コメディ・ライト小説(新)

Re: まほがく! ー魔界のおかしな仲間達ー ( No.5 )
日時: 2016/04/03 00:53
名前: ささみ ◆dRwnnMDWyQ (ID: bJHwv4jv)



*文化祭と忍び寄る悪夢。


「文化祭がしたいな」

イヴァの突然の提案に、首を傾げる生徒会の8名。

「あのさ、この学校、行事がないじゃん?」

まほがくは6歳から上は何歳まででも、いつでも入学できる。
やめる時もいつでもやめられるフリーな学校なので、入学式や卒業式はない。

それに、行事の定番である体育祭などもまだ何も無いのだ。
できたばかりの学校なので、行事計画が間に合わないということもあるが、そもそもイヴァが学校行事のことをよく知らなかった。

「まず行事って何なの?」

フィオラが訊く。

「僕も分かんなかったんだけどね。この前、人間界の学校について調べたんだ。簡単に言えば、息抜きしながら学校全体の団結力を高める祭りだよ」
「息抜きって…遊ぶんですか?」

遠足を目前に控えた小学生のようにセラが訊くと、イヴァはそれに頷いた。

「あ、あのぉ…」

カノンがおずおずと手を挙げる。

「私、写真で見たことあります。その、学校行事ってもの」
「どうだった?楽しそうだったか?」
「はい、とても。皆、一生懸命で、笑顔で…色々なことをしてましたよ」
「人間達は何してたの?団結力が高まる祭りなんて想像つかないなあ」

リリーの呟いた言葉に、カノンは笑顔で答える。

「例えば…体育祭。皆で運動的なことで競い合ったり協力したりする祭りみたいです。組体操とか、千変万化とか、リレーとか…色々な種目がありました」

人間にとっては誰もが知る種目だが、魔界には浸透していないのだ。

「く、くみたいそー?せんぺん…?にんげんさん、いみわかんないこと、するね」
「こんな種目もどうやってやるか調べて、体育祭もやりたいね。でも僕が調べたのは文化祭なんだ」
『文化祭?』

8人の声が重なった。
イヴァは子供のように無邪気な笑みを浮かべ、話を続ける。

「文化祭はね、人間の学生たちが一番盛り上がる行事なんだって。各クラスで分かれて出店を出したり、ステージで出し物したり…学校外の人も来れるから、校内が凄く賑やかになるよ」
「それで、理事長はそれをやりたいんですね?」

リュートがそう訊く。

「そうだよ。各クラス…にすると出店が少なくなるから、君達ストック以外のクラスは8人ごとくらいに分けようか。リリーとカノンはグループ分け呼びかけといて」
「はい」
「分かりました」
「やりたいこととかもグループごとに話し合いさせて…ある程度出店が決まったら、場所決めとかステージプログラム作成とか委員会ごとの仕事分けとか…やること沢山あるよ」

イヴァは笑顔を保ったままアレンを見た。
「生徒会長がちゃんと働いてね」という視線だった。
アレンはそれが分かったのか、「分かってますよ…」と言い溜め息を吐いた。

「他にも行事、沢山やりたいけど…とりあえず今は文化祭だけ。こういう行事は全校生徒の協力が必要みたいだから、頑張ろ」
『おー!』