コメディ・ライト小説(新)

Re: ある少女は、成長する事を拒むのです。 ( No.5 )
日時: 2016/12/21 20:54
名前: SAKUYA (ID: 5YaOdPeQ)

〜第5話 素直になりたい〜

私は、やよいちゃんに返事もせずに走り出していた。

思い出したくも無い、忘れていたはずの過去を思い出してしまった。二度と、思い出したくないって思っていたのに。

これから学校を見て回ろうと思っていたが、とてもそんな気にはなれなかった。

私は学校を出て、家へと向かった。

やよいちゃんには酷い事をしてしまったな…。

でも、良い。今回の件で分かった。やよいちゃんのおかげで、分かった。

友達という言葉を聞いただけでこんな気持ちになってしまう。私にはもう、友達をつくる資格など無いんだ。もう、私には友達なんてできないんだ…。



「さぐりん…。」

何か私酷い事をしてしまったのでしょうか?そんな気はまったく無かったのですが…。

友達を作りたいだけだったなんですが…。

やっぱり、私に友達はできないんでしょうか?高校に入ったらいっぱい友達を作ろうと決めていたのに。

「どうしたんだ?こんなところで止まって。やよい。」

後ろから声をかけられたので振り向いたらそこには幼馴染のレイ君がいました。

「…何でも無いですよ。レイ君の方こそ、何してるんですか?もうとっくに帰ったと思っていましたよ。」

レイ君は家庭の事情で家事を全て担当しています。だから、中学の時もいつも早く帰っていました。そのせいで、あまり友達と呼べる存在も少なかったようですが…。

「ああ、そうだ。お前が知っている訳ないけど、三組の水原って知らないか?忘れ物しててさ。筆箱。」

「水原ってさぐりんの事ですか!?」

「さ、さぐりん!?た、多分な。学級委員で一緒なんだよ。ちなみに、俺らの中学にいたぞ?」

ビックリです。レイ君がさぐりんと知り合いだったなんて。

そういえば、レイ君って中学の時に一年生の頃女友達が一人だけいるって言ってましたけど、そこまで偶然は重ならないですよね。

私はさぐりんの事が知りたくて、レイ君に質問しました。

「さぐりんって、どういう子なんですか?私、さぐりんと友達になりたいんです!」

「俺今あいつ探してるからあんま詳しく言えないけど、あいつ中学の時不登校だったんだよ。一年生の時半年だけはきてたけど、急に来なくなったんだ。多分、その頃親友と喧嘩しただとか言ってたけど、それが関係してるかは知らないな。でも、友達関係の事だってことは間違いないと思うぜ。」

不登校。

さぐりん…。あなたも、苦しかったんですね…。

…無理に友達になろうとした私が馬鹿でした。私も、友達を作ろうとして必死でした。あなたの事、考えてもいませんでした。

すみません。あなたに、謝りたい。

でも、あなたの事を知った今でも。わがままかもしれないですけど。


あなたと友達になりたい!!


「もうすぐ12時だなー、あいつの家に直接筆箱届けに行こうかな?こんだけ探してもいないからどうせ帰ってるだろうし。」

「レイ君!是非、私も連れてっていって下さい!」

「ええっ!?まあ、良いけど。友達になりたいんだろ?じゃあ、目合わせて話した方が良い。その方が、想いは伝わると思う。」

本当、レイ君はたまに良い事を言います。これで私生活が完璧だったらモテたと思いますけどね。

って、今はそんな事良いです!

さぐりん、待っていて下さい!今、あなたの家へ行きます。目を合わせて、私の想いを、全部届けます!!

そして、あなたと友達になります!!


「…二年ぶりか、あいつの家に行くのは。」