コメディ・ライト小説(新)

Re: まほがく! ー魔界のおかしな仲間達ー ( No.4 )
日時: 2016/04/02 23:02
名前: ささみ ◆dRwnnMDWyQ (ID: bJHwv4jv)



*先生達は平和なようで。


まほがくは4つのクラスに分けられており、それぞれに花の名前が付いている。

初級者クラス「アネモネ」、中級者クラス「ライラック」、上級者クラス「カトレア」、超上級者クラス「ストック」。

六天王は全員「ストック」であり、弱肉強食のルールに従えばリリーとカノンは「ストック」か「カトレア」なのだが、2人は「ライラック」である。

何故、中級で平凡の彼女達が、強者の組織である生徒会に入れているのか。

それはまた、別の話。

――――

職員室のお昼休みにて。
先生達は職員室で昼食をとる。

「はー、お腹空いたぁ。今日は僕、そぼろごはんなんですよー!」

ピンク色のチェックのバンダナに包まれた弁当箱を持ち、にこにこと笑う女性…いや、男性はアンジュ・ライト。
「アネモネ」の担任だ。

黄緑色の髪で、ポニーテールをし、前髪は2つの赤いピンで留めている。
輝く水色の瞳が白い肌によく映えている。
顔立ちもよく、小柄で華奢な体つきなのでよく女性と間違われるのだ。

そして、よくパシられるので先生達からは「子犬」と呼ばれたりする。

「そぼろごはん…とは何でしょう?」
「えー、知らないんですか!?美味しいのにもったいない!ちなみに今日の昼食教えて下さいな~」
「オムライスですわ。少し子供らしいかしら。今日はお母様が作って下さったの」

口に手をかざし上品に笑う女性はマリア・タンザナイト。
「ライラック」の担任である。

紫に近い黒髪に、青い瞳を持つ。頭にピンク色のリボンを付けている。
生粋のお嬢様で、少し世間知らずなところもある、天然な先生である。

「オムライスいいなー!」
「ふふ、オムライスはお母様の得意料理ですの」
「はぇー、凄いですね!僕卵料理苦手なんですー」
「アンジュさんのことですから、卵を握りつぶしちゃったりするんですよね?」
「何で分かるんですか!エスパーですか!」
「まさか本当とは…」

楽しげに話をする2人の横で、黙々と魔導書を読んでいる男の先生がいた。
彼は灰色の髪に水色の瞳を持つ、シエル・オリーヴ。
「カトレア」の担任だ。

長身だが童顔で可愛らしい顔をしている、クールな先生だ。
感情をあまり表に出さず、基本的無表情で寡黙だが、アレンのように無愛想ではない。

「シエルさん真面目ですね!憧れちゃいます~」
「そりゃどうも」
「ところで昼ご飯はなんですか?」
「サンドイッチ」

そう言ってシエルは自分の鞄の中からサンドイッチ1つを取り出した。

「わぁたまごサンド!今日は卵に関わるメニューが多いですね…って、こんだけしか食べないんですか!?」
「ちょ…いきなり耳元で叫ばないでほしい」

明らかに嫌な顔をするシエルに、アンジュはペコペコと頭を下げて謝った。
そして何事もなかったかのように話を続ける。

「お腹空きません?午後は午前よりも授業長いし、実技だってありますよ」

実技とは実際に魔術を使ってみる授業である。
まぁ体育のようなものだろう。

「平気平気。いつもこれくらいだから」
「ちゃんと食べないと駄目ですよ!だから痩せてるんですよ、シエルさんは」
「いやアンジュに言われたくないんだけど」
「あ、でも痩せてるくせに長身なのが気に食わないです」

アンジュは自分が小柄なのを気にしている。
158cmくらいだ。男性の中でも小さい方だろう。

同じく、15歳にしては色々小さく、悩みを抱えるローゼと気の合う仲間として傷を癒し合っているそうだ。

「あら、アンジュさんはこのままの方が可愛らしいですわ」
「僕はもうちょっとかっこいい男の人になりたかったんです!可愛いじゃ駄目です!」
「んじゃ何でポニーテールなのよ」

いつの間にか隣にいた女性に、アンジュはこの世の終わりが迫ってきたような恐怖の叫び声をあげた。

「何よ、そんな怖がらなくていいじゃないの」
「だだだだって…急に隣にいたらびっくりするじゃないですか!」
「私は気付いていましたわ」
「俺も」
「もー!何で皆さん教えてくれなかったんですかぁぁ…」

アンジュのリアクションを見て満足そうに笑う彼女はレイリア・ブバルディア。
保健室の先生である。

黒に近い赤い髪、キリッとした赤い瞳が特徴で、常に妖艶な笑みを浮かべている。
先生を目当てに、仮病を使って保健室に来る者もいるくらい、レイリアは美人だ。
種族は悪魔。これぞ本物の魔性の女なのだ。

「んで、何でかっこよくなりたいのにポニーテールなんかしてるのよ。これじゃどっからどう見ても女の子よ。胸以外」
「…お姉ちゃんが…お姉ちゃんに脅迫されてるんですよ!怖いですようちの姉!」
「お姉様がいらっしゃるなんて、初耳ですわ」
「一回も姉のこと話したことありませんからね…」

さっき2人に昼食のメニューを聞きまくっていたテンションが嘘のように、今は顔を真っ青にし大きな溜め息を吐いている。

「姉と言っても双子の姉なんですけど…うちの姉、僕のことを溺愛してて」
「あぁ、シスコ…ブラコンね」
「いい年して、『アンジュ君と一緒に住む!』ですよ。夢の1人暮らしが破壊されましたよ」
「可愛らしいお姉様じゃないですか」
「何だノロケか。ノロケは聞かないわよ」
「違いますって!んでポニーテールの話ですよね?もうそれは簡単な理由ですよ。『アンジュ君私とお揃いの髪形にしよーね。お洋服もね。もし勝手に変えたらお姉ちゃんが今我慢してること全部するからね』って言われたからです!」

レイリアは他人の不幸話が大好きなので、目を輝かせた。
悪魔の本質なのか、それともレイリアが歪んでいるのかは分からない。

「我慢してることって何なのかしらねぇ?」
「分からないから怖いんです!」
「知りたいから私が今髪切っていい?」
「駄目です!」
「何なに?盛り上がってるけど何の話?」
「うっわぁぁぁぁぁ!!」

またも急に現れた人物に驚くアンジュ。後ろにいたのはイヴァだった。
イヴァは「ストック」の担任でもある。

「あらあらイヴァ様~。ご機嫌麗しゅう」
「うわ猫撫で声気持ち悪い。媚び売らないでねこの貪欲悪魔」
「悪魔はこうでもしないと生きていけないんですよ。まぁいつかは貴方を捻り潰して大出世を遂げて見せますわ」
「はいはい戯言戯言」

悪魔は階級社会の厳しい種族である。
上下関係が厳しく、魔力の強さと他の生物との契約成功率に応じて地位が決まる。

レイリアが「イヴァ様」と言っているが、それは力の差だけでなく、悪魔より死神の方が立場が上だからだ。
まぁ中には死神より強い力を持つ悪魔もいるが…それでも死神が優遇される。

何故かというと、死神のトップである最高位死神ハイストデスと悪魔のトップである最高位悪魔ハイストデビルとで戦った時、最高位死神の方が強かったためだ。

そしてその最高位死神がイヴァなのである。

ロリコンのくせに強い、最高位悪魔であるエリスという少女は、負けた時そう呟いた。

「レイリアが幼女だったらちょっと捻り潰されてもいいかなって思った、うん」
「うわぁ結局見た目!年齢!世界は残酷ね」
「相変わらずの気持ち悪さ…」
「ん?シエル今何か言った?」
「何でもないですよ」
「それよりお昼休み、後20分しかありませんわ」
「うわご飯食べる時間無いじゃないですかー!早く食べちゃいましょう!」

皆でご飯を食べる辺り、先生達は何だかんだ言って仲がいいのである。