コメディ・ライト小説(新)
- Re: ある少女は、成長する事を拒むのです。 ( No.22 )
- 日時: 2017/03/13 17:12
- 名前: ラッテ(SAKUYA) (ID: 5YaOdPeQ)
〜第16話 父親〜
「さぐりんがレイ君にレイ君のお父さんの事を聞きに行った!?」
クラスの用事が終わって勉強を教えてもらおうと図書室に入ったら、ツッキーが居ました。
ツッキーにさぐりんの事を聞いたら、レイ君にお父さんの事を聞きに行ったと言いました。
「そ、そうだけど。どうかしたの?」
「…レイ君はお父さんの事をとても嫌っています。だから、私もレイ君のお父さんの事はなるべく話さないようにしてたんです。あ、さぐりんにレイ君のお父さんが作家だったという事を言ってしまっていました!ああ、私のせいです…。」
レイ君がそんなに怒らなければいいのですが…。
****
「え…。」
須原は今まで見たことの無いような怒った顔でこちらを見ていた。
なんか私変なこと言ったっけ?
「す、須原?」
「…。」
何も言ってくれない。
お父さんの事を聞くのはいかなかったのかな。
なにかあったのかな…。
「…ゴメン。なんか変な事聞いちゃって。」
いや、変な事は言ってないと思うけど。
一応謝っておこう。
私も、家族の事を誰かに言われたら、恐らく今の須原の様な状態に陥ってしまうだろう。
家族…。父親…。
私は、怒られる事を覚悟して聞いてみた。
「須原、あんたもしかして小さい頃お父さんと何かあったの?」
こんな事を聞くのは本来よろしく無いだろう。
でも、私は聞いてしまった。
何だか、私と同じ感じがしたから。
「…。お前、俺の家庭状況どこまで聞いたんだ?」
あ、バレてる。やよいちゃんが私に須原の家庭の事教えたの。
「あんたが小学五年生の時に両親が死ん…亡くなって、妹と二人暮らししてるって事くらい。」
「あいつ…。なるべく話すなって言っておいたのに…。」
須原よ、やよいちゃんに隠し事は難しいと思う。
「…。ホントは言いたくないんだけどな、どうせその内やよいが言うだろうから言っとくよ。俺の家族の事。俺のクソ親父の事。そして…。」
須原は顔を両手でバシバシ叩き始めた。
何事かと思って須原を見ていたら、今まで険しい顔をしていた須原がいつも通りのアホ顔に戻っていた。
「いいわ。やっぱやめとく。今話し始めたら長くなるだろうし。」
「えー!?めっちゃ気になるんだけど!」
また今度、また今度と言って教室から須原は逃げようとした。
捕まえようと思ったが、家族の事を話すのがどんな気持ちなのかを考えたら無理に話させようとする気にもなれなかった。
シュン、と落ち込んでいる私に須原は悪い悪い、と言って近寄ってきた。
そして、これくらいなら、と言う事で須原は提案した。
「図書室に多分その本は置いてあるぞ。」
いや、探しましたから。
探して無かったからあなたに聞いてるんですから。
「無かったから。図書室に。」
「え!?まじか…。あ、そうだ。明日の昼休み一緒に図書室行かね?図書委員に聞いたら多分分かるぞ。ちょうど今日委員会決まった訳だし。」
そういえば今日委員会が決まったんだった。
その仕事もしてたのか。もうすぐある宿泊研修の仕事もあっただろうに。
手伝ってあげれば良かったかな?
そう思ったけど、まあ、こいつだしな、と思いその考えは一気に消えた。
それにしても、そうか。図書委員に聞けばいいのか。
じゃあ明日昼休みに図書室に行こう。
「分かったけど、なんであんたと一緒に?」
「俺も用事あんだよ。じゃ、俺帰るわ。やよいの勉強頑張れよ。」
「うん。またね。」
さて、図書室に戻りますか。
****
『俺はお前らよりも大事なモノがあるんだ。今お前らにかまっている暇はないんだ。分かってくれ。』
…久しぶりに思い出したな、あのクソ親父の事。
あいつになら話せると思ったんだけどなあ。
まだ無理か。
とりあえず早く帰るか。
あれ?俺らのクラスの図書委員って誰になったんだっけ?
まあ、いいや。明日で。
****
眠い。
ひたすらに眠い。
竜胆さんからオススメされた本、多すぎる。
読みきれない。
眠い。
「…授業中寝ちゃうかも…。」
教室のドアを開けて入ろうとした時、段差に引っかかって転びそうになってしまった。
「危な…。」
手を出そうとしたが力が入らずに動かなかった。
痛みに備えて目を瞑った。
しかし、一向に痛みは現れない。
それだからか、転んですらいない。
どういうことかと思い目を開けたら、私は誰かに支えられていた。
支えている人物の顔を見たら、男だった。
急に顔に血液がたまりだした。多分今私の顔は真っ赤になっているだろう。
「大丈夫?さぐりさん。」
男は、同じクラスの、姫野サクヤだった。
なんだ!?このラブコメ展開!?