモンスター出現区域だからってこんな大物出てくるなんてギルドに所属してる奴らが喜ぶぞ?」

 ブレンは変わらず窓の枠に肘を乗せ頬づえをしながら窓の向こう側にいる電車を止めた主を見つめながら言う

「全長30メートル越えのスケリトルドラゴン感応種なんて」

 赤黒い骨の体のスケリトルドラゴンは片足で電車を踏み止めブレンを何秒か見つめた後耳をつんざく程の雄叫びをあげる

「おい!エル安全な所に逃げろ」
「え?ブレン様は」

 ブレンは頬づえをしながら口角を「ニィ」と笑みを浮かべると立ち上がり腰の短剣を抜く

「1分で片付ける……あと『様』付けはやめろって言ったろブレンでいい」

 瞬間ブレンの身体がその場から消え次はブレンの身体はスケリトルドラゴンの眼前に現れる

「おもしれーな!久しぶりの大物だよ、ま雑魚には変わりないけどな」

 そしてスケリトルドラゴンの体が地面に叩きつけられそこから起き上がることは無かった

「弱いんだよ、お前が幾らいようと足止めにも時間稼ぎにもなんねーよ、あ食料にもな」

 短剣に着いた埃や骨カスを息で飛ばし鞘に収める

「……………………凄い」

 その姿を見たエルニアにはその言葉しか発せれなかった

「ここから歩きだけどいいか?」
「あ、はい」

 西日に照らされるブレンにエルニアは何故か懐かしさを感じた

「うし!行くか」




    1話    終わり
 


Re: ナーハフォルガー 明は闇を求め闇は明を求める ( No.2 )
日時: 2018/07/11 23:37
名前: アキレス腱は寝ている間に切れていた (ID: cqX79mXG)

       第2話 時間が無い






 ブレンとエルニア2人を乗せた電車をスケリトルドラゴンという予想だにしなかったモンスターに運転車両を破壊され歩きという方法を強いられたブレン等はモンスター出現区域の荒野ど真ん中に火を炊いて明日の出発に備えていた

「貨物車両に食料沢山あって良かった」
「ですね朝から殆ど何も口にしてませんし」

 2人は火を挟んで向き合うように座りながら貨物車両に置いてあった肉やらパンやらを食べる

「さっきは凄かったです!スケリトルドラゴンを一発でしかも感応種なんて接触禁止魔物なのに私ブレンさんのこと今凄い尊敬してます!」
「ほっか?ふふーはろ?〈そっか?ふつーだろ?〉」

 スケリトルドラゴンを倒したブレンに対し尊敬の眼差しを向けるエルニア
だが当の本人は肉を頬張りながらエルニアがあそこまで尊敬の眼差しを向けることが嬉しいではあったがわからなかった

(何が凄いんだろう、スケリトルドラゴンなんて弱点の頭に1発かましたら終わりなんだけどなぁ)

 だが一目惚れした相手に尊敬されるのはやっぱり嬉しくて無意識に頬が緩む

「どうしたらあそこまで強くなれるんですか?」
「うーん別に何もないんだけどな」
「でもでも、あの強さは私あまり見たことありませんがパラディン《神聖騎士》レベルだと思います!」

 エルニアはやや興奮気味にブレンに言う、火に薪を加えながらそんなエルニアを(感情豊かだなぁ)とブレンはエルニアのブレンに対する賞賛の意を聞いていた

「ありがとなエル」
「え?あ、はい//」

 いきなり感謝の言葉をかけられるとは思っていなかったらしく先程までの熱はどこえやら次は違う意味でエルニアの熱があがる
 ブレンはそんなエルニアを視界から外し星と月だけで輝いている空を見上げる、月はもう真上近くにあり夜が深くなっていることを示している

「エル明日は早くから出発するからもう寝ろ大丈夫襲われないように俺が起きとくから、ホントは眠いだろ?」
「ブレンさんは寝ないんですか?」
「いいよホレタオルケット」

 エルニアはその後横になりながらブレンに寝なくてホントに大丈夫かと幾度となく聞いてきたがブレンが首を横に降りとうとう睡魔が限界を達しエルニアは瞼を閉じた

(ホントなら結界はって寝れるんだけど万が一ってこともあるしそれにエルの前じゃタバコも吸えんしな、ここは夜空がキレイだ)

 満点の星空を見ながらブレンは懐からその子柄な容姿に似合わぬタバコのケースとライターを取り出しエルにタバコの煙がいかぬ様にそっと風下で吹かした、煙は白く風につれられそっと消えていった
 そしてタバコが切れかけ暗かった夜空の向こうに徐々に光りがさしていき空が青と紫、オレンジの3色になった頃エルニアが小さな欠伸をして起きる

「……おはよーございますぅ」
「おう、おはよう」

 エルニアの目は半分しか開いておらず口調もゆったりだ

「も少し寝てていーよ。あともーちょい時間掛かりそうだし」
「あ、大丈夫です起きときます」
「そうか?わかったスープ急ぐからよ!」
      
 ブレンは貨物車両にあった食材を慣れた手付きで同じく貨物車両に置いてあった包丁で切っていき片手鍋に流し込みコトコト煮込む、そして数分後味付けは塩コショウと鶏肉のダシでとった野菜スープとパンをエルの前に出す

「さ、どーぞ」
「いいんですか?」
「おう!俺はこれしか作れんしな朝はこれで目が覚める」
「ありがとうございます」

 エルが差し出されたスープをスプーンですくい口に流す

「ッ!?」
「どーだ?不味いだろ」
「い、いえ大丈夫です全部食べ、ます。美味し、いです、よ?」
「いーって無理せんでも」

 無理に口に流し込もうとするエルを必死で止めて水を渡す

「す、すいません出されたのに食べ切れなくて…」 
「いーってそれよか不味かったろ?」

 笑顔で問うブレンにエルニアは苦笑いしながら

「えとー今まで食べたこと無い凄い味でした」
「アハハそうか!」
「ご飯は街に着くまで私が作りましょうか?」
「それがいいな!」

 ブレンのスープで目を覚ましたエルニアは食器を洗う

「ほへーエルって水魔法使えるのか」
「あ、はい私の得意とする魔法が回復系と水魔法使なので」
「んじゃあ万事水変魔法とか使えるのか」
「い、いえ!そんな高等魔法はお恥ずかしながら……」
「となると今何もない所から水を出してんのは空気中の水分掻き集めてやってるってことか」
「はい、使い過ぎるとそこら辺一帯が干からびるのであまり使いませんけど」
「ふーん」

 食器を洗い終わり2人は荷物をまとめ荒野を進んでゆく、朝とはいえ太陽の日差しを遮るものが無い荒野ではその日差しでさえ暑く感じてしまう。時折エルニアの体を気づかうブレンが休憩を挟もうとエルニアに問うがエルニアは首を横に振り続け修道服という歩きにくい格好でありながらその歩きを遅めることは無かった。出発地点から東へ2時間ほど歩いた頃足元の土はひび割れた枯れ土から水分の含む土へと変わり緑も多くなり始め森へと2人は入った昼前なのに随分と薄暗いところだがレールを伝って歩くとなると道はここしか無く仕方なく進んでいく

「ず、随分と気味悪いとこですね」
「うーん、まレールあるんだし大丈夫だよ森で迷子なんてまず有り得ないから」
「そ、そうですけどやっぱりモンスターとか出ますよね」
「だな」
「うぅーモンスターは苦手です」

 木漏れ日のさす森をレールを目印に歩きながらモンスターが現れないことにエルニアは安堵しブレンは違和感を感じていた

(何でモンスター出現区域の森の中央部でモンスターが出ないんだ?魔除けのルーンは今効果切れていて使いモンにならないから出てくる筈なんだけど)
「モンスター出ないですね、良かったぁ」
「あ、あぁそうだな良かった」

 森に入った時から感じる不特定多数の視線と先程からブレンが感じる殺意とは違う別の何か、ブレンは歩みを進めて行くうちに違和感は確信へと変わりモンスターが現れない訳も何となく察した

「ここまでやるなら、お前らがこればいいのに」
「どうかしましたか?」

 エルニアが心配そうにブレンの顔を覗く

「んにゃあ何でも無いよ」

 帯刀している短剣に添えていた手をブレンは警戒心を解くと共にポケットに突っ込む、普通モンスターの出る森では自殺行為のバカの所業だが今はあいつらがいるので別に気にすることは無いだろうレールを目印に歩いてたおかげで森は最短ルートで抜けられそこからは地面は舗装されており石畳だった街が近いことを示しておりその証拠に数十メートル先には遠くからでもわかる程の大きさの外壁と門があった

「毎度思うけどここまでの大きさで壁に囲まれてるなら街じゃなくて国だよな普通」
「仕方ないじゃありませんか、教会本部があり中央都市でもあるのでそれだけ人が集中します結界壁でも守られてますが外はモンスターがいますから」
「まぁ住んでる人からしたら嬉しい限りってことか」
「そうなりますね」

 街は海近くにありそこから流れる海水に囲まれてるので行く為には今ブレン達が立っているところと街を繋ぐ橋を渡る、橋も石畳で横幅はだいたい30から40メートルの長さ70ちょっとで凄い時間とお金、人を使ったことがわかる

(すんげーよなぁ、ここだけ感動するわ)
「さ、行きましょうか総大司教様がお待ちですよ」

 エルニアは太陽にも負けないほどの笑顔でブレンの手を引き、橋をかける
 橋を渡り終わると先程までの気配はスッと消え手続きもしていないのに門が開くやはり先程までの気配は総大司ラズレインの手配だったらしい

「さーて教会いくか」
「道わかります?ブレンさん」
「おう」

 門をぬけるとここが中央都市だと言わんばかりに街は賑わっていた、道の両脇には大きな店や小さな店それこそ色んな物を売っていて物には困らなさそうだ路上ではアイスクリームやポップコーンを売っている者芸を披露する者や街を警備している警備隊や買い物客、デートを楽しんでいるのだろう若いカップルや子供連れの夫婦に散歩を楽しんでいる老人みているだけでこちらが楽しくなってくる

「賑わってるな」

 ブレンはそんな光景を目に優しく微笑んだ、ただブレンの目にはその光景は写っては入るが見ているものは遠い過去のようだった

「てか、結局エルの手料理食えんかったなぁー」
「総大司教様との件が一段落ついたら私の家で振る舞いますよ」
「エルって結構……いや何でも無い」
「??」

 ブレンはエルニアと教会に行くために街の中央に通じる道を歩くがてら総大司教の機嫌が取れるとその街では有名なケーキ屋のアップルパイ1ホールを買っていった、端から中央部まで距離があるのでとエルニアはブレンの分も払い空中移動車両で教会まで移動した

「うへーきちったよ」
「そんな会いたくないんですか?」
「昔色々あってな、それ以来呼ばれても無視したか使い魔使って要件だけ言ってた」
「なるほど……そんなにですか」
「まぁ色々あるんだよ年を重ねるとな」

 ブレンの様な青年には似合わぬ口振りにエルニアは(実際ブレンさんて何歳なんだろう)と思いながらブレンを見る

「まぁ来ちゃったから会うしかねーわな」

 大きめな押戸の片方を押し中に入るヒンヤリと冷たい冷風が汗のかいた体に心地良く大勢の人が行き交いしているここは世界最大の国営兵精鋭団体通称【月下の教会】国の運営や違法行為の取締が主な活動だが聖騎士も所属している為一人一人がモンスターを倒せる程の武力や魔法を有しておりその育成も行っているその為か本部に所属している人数は少なく100何十人か他は世界に支部を作りそこで活動しており国の運営を支部は任されてないためやっているのはモンスターの討伐と違法者の始末だそして本部となるとデカさは異常だ、地下1階の地上7階建て地下1階はトレーニングルーム教会の1階部分は受付ホールとカフェ2階は主に待合室3階は教会所属専用の寮4階は会議室や図書館5階は上位者専用寮や個人資料室6階は超極秘任務会議室そして7階が総大司教のいる部屋となっている外見も教会というよりはでっかい建設物だ
 ふとブレンとエルニアの所へ水色のショートヘアの女性が駆け寄ってくる

「ブレン様ですね総大司教ラズレイン様が7階でお待ちです、それとお手の方の物は」
「あぁこれ?アップルパイあいつ好きだからさホレ」

 ブレンは中身を見せながら女性に言う

「千里眼で毒が入ってないのは確かめれたか?」
「はい、毒性の物は視えません所持を許可します」
「どーも」
「それとエルニア様はリアン様がお待ちです」
「あ、はい」

 エルニアはブレンと女性に頭を下げエレベーターの方に走っていく

「ではブレン様行きましょう」
「へいへい」

 ホールを縦断しエレベーターの方に行きボタンを押す数秒程でエレベーターは1階につき2人は乗り込む

「ラズレインは元気なのか?ルア」

 ブレンは自分の隣に立つ水色ショートヘアの女性に問う

「うん!元気だよーお兄ちゃん目離すとすぐ千里眼で視えない所へ行くからルア心配したんだよ?」
「ルアには迷惑かけてるなアップルパイ後で分けてもらえよ」 
「うんありがとう、お兄ちゃん」

 さっきとは想像も絶する声のトーンと口調の水色ショートヘアの女性もといルアはお兄ちゃんとブレンの事を呼んでいるが別に兄妹ではないらしいルアのネームプレートには[ルア=ランスロット]と書かれている、ルアはブレンに何かをこうように少し中腰になり

「お兄ちゃんいつものぉ」
「ん、わーったホレホレ」

 ブレンはルアの頭をグシャグシャーっとする。やられている本人はと言うととても気持ち良さそうに目を瞑っているやり続けたら眠りそうな勢いだ、そうこうしてる間にエレベーターは7階につき「チン」という音と共にドアが開き降りる

「じゃあ行ってくるけどルアも行くか?」
「行く行く」
「あんまり迷惑かけるなよ?俺の首が吹っ飛ぶからさ」
「はぁいルアはお兄ちゃんとの約束は絶対守るぅ!」

 ルアはふざけ混じりの敬礼をしブレンの後ろを歩くブレンは目の前の部屋の木製のドアをノックもなしに勢い良く開けだだっ広い部屋全体に響くように大きな声で喋る

「おーよバレされたのでーー来たーぞー」

 瞬間これまた大きく老人の野太い声で

「聞こえとるわぁー!!!!」
「よう元気そうだなラズレイン」
「当たり前よぉハーレムがワシの夢じゃ達成できなくして死ねないわい」

 ブレンはアップルパイの入っている箱を奥の椅子に座っている国王的老人を彷彿とされるラズレインまで持っていき渡す

「お?コレは1日150個限定トルアのアップルパイこれを待ってたんじゃよーワシが並んだら買えないからのぉう」
「そりゃ店ごと買おうとするからだろ権力振りかざして、あっちのオバサン未だに俺に愚痴ってくるぞ?」

 箱の中を覗いて目を輝かせるラズレインにブレンはため息を混じらせながら言う

「腕あるものを称賛して何が悪い?お互い年をとったんじゃ楽しみが時代と共に消えていく前に手中に収めておきたいと思うのが普通だとワシは考える」
「そうかい、でも言うとおりホントに互いに年をとったな」
「おぬしは相変わらずその姿のまんまじゃのぉ羨まじゃ羨ま」

 ラズレインは割と体は丈夫らしくしっかりとした足どりで歩き戸棚からティーカップとお皿とフォークを用意しお茶を入れる

「ブロッサムじゃ、そこのえと…誰じゃっけ?」
「ルアだよ」
「そうそうルアちゃんも食べるかい?」
「うん!食べるぅー」

 切り分けたアップルパイを皿にのせティーカップを並べお茶を入れ3人で丸いテーブルを囲むように座る

「うむ美味しいのぉ」「美味しいなぁ」
「てか、さっさと本題に移れよ」
「そうじゃったそうじゃったえと確か[チェック]」

 ラズレインがそう言い放った瞬間3人の目の前にモニターの様なものが現れたコレは視映魔術の1種で映像や書物見たいものや見せたいものを対象の者だけに認知させることができるという中級魔術だ

「コレは…………」「何これ」

 2人共その映し出された映像に言葉を失う

「魔神その他冥界の者まで復活しあと数週間程で戦争が起きるじゃろう下級魔術師などはまだ気付いてない者も多いいがワシらは数ヶ月前から準備をしていた、おぬしが気付いてないわけもない何故教会に来なかったのかそれは聞かないじゃから」
「戦えと?」
「お兄ちゃん……」
「コレは脅しでも何でもない、ただの友人からのお願いじゃ断りたければ断っていいしかし断ったら世界は終わる」

 しばしブレンは黙り込んだ、そこには何かへの不安と胸の高鳴りの両方があった

「………………いいぜ、やってやるよただ今までのアップルパイ代コレ終わったら返せよ?」
「約束じゃ」

 2人の間で契約の印が交わされた





   第2話   終わり

Re: ナーハフォルガー 明は闇を求め闇は明を求める ( No.3 )
日時: 2018/08/04 17:04
名前: アキレス腱は寝ている間に切れていた (ID: lerfPl9x)

       第3話  「…………」






 昼間と変わらない活気と賑わいに満ちている街を眼下に屋上階でブレンは夜風に当りながらタバコを吹かしているとふと昼間のことが頭を過った

(封印が解けていたのは知ってた攻められたらただでは済まないのもわかってる、それでも俺がここに来なかったのは本命の封印が溶けてないから)
「さて終わりにできるか______っ?!」

 ブレンの右手からまだ白い煙を漂わせ長さもあるタバコが落ちブレンの左胸に味わったことの無い激痛が走る、洞窟で作ったのであろう左胸から広がる痣のことを思い出す

(やっぱり……あの洞窟に何かいたの……か?クソッ!)

 痛みは強みを増し目眩がし始め立っているだけで息が上がる魔力が吸われてるのがわかる…そして
____________________
 ふと瞼を開くとそこは真っ白い空間だった、体は動かせない口を動かして声をあげようとも声は出ないしかし実家のような安心感のある「あの空間」だった

(左胸の痛みは……消えてるな。魔力も戻ってる___いやこれは昔の?!)
「そりゃあそうだ私の封印が解けたんだ、お前にも魔力が戻る」
(?!)

 何も無い筈の空間に女性の声が響きブレンはその声の主の方に体を向けるいつもなら体はゆうことを聞かないのだがそれが嘘だったかのようにブレンの体はブレンの意思で声の主の方へ体を向かわせることができた、そこにいたのは透き通る白い肌の可憐な金髪ミディアムの女性で程よく主張をしている女性特有の曲線美紫と黄色のオッドアイに全身を覆う黒いドレス背中の4枚の黒い翼をはためかせその美しさには全男性類が跪くレベルである

「フム魔力回復行動は良好……か」
「______!!」

 ブレンは声をあげようとするが行動の制限が解けただけで声はあげれないらしくブレンが声をあげようとしても出ることは無かった

「何だ?喋りたいのか?」
  コク!コク!
「良いぞ、じっとしてろ」

 ブレンは言われた通りしばしじっとする女性は自分の人さし指に口づけをしてそれでブレンの唇をそっとなぞる

「……………良いぞブレン」
「これで喋れる」
「まぁブレンが驚くのもわかる、1番復活してはいけないやつが復活してんだからな」
「そーだなそれよか何でお前は復活できた『サタン』」

 サタンそう呼ばれた女声は至って真剣なブレンの質問に対し頭をかきながらその答えを言う

「ブレンだって原因はわかってる筈だ、まぁ短文にまとめると何千年も同じ『鎖』を使ってるせいで『鎖』が錆びていたのと、ブレンが魔物の血を浴びすぎるからだそれで封印の『鎖』が錆びるのを早めていった」
「……なるほど…だけどそんなんで『鎖』が、錆びんのかよ」

 ブレンの表情は納得できていてもしきれていないそういったものだった、ブレンは自分が帯刀している短剣を鞘から抜き目の前のサタン成る女声に切っ先を向けるがブレンの目からは殺意など微塵も感じられないものだった

「今すぐ俺の中に入れ」
「それで私が応じるとでも?バカか応じるわけ無かろう魔力も凄いスピードで戻りつつありあと数日後には実体をも取り戻せるというのに」
「戻れ」
(こいつが俺ん中に戻りたくないのは百も承知だだが2大問題を抱えられるほどの力は俺には無い) 

 しばし両者無言が続いたサタンは笑みを浮かべてブレンはとても真剣な眼差しで、しかしブレンの切っ先は振れる事無くサタンの鼻先でピタッと止まっている

「…………はぁ。わかったよブレンの中に戻ろう」

 先に折れたのはサタンだった。望んではいたが予想だにしなかった返答にブレンは目を丸くしてしまう

「本当にいいのか?」
「戻れと言ったのはブレンだろう?」
「よ……良かったぁ」

 ブレンは座り込み安堵のため息をつく。手から離した短剣はフワフワと空を浮いている

「まぁ戻ると言っても封印器具の揃わないこの次元では一時的だしあることをしないとならんけどな」
「戻ってくれるんなら一時的でも良いよ。ていうかかやらんといけない事ってなんだよ」

 ブレンはサタンの顔を見る、サタンとは言うとそれをやるかやらないか悩んでいるようだった

「んで何なんだよ」
「んーとな………お前の中に封印以外で戻るとなるとなこれは精神や実体の自由を器つまりブレンが制限する事になるから_____」
「待て待て俺はそんなことまで望んでないぞ!?」

 サタンが言い終わらない内にブレンはサタンの言いたいことがわかったらしく焦る。しかしサタンはそんなことお構い無しにそのやらなければいけないという内容を口にする

「私とブレンで主従関係を組まなければいけん」
「他に方法あるだろ?!」
「無い」

 即答だった。

「いやいやあるだろ!お前本当に魔王サタンか?!」
「あることもあるが今の私には使えない魔法だ。」

 ブレンは膝から力が抜けていくのを感じたしかし当の本人いわくそれしか方法が無いらしくもう詠唱を唱え始めている。流石は魔王サタンである1.2秒で魔法陣が完全に展開されていった

「………わかった。じゃあ誰が主になんだよ」
「ん?そんなの器になるブレンだろう。それともブレンは『主従』というワードに気を揺るがす童貞だったか!」
「無理があるぞ?お前と契約結ぶなんて……はぁ、それはそうとサタンは良いのかよ」
「私は別にどうでも良い何かあるのか?」

 サタンは首をかしげ可笑しい奴を見るような目でブレンを見る

「わかった始めてくれ」
「良しブレン私と同じ目線の高さまで来てくれ、そんで目を閉じろ」
「はいよ」

 ブレンはサタンに言われた通りサタンの目の高さまで体を持っていき目を閉じる。瞬間

「?」

 女声特有のいい匂いが増しブレンの唇に柔らかい物がピトっと触れた、それが一瞬何をされたのかわからなく瞼を開けるとサタンの整った顔が目の前にあった

「良しブレン魔法の重要部分は終わった」
「ホントにやるんだな」

 ブレンはこの工程を飛ばしても契約魔法は結べることを知っているのでサタンが律儀にこの工程をやることに素で驚いてしまった

「行くぞブレン私の詠唱を唱えたら始めてくれ」
「はいよ」
「_______________」

 サタンが詠唱を唱え始めブレンがそれに続くように自分の指を噛み出てきた血で左腕に魔法文を書き最後にそれを上から線で線を入れる。瞬間二人を赤黒い渦が覆い最終的にはブレン達のいる次元さえも飲み込み白い空間を黒く染め始めた。何分かして赤黒い渦が完全に次元を黒く染めると渦は収まり何ら変化の無い二人の姿が空間に浮かんでいた

「………終わったか」
「おう!終わった終わった、じゃあこれからも宜しくなブレン………ご主人様!」
「ブレンでいいのに、まぁ戦争では力貸してくれや」
「いやぁご主人様と言わないと体から魔力が減るんでね、あデメリットって奴?それと戦争のことは承知の上だよ」

 _______契約は完了した





     第3話     終わり

Re: ナーハフォルガー 明は闇を求め闇は明を求める ( No.4 )
日時: 2018/09/24 11:04
名前: アキレス腱は寝ている間に切れていた (ID: lerfPl9x)

     第4話 膨れ上がる力(災厄)





 閉じていた瞼をゆっくりと開く協会の向かいにある時計塔に目をやると時間は1分も経っておらずしかし疲労の方は体感時間で言う数時間のそれと変わらない

「あいつ等が出てきたのはこの事を先読みしていからか」
〈かもな…奴等は未だに私とご主人様を【裏切り者】として見ているらしい〉

 裏切り者………か。確かにあの場面だけを見た者からしたら俺は裏切り者だと言われても仕方ないか…ブレンは深くは考えずふと腰の短剣の鞘を右手でそっと謎るもう数えるのが億劫になる程の年月を共にしたこの短剣だが傷は1つも無く自分自身の方がよっぽどわかり易いほどに目立つ量だ

〈不老不死と化したご主人様もその大量の傷までは治らないんだな〉
「所詮不老不死なんて俺とお前に課せられた"ある"呪いの特典でしかないからな外傷は視野には入れてないんだろうよ」

 懐のタバコとライターを取り出し火をつけ昼間街で買ったエクレアを食べる

〈ご主人様悪いがタバコは吸わないでくれ、嫌いなんだその匂い〉
「あ、あぁ悪いお前とは全ての感覚が共有されてるんだっけ?て言うか今更だけど契約した途端口調軽くなったよな」
〈うん?口調?これが素だしこの方が楽だからな〉
「俺は前の方がサタンって感じで好きだったんだけどな、まいいや時間も時間だしそろそろ寝室に戻るか」

 時計塔の時計の短針は「3」を指しており1日中動き回ったせいか瞼が重い、まだ10本程残ってるタバコとオイルが満タンに近いライターを惜しみながらすぐそこのベンチに置き屋上の出入り口のドアノブに手を掛け撚る、欠をしながら開いたドアの中に入っていく
 ブレン達の去った屋上に野良猫が1匹その野良猫は空を見上げ何かに報告を告げるように一鳴きし闇に消えた
____________________

力が戻りつつあるおかげかスコブル調子がいい!

〈まぁご主人様含めて私等には睡眠は必要ないんだが〉
「ああ分かってるよ!でも快眠だったのは久しぶりだからさ」
〈まぁ言いたい事も分かるが〉

 枕元の短剣を手に取り鞘の中の塵を処理した後昨日洗濯しておいた服を着て腰ベルトに鞘を繋ぎ短剣を鞘にさしこむ

「胸の黒い痣、あれ剣の模様に似てたがやっぱりそういうことなのか?」
〈痣?……あ、あぁそうだが?力が戻るにつれその痣はハッキリとしてくるさ〉
「なるほど、それとサタンは何時まで俺の中に居られるんだ?」
〈出ようと思えば出られる、あの中にいる時も言ったけど実体はそろそろ取り戻せる〉
「分かった」

 なるほど俺の言葉1つでサタンは俺の中から出て来てその力を振るう事ができるのか…そんな事を考えていると我に返させる様にお腹が「グウー」と鳴る

「ご飯食べに行くかな」
〈何を食べるんだ?〉
「パンとスープそれと少しだけ肉を取ろっかな」
〈重いものは控えてくれ〉
「はいはい」

 荷物を確認し部屋を出るエレベーターに近い部屋なので2'3分とかからずエレベーターのある所につく、着くと他にエレベーター待ちをしている見覚えのあるシスターがいた

〈知り合いか?〉
「まあな、エル!」
「ブレン様!」

 エルの方もこちらに気づき笑顔でやや大袈裟に手をふってブレンの方に駆け寄ってくる

「おはよう今から朝食か?」
「いえ朝食はもう済ましてましてブレン様に用があったので向かったんですけど誰かと喋っていた様なので」
「あ、あぁ声かけてくれれば良かったのに…そんで俺に用って何なんだ?」

 エルは左手の紙をブレンに見せ

「ブレン様、ラズレイン様から直通です」
〈何て書いてあるんだ?〉
「……えーっと【ブレン:ロスベルト准将 9月27日○九一ニに_______】あーこれはエルの前では言えないすまんな」

 ブレンがエルの方に目をやるとエルは引きつった笑みを浮かべていた

「どうした?エル」
「あ、……あの今准将……って」
「あーコレ?気にするな昔ここに身を置いてた頃に俺が出ていくって時ラズレインが勝手に2個くらい昇進させたんだよ」
「でもでも2個昇進させたってことは元々……」
「あぁ中佐だ、でも"元"がつくからいつも通りタメでいいよ」

 エルは少しばかり唸った後自分の中で振り切ったのか「うん!」と大きく頷きブレンにこう放つ

「私もその直通の令に同行させて下さい!ブレン准将!!」
「…………………はい?」
〈どうするんだ?〉

 えぇーどうするも何も今エルには言えない内容だって言ったじゃん…………
 しばし考える

「……………うーん、まぁどうせエルは同行させないといけなかったからな…良いよその代わり准将ってのはやめてくれ」

 そう言うとエルは満面の笑みで

「はい!ブレン様!」
「あー様もやめて」
「ブレンさん」
「それなら良いかも、うしっ!ラズレインの方に行くかな!!」
〈朝食は?〉
「後回し」
〈な…なんだと?!〉

 上がって来たエレベーターに乗り込み最上階のボタンを押す、エルは最上階に着くまでずっと「ブレン准将……ご、ごめんなさいブレン"さん"」ってのを会話がある度にやっていた。やはり協会といっても軍営なども全てやっているだけはありそう言った名残りもあるのだろうか
 最上階につき俺とエルはラズレインの居る部屋に向かうそこで話の内容は全て話されるのだがエルを連れてきて果たして正解だったのかどうか

「ようラズレイン」
「来おったか!うん?何だその娘は貴様1人で来いと書いたじゃろうに」
「すまん連れてきた」
「エ、エルですっ!エルニア:レニンです!!」
「エルちゃんか!!君も必要じゃからの丁度良い」

 エルの事は別に問題無かったらしい良かった…て言うかそれより…………

「お前は来ないもんかと思ったけどなフレイン」
「貴様と戦える場を設けられるかと思ってのことだ」
「またそれか」
「お兄様いらしたのですね」
「何だ?2人兄妹か?」
「はい」「一般常識ではそうなる」

 片方は凄い否定しているが否定してる兄が窓の日向に立ち妹の影になっているとこを見るとやっぱり兄だなとなる

「そんで本題といこーぜラズレイン」
「そう…じゃの」

 ラズレインは言うのを拒んでるようだがやがて重たい口が開かれる

「君たち3人に昔ある事を境に解散して消息を断った【月下執行隊】あと4人を探して来て欲しい」
「なるほどね」
「月下執行隊ってあの月下執行隊ですか?!」

 フレインが身を乗り出し驚愕の表情でラズレインに問う

「そうじゃ、あの【月下執行隊】じゃ」
「んなの無理だろ4人も探すなんて不可能だよ1人死んだし」
「まぁ頼むよ」

 ブレンはラズレインの考えに腑に落ちない点があるのか用意されていたお茶を飲みながら考えていたがやがてカップを置きラズレインに目をやらず窓に視線をやりながら言う

「良いよメンツがこの3人だけなら」
「わかったメンツはこれだけじゃなそれと」
「あぁ内緒にしとくよ、じゃあ探しに行くか旧友を」

 ブレンは1人部屋から出ていった

「私も行くんですか?」
「あの話を聞くとそういう事になるな」

 フレインも愛刀の日本刀を肩に下げると部屋から出ていった

「わ、私も!失礼します!!」
「うむ!健闘を祈るぞ」

 1人部屋にラズレインはまだ満タンに残ってるカップのコーヒーを口に含む

「苦いコーヒーは嫌いじゃわい」




 
     第4話 終わり 

Re: ナーハフォルガー 明は闇を求め闇は明を求める ( No.5 )
日時: 2019/02/11 21:46
名前: アキレス腱は寝ている間に切れていた (ID: 6..SoyUU)

 ※今回は本編ではありません(汗)すみません


【ナーハフォルガー明は闇を求め闇は明を求める】
を読んでくださっている閲覧者の皆様には感謝の気持ちでいっぱいで、それでいて今回のように更新が遅れている現状には頭が上がりません。というのも他端末にストックしていたストーリーのデーターが全て消えてしまい1からの構成となっている、というのがそもそもの原因です。
 近々第5話を投稿するので投稿するにあたって要望などありましたらコメントの方宜しくお願いします。


 アキレス腱は寝てる間に切れていた__


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