コメディ・ライト小説(新)

Re: 神シ業うつらうつら ( No.12 )
日時: 2018/11/08 09:15
名前: だらく ◆nI0A1IA1oU (ID: 62e0Birk)

第一和だいいちわ黄昏たそがれめぐりて」

 _ソレは、俺の行く手をはばんでいるかのように居た
いや、正しくは俺と他の人たちの通行の邪魔になっているはずだが、平日いま夕方じかん神社ここへとおもむく人は居ないと云っても過言かごんじゃないほどに少ないため俺への妨害だとほぼ云える

 何故なぜ、卒業したばかりの学生オレ神社じんじゃに来るかって?それは、神社ここが自分の家だからだ。それ以外に何がある?今どき神様かみなんて居る訳がない、そもそも日本わこくほとけ...他界した者への慈しみのある祈りか確かに居たという証だ、その者が如何に偉大だったか、世に知られたかを形に残すために、生き方を迷う人への道しるべ、わしめるためにある 

 人が人である限り、人は人じゃない何かに例え、何かを真似て生きながらえている
崇めるのも称えるのもあれどその根源もとを辿れば人だ、人の想像なかから生み出された万物ものは形があるものや形がないものまで多種多様さまざま

 ......もう一度言おう神様かみなんて断じて居ない
神主おやじの息子である俺ですら信じていない、いや、正しくは俺の想像なかから跡形もなく消えてしまった
 
 信じない理由は現在いま神社いえにはもう俺しからして居ない、後にも先にももどってこない、両親...親父おやじ母親ははは中学の時に他界している。俺を残して心中した.....本当なら俺も道連れで生きて居なかったはずだが、幸か不幸か生きながらえている

 嗚呼、話がいさされたようだな......話を戻そうか、あまりにも不自然過ぎる妨害に思わず違う思考ことに回ってしまったな


「いや、だってな......これはない、今どきこれはない」

 階段をのぼるのを躊躇ためらうほどに"ない"と二回思わず言ってしまうぐらいに、比喩ひゆしがたいソレを見ては逸らしまた見ては逸らしを何回か繰り返してしまうような現状じたいに家へと続く道を行くのを止めて学校に引き返したい衝動にられながらも卒業した今、学校に行く理由もなく途方とほうれていた

 可能できるなら見なかったことにしたい、可能できるなら今すぐにでも遊びに繰り出したい
けれど、何時まで経っても変わらない気がする状況に俺は意を決して家へと続く道をのぼることに決め、階段に足を踏み入れようとしたその刹那ときーー、

 もぞりっとソレは俺が踏み入れようとする動きに反応したように地面にうごめいたような気がした。いや、気のせいだと言いたい......今の今まで微動びどうだにもしなかったソレがまだ確かな音を立てていない動作うごきに、此方を見て反応したのならある程度、理解はあくできる

 まあ、ソレが生きているのは安堵あんどはしたのも事実ほんとうだが......何故なぜうつぶせで階段にへばくように...まるで階段と同化をしようと能天気ばか思考ことをやっている子供がきがそのまま大人になった感じだ

 だい大人おとな、俺よりも年上に見え、確実に成人している異端児ソレが......何故この様な事をしているのかも気になるが関わりたくないのが一番大きく踏み入れようとした足を思わず引っ込めてしまう

 そして、改めてまじまじと階段の真ん中で寝そべっている異端児ソレを見る。悪い、異端児ソレは言い過ぎたな......うん、じゃあ何だ?いや、明らかに異端児ソレだろ?.....俺は信じてはいないが多くの人は神社の階段の真ん中を上ることも座ることもましては寝そべるなんてしないだろ

 大体の人は真ん中を歩かないだろう、歩いていいのは崇められた人称えれた人.....人々に名が知られた者、まつりごとをしているもの日本わこくで云うと天皇にあたる人ぐらいだ。かなり昔までは天皇や帝は神、天使などと云われていたという人々の道しるべを示す先導者、未来が見えているかのように言う自信家よげんしゃが発言した通りになれば自分で特別だとか言われても信じてしまうだろうからな

 寝そべっている異端児ソレは、大の大人で服装は白のロングコート......その白のロングコートは冬物でしかも着ているのは男性だ。これで女性ならすぐ駆け寄り、安否を確かめたり声をかける、かもしれないが......まあどちらにしても行動をしないと状況は止まったままだ

 階段真下で悪いが近寄りたくないので、此処から声をかけることにする

「なーあっ、そこで何やってんだ?寝そべるのも倒れるのも自由だがそこに居られると参拝客みんな迷惑じゃまになる、それに俺ん家なんだよ...退いてくれねえか?」

 少々距離が離れているので声を僅かに張り上げて倒れているのか寝そべっているだけなのかは判断しがたいが倒れていたなんてあの体制でないだろう。彼の体制は半身が今居る段からはみ出ていて片足が次の段に落ちている俯せだった。

 俯せは一寸ちょっと動いたら転がり落ちると思うが何故かあの場で保っているため、体調が悪い人じゃないしもぞりっと風ではどうにもならない動きをしたから生きていると云えた、残念ながら白いロングコート以外に特徴は色素の薄い茶色の耳下まで長い髪とロングコートに似合わぬ下駄、足袋をつけていることしか見えないので顔色も中の服装も分からかったがとりあえず、声を掛けることは出来たのでよしとする

 が、暫く返事を待てど返事が一向に返ってこない。返事の代わりとしてか、この場に合わないとても気持ち良さそうな寝息が聞こえてきた

(え? 寝息? あ、あの体勢で? ......嘘だろ?)

 耳を疑う出来事に、彼の元へ一気にのぼり、かがんでもう一度耳をませる。

「....、.....」

「.........」

「...、...コイツッ、寝てやがる」

 すやすやと、規則正しくも気持ち良そうな寝息がはっきりと耳を澄ませると聞こえてきて、何故なぜだか分からないが怒りのようなものがいてきて、右手をこぶしに変えつつわなわなと怒りで体をふるわせて小さくもはっきりとした声で云えば、かたくした拳を更に力を入れれば思いっきり


ーーー一時保存