コメディ・ライト小説(新)
- Re: プロローグ ( No.3 )
- 日時: 2016/11/17 01:24
- 名前: だらく ◆nI0A1IA1oU (ID: 1CRawldg)
しんしんと降り積もる雪は花びらよりも小さく儚い、手を伸ばし触れると体の熱で溶けて消え逝く
花よりも儚く消える雪
それなのに、まるで終わりを告げるように様々な色を白一色へと変える様は、何処までも平等で何処までも......無慈悲だと思う
そんな風に思わせる雪が降る下界に舞い降りる一人の少女が居た
少女はぽつりと静寂に満ちた雪降る夜空を見上げて
「......これも、夢のための手段...だよね」
小さく息を吐くかのような声で自分に言い聞かせるというより誰かに答えを求めるような口振りで呟く
横を歩けばすぐの町には色とりどりのイルミネーションが町全体を包み、暖かくも明るく何処か優しい光が彩りを増して灯され華やいでいるのを視界の片隅で捉えてしまう
見に行きたいと云う気持ちに駆られるが、その気持ちを振り払うかのように何度も首を左右に振って、視界に入らないようにこれでもかと云うほど深々くフードを被り直すと華やいでいる町よりも動物が多く居ると思われる森へと向かって歩き始める
誰にも踏まれていない積もり立ての雪はふわふわで溶かしたり固めてしまうのが勿体無く感じてしまうような些細な楽しみですら、ましては見たこともないイルミネーションの華やかさを眺める時間は今の少女には持ち合わせていない、無機質に何の感情もなく、ただたださくさくと雪路をしっかり踏みしめて前だけを見つめて進んでいく
少女の目的は使い魔になる動物を捜すこと
それだけのために降り立った少女は下界の人ではなく冥界から来た人間だ
少女は人間だが、死神と云う職業についている新人の死神でもある
上へと上がるためにも夢のためにも相棒となる使い魔が必要不可欠だったが、未だに相性が合う使い魔になれる動物に会えていないため、顔には出さないが何時にもまして気合いが入っているようで次第に歩幅も歩くペースも大きく早くなっていた