コメディ・ライト小説(新)
- Re: 天使と悪魔の説明書 ( No.2 )
- 日時: 2016/11/25 16:54
- 名前: ろんく ◆ezgtNbb9Yg (ID: 3NsP64Ez)
- 参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=11610
第1話:天使と悪魔
1.
「……まずはこの、506という数を素因数分解することから始まる。えーと初めの数は___」
数学教師が声を響かせ、すらすらと黒板に数式を並べていく。
それに続く様に、シャーペンでそれらをノートに書き写す。
もちろん俺も、他の生徒達と同じ様ように、慌てながら黒板の一式一式をノートに書き写していった。
この一尾宮高校では、もうじき2学期の期末考査がスタートする。
これから卒業後の進路を決める、最も大切な考査と言っても過言ではない。
卒業後とは言っても、俺らはまだ1年なので、そう気にすることはないと思うが……。
「506は大丈夫だな。次は437だ。すぐに出来るだろうから当てるぞー」
教師が出席簿を手に取り、チラッと一瞥した。指名する生徒を考えているのか。
参ったな、俺はまだ計算できてないんだが…。
「じゃあ天野、天野 悠牙!答えを言ってみなさい。」
マジか……教師が速攻で俺の名を呼ぶ。てか当てるの早すぎだろ、せめて10秒くらい迷ってくれ。
俺は慌てて答えを出そうとする。しかし、テンパってるせいか、なかなか当てはまる素数が浮かんで来ない。
「悠牙君、19と23。」
焦っていると、隣の女子が小声で話しかけてきた。
樹又 智予だ。というか、もう計算できてるってのか?早すぎだろ。
とにかく質問に答えないと。俺は彼女に言われた通りの数字を答えた。
これ合ってたら、相当変人的な計算スピードだなオイ。
「に……23と19。」
「____よし正解だ!よく出来たな!」
合ってんのかよすげーな。
てかこえーよ。こんな超短時間でどうやって計算したんだよ。
当の智予はというと、何事も無かったかのように黒板の方に向き直っている。
「ここのユークリッドの互除法は、次期末考査にも出るぞ。ちゃんと自力で解けるようになれよー。」
ギクッ!なんか自分のことを言われたようで、肩が勝手にビクついてしまった。
____確かに…今のは完全に智予のおかげだった。こんなんじゃダメだ、真剣にやらないと!
俺は自分で自分に気合いを注入し、残りの授業に集中した。
