コメディ・ライト小説(新)

Re: まほがく! ー魔界のおかしな仲間達ー ( No.2 )
日時: 2016/03/30 02:40
名前: ささみ ◆dRwnnMDWyQ (ID: n0SXsNmn)



*やっていける気がしない。


「それでは、生徒会総会を始める。まずは各委員会活動内容の報告」

無表情にそう言い放った、短めの茶髪に蒼い瞳を持つ青年。
彼はこの学校の生徒会長、アレン・アルバート。
そして、“六天王”の1人でもある。

「はい、いつも通り保安委員会からね。フィオラ」
「活動内容は変わらず、校内と校外の見回り。今月は異常無しだぜ」

アレンの隣、ホワイトボードの前に立ち柔らかく笑う青年はリュート・シルベニア。
長身で、肩まで伸びた銀髪に赤い瞳を持つ、副生徒会長である。

そして、フィオラと呼ばれた、赤髪に黄色い瞳を持つ少女は姓をフルムーンという。
まばらなショートヘアーだが、横の髪だけ胸下まで伸びている特徴的な髪形をしている。
保安(保健安全の略)委員会委員長である。

「あ、でも、アレンは相変わらず男子受け悪いな」
「男子受け?求めてない。余計な情報を、どうも」
「癪に障る言い方だぜ…。女子にモテてたらいいのかよ、お前は?」
「そんなのも興味無い」
「どんだけ無愛想なんだ…くー!むかつく!」

顔立ちのいいアレンは学校一のモテ男である。
女子の視線を独り占めしているくせに、無愛想で誰にも優しくない為、男子からは「気取ってんじゃねえ」と理不尽に嫉妬されている。

「まぁまぁ、喧嘩しないで、ね?次、風紀委員会。セラどうぞ」
「いつも通り、校則に五月蠅い委員長でいたわよ」

妖しく微笑んだ少女は、セラ・ガーネット。
黒いロングヘア―に緑色の瞳を持つ、風紀委員会委員長である。

「そういえば、最近人間界から入ってきた『タバコ』?あれ、煙たいわ。臭いし。魔界の生物に身体的な影響は無いみたいだけど、禁止でいい?」
「それは後で議論しよっか」
「分かったわ」

注意:〔人間界の未成年者は勿論タバコは駄目だよ!身体的な影響ありまくりだからやめようね!〕

「じゃ、次、図書委員会。ローゼ宜しく」
「…本の貸し出し、整理、修理は変わらず。んで、返却期間を守らなかったり、本に損傷を与えた奴にはペナルティを与えることにした」
「え、勝手に決めたの?校則を変える時は僕かアレンに声掛けてよね。ちなみに訊くけど、ペナルティって…?」
「1発ぶん殴る。3回目からは、土に埋めようと思ってる」
「武力行使はやめようね。これもまた議論しよう」
「む…」

不機嫌で目つきの悪い、黒いセミロングヘア―に橙色の瞳を持ち、黒い猫耳と猫尻尾が生えている少女は、ローゼ・キャティー。
図書委員会委員長である。
また、彼女のように猫耳と猫尻尾が生えた種族は魔界ではニャミリアと呼ばれている。

そして、今紹介した4人もアレンと同じく“六天王”メンバーだ。

「次は美化委員会だね。どうぞ、リリー」
「うん。えと、いつもと変わらないよー。新しい花を植えたくらいかなあ」
「美化委員のおかげで、学校はいつも綺麗だよ。ありがとね」
「どういたしまして」

照れてはにかむ、薄い桃色のおさげと茶色の瞳を持つ少女はリリー・スターリア。
美化委員会委員長である。

「最後は飼育委員会。カノン宜しく」
「はい、いつもと変わらないです。3匹共、順調に育ってます」

満面の笑みで答える、橙色の髪をハーフアップにした、黒い瞳の少女はカノン・ミルフィーユ。
飼育委員会委員長である。

ちなみに世話をしている動物は、魔界用に改良されたウサギだ。

今紹介した2人は“六天王”ではなく、ごくごく平凡の少女達だ。
では、“六天王”の後1人はというと…?

「みんなばっかり、ほーこく、ずるい!リンもやりたいな」
「じゃあ、リンも何か言う?いいよ」
「あのね、かれてたお花さんが、またさいたよ!」

満足気にニコニコと笑う、白髪のボブヘアーに橙色の瞳で、白い猫耳と猫尻尾が生えている幼女は、リン・キャティー。ローゼの妹だ。
美化委員と飼育委員を掛け持ちしている。

彼女が、“六天王”最後の1人である。
そして、生徒会メンバーもこれで以上だ。

「流石、私の妹。今日も天使。愛してる、リン」
「リンもおねーちゃんすきだよー!」

ローゼは病的なほどのシスコンで、リンのことを愛してやまない。
リンも姉のことが大好きである。

「ふふ、相変わらず姉妹仲がいいのね。羨ましいわ」
「セラねーちゃんは、なかよしじゃないの?」
「私は兄弟姉妹がいないのよ。独りは寂しいものよ…」
「あ、私もひとりっこだぜ」
「ひとりっこ率が高いね。実は僕もなんだ。リリーとカノンは?」
「私はお姉ちゃんが2人いるよー」
「弟1人と妹2人がいます」
「あら、カノン、お姉さんなのね」
「何か分かる気がする。世話好きそうな顔してるもんな。…アレンは?」

フィオラが声を掛けても、アレンは無表情で黙ったままだった。

「おーい、聞いてるか?」
「…お前ら、今、何の時間か分からないのか?」

アレンの冷たく低い声で、さっきまでの和気あいあいとした雰囲気は何処かに行った。

「いつまで駄弁ってるんだ。リュート、お前進行係だろ。話に加わってどうする」
「ごめん…」
「セラ、お前も普通は注意する役目だろ」
「えぇ、そうね…。悪かったわ」

しゅん、と申し訳無さそうに、怒られた2人は俯く。
それを見たフィオラは少しだけアレンを睨み付けた。

「何で2人だけを責めんだよ?お前が注意すればよかった話じゃないか」
「それがこいつらの役目だからだ。俺の出る場じゃないと思ったから黙ってたんだよ」
「優しさの欠片も無いなお前!」

勢いよく立ち上がったフィオラをカノンが宥める。

「落ち着いて下さい、フィオラさん。アレンさんに悪気は無いかと…」
「こいつには悪気しか感じられねえよ!」
「はぁ?それはただの言い掛かりだろ」
「フィオラねーちゃん、アレンにーちゃん、ケンカはだめだよ…!」
「ガキは黙ってろ」
「う、うぅ…」
「私のリンを泣かせたな、このクズ会長が」

どうやらこの生徒会は、上手くいってないようである。
…いや、生徒会というより、生徒会長が敵を作り過ぎているようだ。

――――

ここ、まほがくでの生徒会の定義は、「生徒会長・副会長・各委員長の集まり」いわば「学校のリーダーの集まり」である。

そして、生徒会8人のうち6人は“六天王”ということに気付いただろうか?

学校のリーダーに強い者が集まっているわけ、それは、次話で説明しよう。