コメディ・ライト小説(新)
- Re: ある少女は、成長する事を拒むのです。 ( No.1 )
- 日時: 2016/12/16 19:32
- 名前: SAKUYA (ID: 5YaOdPeQ)
〜第1話 水原さぐり〜
私の名前は水原さぐり。まあ、どうせ誰も知りたくは無いと思うけど。
中学の頃に起きたある《事件》がキッカケで私は不登校になった。それ以来、誰も信じずに生きてきた。自分自身さえも。
親にどうしてもと言われ近所の梟高校に今日から通う事になった。でも、どうせまた不登校になると思うけど。
そんな感じでネガティブな事を考え続けていたら、入学式は終わっていた。どうせ校長のつまらない話をグダグダ聞かされるだけだったから良いんだけど。
今からクラス発表があるという事で入学生全員が玄関に集められた。
私は人が集まっているところが苦手なのでみんなより遅く玄関へと向かった。
もうみんなは教室へ行ったみたいで、人は誰もいなかった。静まり返った玄関の前で私は自分の名前が書いてある紙を探し出す。
あった。私はどうやら一年三組のようだ。全クラス八組あったので、思ったよりも早く見つかって良かった。私は玄関へと入り、靴を履き替え一年三組に向かって行った。
『さぐり!あんた何組!?私は五組だったよ!』
急にある声が頭の中で再生された。ああ、そうだった。私も中学の入学式の時は友達と一緒にクラス発表の紙を見ていたんだった。
『ええ!?ななちゃん五組なの?私二組だったよ〜。同じになれなくて残念…。』
あの頃は私も笑顔で普通に暮らしていることができた。友達と呼べる存在がいた。友達と喋って笑っていた。いつからだろう。いつから変わってしまったんだろう。
気付けば私は玄関に突っ立っていた。急がなければ集合時間に間に合わなくなってしまう。私は急いで教室へと向かった。
あれ?そう言えば一年三組ってどこにあるんだろう。
今更そんな事に気付き、廊下をずっとウロウロしていたら、チャイムが鳴ってしまった。ああ、なんて私はバカなんだろう…。初日からこんな事では、私の評判は下がってしまうだろう。せっかく新しく始まった高校生活を、いきなり自分の手で最悪の高校生活へと変えてしまった。
私は壁にもたれかかりため息をついた。やっぱり、私ってこんな風に人生を終えていくんだろうか…。
「お前こんな所で何やってるんだ?いきなり迷子か?」
突然声をかけられびっくりしてしまった。しかも、男の声だ。
「え?ひゃ、あ、あの…」
私がオドオドしていると、声をかけてきた男は、さらにビックリするような発言をした。
「アレ?お前、水原か?中学一年の時少しだけ来てたあの?」
この時からだ。私の人生の歯車が、回り始めたのは。
これは、自ら心を閉ざしてしまった少女が成長していく物語。